2023.01.27 Fri
トップバーテンダーたちが再定義する
SUNTORY WORLD WHISKY 碧 Ao の水割り
なめらかに喉を伝う
MIZUWARIの黄金比は、1対4.6
秋谷修二さん(Bar Vie Lembranca)東京・青山水とウイスキーのみでつくる水割りは、極めてシンプルでいて、真っ向から向き合えばとても多面的にとらえられる飲み方である。ここでは、3人のトップバーテンダーが水割りを再定義し、個性豊かな世界5大ウイスキーの原酒をブレンドした「SUNTORY WORLD WHISKY 碧 Ao」の新しい飲み方を提案。食中酒としても愉しめる水割りの魅力を再発見する。
お二人目は、秋谷修二さん(Bar Vie Lembranca)に話を伺った。
1杯目、食中、〆。どのタイミングにも飲めるMIZUWARI
水割りのことをあらためて考えてみると、水となじませることによって、ウイスキーを構成する素材をより感じ取ることができる飲み方だと思います。原酒のモルトや、仕込みやアルコール度数の調整に使われる“水”をやさしく、柔らかく、感じることができる。それゆえ水となじみのよいブレンデッドウイスキーは、水割りに向いている印象。逆に、度数が高くて個性の強いものになると水割りの個性と言うものよりもウイスキーの個性、度数が立ち過ぎるように思えてしまいます。
飲むタイミングは、柔らかな飲み口のスターターとして、あるいは食事と一緒に、そして、口をさっぱりとさせる〆に……と、タイミングを選びません。度数が調整できるので、何杯か飲み重ねることもできますね。水割りは、ハイボールやストレート、ロックに比べるとなじみが少ない方が多いかもしれませんが、ことにペアリングにおいては存在感を増す飲み方なのではないでしょうか。
材料は、ウイスキー、水、ときに氷とごくシンプルです。それゆえ、水割りの存在を考える際は、水とベースの分量や氷の締まり具合に配慮し、どんな順番で混ぜていくのか、そして、なにより出来上がりの温度をどこに設定するのか――。といったカクテルの原点といえる要素を考えることになります。
僕が出した答えは、飲むときに体力を使わず、飲み疲れず、やさしく飲めるもの。スムースで引っかからず、単純に喉をすべるようになめらかに落ちていく液体を考えました。新しい解釈で取り組むので、「水割り」というより「MIZUWARI」。そう表記するほうが、僕の中のイメージとしてより日本や他国にも繋がってくれるのかなと思います。
ー SUNTORY WORLD WHISKY 碧 Ao の魅力とは ー
「碧 Ao」は、寄せる波のようにさまざまな香り・味・余韻が感じられる
「SUNTORY WORLD WHISKY 碧 Ao」を初めて飲んだのは、発売年の2019年のこと。ひと口目は、「世界5大ウイスキーの原酒をブレンドしているというのに、想像以上に個性がある」と感じました。少し時間をおくにつれて、これは「ユニークなウイスキー」だと思いましたね。香り、味、余韻にさまざまな原酒の個性を感じられるのです。最初にとらえたインパクトのある個性や、ウッディ感、アルコール感が、2,3分経つと、柔らかくまろやか、スムースな印象に変化するのです。まるで波のように、時間が経過するにつれてふくよかな香りが押し寄せてきます。素材をより感じ取ることができるMIZUWARIはぴったりな飲み方なのではないでしょうか。
「碧 Ao」がもつスパイシーさは、ジンジャーエールで割っても合いそうですし、シトラス感はフルーツとの好相性を思わせます。ジンジャーとレモンジュースを使うカクテル“ペニシリン”のベースにしてもよく合うと思います。
ー 秋谷修二さんがつくる究極の水割り ー
自分最高のバランスは「碧 Ao」1対水4.6。もう一杯を誘うように消えていく
僕がめざすMIZUWARIは、体力を使わず、単純に喉をなめらかにすべり落ちるように飲めるものです。
10パターン以上を試作して最高だと感じたバランスは、「碧 Ao」25mlに対して水115mlでした。1杯が140ml。対比は1対4.6ですね。これがウイスキーを30mlにすると、アルコール感と個性が微妙に強くなってしまう。また容量も30mlに4.6倍の水を加えるのでは、今度は量が多すぎてしまう。量が多すぎるのも体力を使わせることにつながります。
つくり方で気を配るのは、出来上がりの温度です。ウイスキーと水を合わせただけで温度は2,3度上がりますし、ステアを20回すると2度下がると言われています。5~8度の温度帯で飲んでいただくことを狙って、常温の水とウイスキーを用い、ステアの回数を計算します。そうすることで、柔らかく、次のもう一杯を誘うように消える余韻のMIZUWARIとなるのです。さまざなシーンで愉しめますし、ワイングラスで味わっていただくのもよいかと思います。
- 秋谷修二さんがつくる究極の水割り
- 〈材料〉
- ・SUNTORY WORLD WHISKY
碧 Ao(常温)••• 25ml
・水(常温)••• 115ml
・氷 - 〈つくり方〉
- グラスに氷を入れ、軽く回して冷やす。ミキシンググラスに「SUNTORY WORLD WHISKY 碧 Ao」、水、氷を入れ、50回ステアし、グラスへ注ぐ。
秋谷修二(あきやしゅうじ)
北海道生まれ。札幌や銀座のバーでバーテンダーとしての経験を積み、2015年に「Bar Vie Lembranca(バー ヴィ レンブランサ)」(銀座)を開店。第一回「ヘネシー X.O カクテルコンペティション 2016」にて、カクテル「Old Rich Time(オールドリッチタイム)〜特別な時間を〜」で優勝を果たす。2019年に「Bar Vie Lembranca」は青山に移転。
Bar Vie Lembranca(バー ヴィー レンブランサ)
東京都港区青山2-8-2 南青山サマリアマンション 1階 Tel: 03- 6804-3013
席数はカウンター5席のみ。バックバーにボトルは置かず、ボタニカルやスパイスを漬け込んだスピリッツのガラス瓶が並ぶ。店内には和洋の絵画や工芸品を配し、落ち着いた雰囲気の中にもセオリーにとらわれない店主のユニークなセンスがうかがえる。独自のスピリッツに野菜や果物、ハーブを合わせるなどオリジナル性の高いカクテルを愉しめる。
インタビュー・文 沼由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。