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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2022.12.19 Mon

バータイムズ ボトルドカクテル 新シリーズBAR TIMES 開発プロジェクト
『カレーのためのスパイスハイボール』
プロによるテイスティング編[Vol.2]

バータイムズではこれまで、「トップバーテンダーのカクテルを自宅で楽しむ」をコンセプトに3種類のボトルドカクテルを開発してきました。(ボトルドカクテルについて、詳しくはこちらから

そのボトルドカクテルの新リーズとして、バータイムズでは「家庭料理と一緒に楽しむ食中酒」をコンセプトに新たなプロジェクトをスタートしました。それが『カレーのためのスパイスハイボール』(仮)です。果たしてどんな味わいのハイボールを目指し、どんなカレーに合わせるのか、プロジェクトの詳細を開発段階からレポートいたします(Vol.1はこちらから)。今回は第2回目となる「テイスティング編」です。カレーのプロにリサーチしました。

カレーとのベストマッチを追求した新感覚「スパイスハイボール」。開発プロジェクトが始動!

[前回の続き]
「お家で食べるカレーによく合う食中酒がほしい」そんな思いからスタートした『カレーのためのスパイスハイボール』(仮)開発プロジェクト。協力を仰いだのは元バーテンダーで現在は岩手県金ケ崎町でハーブ園「K.S.P 薬草ファーム」を運営している老川和磨さんです。老川さんから届いたプロトタイプは以下の3種類。
【試作①】柚子×生姜×クミン
【試作②】カカオ×ブラウンカルダモン×ほうじ茶
【試作③】ドクダミ×実山椒×カレーリーフ×グリーンカルダモン

早速テイスティングです。リキュール1に対し炭酸は2もしくは2.5。炭酸の泡でスパイスの香りが運ばれ、どれも個性的な香りです。味わいもフレッシュ感が全面に押し出されていたり、香ばしくて丸みがあったり、すごくハーバルだったりと三者三様。 実際にカレーを作って「柚子×生姜×クミン」を合わせてみたところ、間違いなく合う!カレーの味わいを一度リフレッシュしてくれる感覚で、カレーも進むしスパイスハイボールも進みます。少し甘さが気になりましたが、そこは今後ブラッシュアップしていくことにして、『カレーのためのスパイスハイボール』(仮)です。果たしてどんな味わいのハイボールを目指し、どんなカレーに合わせるのか、プロジェクトの詳細を開発段階からレポートいたの可能性にますます期待が高まります。

ここまでが前回のお話(第1回のレポートはこちら


3種類のプロトタイプが完成! キャップを開けるとふわぁ〜っとスパイスの香りが漂い、今すぐにでもカレーが食べたくなるいい香りです。

スパイスのプロにテイスティングを依頼!3種類のスパイスリキュールの評価とは

今回はスパイスのプロに意見を聞くため、東京都中野区にある「マロロガバワン」さんへ。こちらのお店は本格インド料理とスパイスを使ったおつまみが楽しめる超人気店。カレーの美味しさはもちろんのこと、土窯(つちがま)で焼いたタンドール料理はもう絶品!ワインをはじめとしたお酒も豊富に揃い、バータイムズスタッフもすっかり虜に(笑)。スパイスリキュールのテイスティングをお願いするのに理想的なお店です。まずは、オーナーの磯邊和敬さんとソムリエである奥様の麻由さんに3種類のスパイスリキュールの中身を説明。それぞれ炭酸で割ったハイボールスタイルでテイスティングいただきました。


中野区新井にある本格インド料理店「マロロガバワン」さん。スパイスを巧みに使ったオリジナル料理は絶品揃い!何を食べても本当に美味しい!!


「マロロガバワン」さんではそれぞれハイボールスタイルにしてテイスティングいただきました。

『柚子×生姜×クミン』
カレーにクミンの香りが負けてしまう??

編 集 部:お忙しいところテイスティングにご協力いただきまして、ありがとうございます。では早速なんですが、これがもっともカレーの香りを想起させる「柚子×生姜×クミン」です。

磯邊さん:ああ、いい香り。(ひと口飲んで)純粋に美味しいですね。ハイボールにするとクミンの香りが上がってきて“カレー”って分かりやすいですけど、カレーのスパイスの方が強すぎてクミンが分かりにくくなるかもしれないですね。

編 集 部:このクミンの香りがあまり感じられなくなってしまうということですか?

磯邊さん:うーん、そうなっちゃうかもしれません。でも、柚子と生姜がかなりしっかりと抽出されているので、カレーとの相性はいいと思いますよ。例えば、最初にひと口飲んで、クミンの香りを楽しんでからカレーを食べる。で、カレーと一緒に柚子、生姜の相性を楽しむというのはいいと思います。食べる時にクミンの香りが消されちゃうからと言って、全く無駄ではないですね。それくらい美味しいです。

麻由さん:カレーに合わせるものとして、一概にスパイスを感じる飲み物がいいというわけではないんですよ。ワインでもスパイスの香りがするものもありますが、それがカレーに合うかって言ったらそんなこともないんです。実際にこのクミンのハイボールを家庭のカレーと合わせても、スパイスが効いているって感じにはならないかもしれないけど、その分、柚子と生姜がスーッと入ってくるので、これはこれでありだと思います。それにしても柚子の香りがすごくいいですね。うん、美味しい(笑)。

磯邊さん:うちのカレーメニューで言うとキーマカレーに合うかもしれません。と言うのも、うちのキーマカレーはあまりスパイスを加えていないんですよ。そんなにスパイシーではないカレーと相性がいいかもしれないですね。

編 集 部:なるほど。うーん、もう少し考えてみます。では次に「カカオ×ブラウンカルダモン×ほうじ茶」です。


「マロロガバワン」さんのカレーメニューの中であまりスパイスを効かせていないというキーマカレーと『柚子×生姜×クミン』の組み合わ。


「マロロガバワン」のオーナー磯邊和敬さん。

ソムリエでもある奥様の麻由さん。

『カカオ×ブラウンカルダモン×ほうじ茶』
苦味と濃厚な香りに合うカレーとは?

磯邊さん:あ、これは面白い。炭酸でほうじ茶の香りが上がってきて紅茶に通じるところがありますね。カルダモンを使ったドリンクはありますが、これはブラウンカルダモンなんですね。あまり使われないスパイスなので、逆にそれがすごくいいと思います。普通のカルダモンはもっとシャープな印象ですが、ブラウンカルダモンは少しクローブっぽい香りで結構特徴的なんです。

麻由さん:これはすごく好きです。苦味があって食中酒としては合わせやすいと思います。

磯邊さん:カルダモンを使ったお酒って結構香りが強すぎる傾向にあって、「うん、カルダモンだね」っていう感想になっちゃう(笑)。美味しいか、美味しくないかの感想にはなかなかならないんですよ。

麻由さん:でもこれはバランスがいいですね。

編 集 部:これはカレーに合いますか?

磯邊さん:うちのメニューの中で言うとマトンカレーによく合うと思います。マトンは肉に臭みがあるのでスパイスを特にいっぱい使うんです。このカカオのハイボールは、強めのスパイスとかハーブを使ったカレーでも中和されて、負けないと思います。

麻由さん:マトンカレーの強めのスパイスをこのカルダモンの香りがふんわり包んでくれる感じがします。でも、家庭ではマトンカレーは作らないから、例えば玉ねぎを飴色になるまでじっくり炒めた甘さのある欧風カレーでも合うと思います。コクのあるカレーですね。

磯邊さん:ああ、そうだね、それは合うかもしれない。

編 集 部:なるほど、フォンドボーを使った欧風カレーのような。それならはいいかもしれません。では最後に「ドクダミ×実山椒×カレーリーフ×グリーンカルダモン」です。


お店のカレーと合わせ、お二人とも真剣にテイスティングしていただきました。

『ドクダミ×実山椒×カレーリーフ×グリーンカルダモン』
このハーバルさにはあのカレーだった!

麻由さん:これは私の中で大ヒットです(笑)。かなりバーバル! 元々ハーブ系のお酒が好きなので、これはカレーに合うって直感しました。まあでも、結構クセがあるので、好き嫌いがはっきり分かれるかもしれないですね。

磯邊さん:ああ、本当だ。これも面白いですね。

編 集 部:確かにちょっとバーブが強い印象ですね。どんなカレーに合いそうですか?

磯邊さん:うーん、もしかするとタイ料理に合うかもしれない。

麻由さん:あ、確かに!ちょうど今、牛すじのミルキーなカレーを作っていて、このドクダミと合いそうだなって思っていたところです。タイカレーはいいと思いますよ。

編 集 部:グリーンカレーとか自宅で作る方もいますしね。いいですね、タイカレー! その他、全体的に改良した方がいいという点はありますか?

磯邊さん:最終的には、単体の飲み物として美味しいかどうかだと思うので、それで言うと3種類ともすごく美味しい。それぞれがいい塩梅でできているんですよね。

麻由さん:商品化するのは1種類だけだとすると、うーん、どれもそれぞれ違う種類のカレーに合うから、、、決めきれないです(笑)。


今回はスパイスのプロである磯邊さんご夫妻に貴重なご意見を聞くことができました。しかも、3種類とも高評価!かなり自信が持てました。正直私たちもどれを商品化すればいいのか迷っています。次回は一般のモニターにテイスティングを依頼し、どのスパイスリキュールが家庭のカレーに合うかレポートいたします。お楽しみに!

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