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2023.06.26 Mon

「メーカーズマーク46」スペシャル対談(後編)至極の「クラフトカクテル」とは

宮崎優子(BAR Tendarly)× 伊藤学(Mixology Heritage)
「メーカーズマーク46 スペシャル対談」と題し、日本を代表するバーテンダー、宮崎優子さん(BAR Tendarly)と伊藤学さん(Mixology Heritage)のお二人に「メーカーズマーク46」の魅力を解き明かしてもらいます。後編では、焦がしを施したフレンチオークの板を原酒に沈める特別な製法「インナーステーブ」で仕上げた「メーカーズマーク46」の特長を引き出すカクテルを考案いただきます。

宮崎 優子さんがつくる至極の「クラフトカクテル」とは

 

オレンジリキュールを加えて完結する、シンプルかつ技を極めたカクテル

宮崎さん考案のカクテルの材料は、「メーカーズマーク46」とグランマルニエのみ。そこに氷が加わるだけの潔さでいて、味わいは力強くもしなやか。深い余韻に満たされます。どんな点から着想されたのでしょうか。

経験を重ねるほど、シンプルなカクテルがつくりたくなってきました。以前は4、5種類の材料を使ったり、仕上げに1ティースプーンのお酒をフロートしたり。でも今は、マティーニやマンハッタンのような2種類の材料で完結するシンプルさに惹かれます。

「メーカーズマーク46」には、このバーボンが持つオレンジのフレーバーを活かすべく、グランマルニエを合わせます。独創的な製法のインナーステーブによる力強さとしなやかさ、重厚な味わいとも相乗します。
「メーカーズマーク46」とグランマルニエの割合は、基本中の基本の3対1。私でなく、この黄金比を考えた先人たちがすごいのです。しっかりステアしてバーボンとリキュールを融合させて一体感を生みます。

グラスに入れる氷の組み立て方がとても大事で、慎重に組み立てます。これで混ざり方が決まります。さらに言うと、氷の仕込みの段階からカクテルづくりが始まってるのです。シンプルなカクテルほど、細かく計算しないといけなりません。最後に小さな氷を乗せるのは、料理の仕上げのようなもの。お料理でも盛り付けのように、完成したときの見た目も大事ですね。

もともと、このカクテルをライウイスキーでよくつくっていました。でも「メーカーズマーク46」でつくって味見したときは、「一発で決まってしまった」と思いましたね(笑)。ほかのバーボンではこうはまとまってくれません。「メーカーズマーク46」は原料にしっかりとした甘味をもつ冬小麦を使っている。その差なのかもしれません。ちょっと圧倒的です。
カクテル名「コルトレーン」は、好きなジャズサックス奏者の名前から付けました。これを頼んだ方には、卓上のミニスピーカーでコルトレーンの曲を一曲お流しします(笑)。

思った通りに仕上がってくれて、割っても柔らかいまま伸びて薄まった感じがしない。「メーカーズマーク46」で、ミントジュレップやウイスキサワーをつくってもおいしいと思います。

コルトレーン
〈レシピ〉
・メーカーズマーク46_45ml
・グランマルニエ_15ml
〈つくり方〉
①ロックグラスに氷(分量外)を入れ、メーカーズマーク46とグランマルニエを注ぎ、しっかりステアする。仕上げに小さめの氷をひとつ加える。


宮崎 優子さんのカクテルメイキング動画はこちら
  

伊藤 学さんがつくる至極の「クラフトカクテル」とは

 

バニラの香りを軸に、オレンジや南国のフルーツが時間差で口中で開いていく

伊藤さんが打ち出すのは、ウォッカとクランベリージュースのカクテル「コスモポリタン」のツイスト。インナーステーブによって、口の中で香ばしさが段階的に広がっていく「メーカーズマーク46」の多層的な味わいに着想し、フルーツのフレーバーを乗せてグラスに表現します。

「メーカーズマーク46」が薄い味わいから濃い味わいへ順々に広がっていく感じとリンクするように、フルーツのフレーバーが口中で開いていくカクテルに仕上げました。そのために、オレンジリキュールのコアントローにパッションフルーツ、マンゴー、ランブータンといった南国のドライフルーツを漬け込んだ“インナスティーブコアントロー”をつくって合わせています。そうすることで、フルーツのフレーバーが時間差で次々と多層的に広がるのです。
飲み口がすっごく軽やかでしょ?ウイスキーカクテルにありがちな強さと重さがない。「メーカーズマーク46」はしっかり35ml入っているというのに。これは、クランベリージュースが、重さを取って軽やかに感じさせてくれるからなんです。

仕上げに氷1個入れるのは、氷が溶けて加水されていくことで、バニラ香とフルーツ香が時間差でさらに立つことを狙っています。このカクテルの技法はシェイクで、製氷機の氷を使います。
「Mixolosy  Heritage」では普段から5種類の氷を使い分けていますが、今回はあえて製氷機の氷を選んでいます。

バーでよく使われている氷屋の貫目氷は、溶けづらいものです。国内で一般的な分量の60mlのカクテルをつくるにはとても合っているのですが、100ml、120mlの分量のアメリカンクラシックカクテルの世界観だとアルコールの強さがダイレクトに感じられてしまいます。そもそも、カクテルのレシピが誕生したアメリカでは、製氷機の氷が基準。溶けやすく、シェイクの間に加水されて飲みやすくなるんですね。
インフュージョンは、酒に漬け込んで凝縮している状態。溶けやすい氷を使うことで、閉じ込められた香りを開くことにもつながります。それもまた、このカクテルが軽やかな理由です。柔らかい分砕けやすいので、グラスに注ぐときは濾して、水っぽくなりすぎないようにします。

「メーカーズマーク46」はそのように加水しても、厚いボディ感はそのままに、雑味や嫌な酸味が出ません。今回はインフュージョンしたコアントローを使っていますが、一般的なコアントローで試作してみても、「お、イケるね!」というおいしさでした。「メーカーズマーク46」は味の幅が広く、他の材料と混ぜてもその味わいが壊れないという優秀さ。どのバーも持ってたらいいのに(笑)。

インナ―スティーブ コスモポリタン
〈レシピ〉
・メーカーズマーク46_35ml
・インナスティーブコアントロー(*)_15ml
・クランベリージュース_20ml
・ライムジュースとレモンジュースのブレンド_10ml
(ライムジュース7ml、レモンジュース3ml)
・ガーニッシュ パッションフルーツをスライスカットしたもの(*)インナスティーブコアントローのつくり方
・コアントロー_350ml
・ドライマンゴー_20g
・ドライランブータン_10g
・フレッシュパッションフルーツ_1個真空パックにすべての材料を入れ、ANOVA(低温調理器)で50度のお湯に1時間湯煎する。冷蔵庫で2日間インフューズして濾す。
〈つくり方〉
①シェイカーにガーニッシュ以外のすべての材料を注ぎ、製氷機の氷(分量外)を入れてシェイクする。
②ストレーナーで氷のチップを濾しながらサワーグラスに注ぐ。氷を1個加え、パッションフルーツを浮かべる。


伊藤 学さんのカクテルメイキング動画はこちら


メーカーズマーク ブランド公式サイト
https://www.suntory.co.jp/whisky/makersmark/


宮崎 優子(みやざき・ゆうこ)
大森「BAR Tenderly」オーナーバーテンダー。南大井のバー「リジョイ」の店長として9年間勤めながら、「サントリーバーテンダースクール」の講師を務め、講師の毛利隆雄氏に師事。女性バーテンダーがまだ数少ない時代から全国バーテンダー技能コンクールやメーカー主催の大会など数々のコンペティションに挑戦し、成果を収めてきた。1998年に独立し、自身のバーを開店。2020年には、NPO法人 プロフェッショナル・バーテンダーズ機構(PBO)の会長職であるチェアマンに就任。自店ではカクテルスクール、寄席、三業地として栄えた地元大森の文化を伝えるべく芸者によるお座敷遊びの入門講座などの開催をはじめ、You Tubeでの情報発信など、幅広い層に向けて業界の発展に尽力している。

伊藤 学(いとう・まなぶ)
1989年、新宿『カクテルバー・ギブソン』(現在は閉店)に入店。在籍時より、伝説的バー『いないいないばぁー』の藤田佳朗氏に師事。1993年、漫画『BARレモン・ハート』の著者古谷三敏氏が経営する『BARレモンハート』に移り、以後16年にわたり同店に勤務。2010年より2017年夏まで、会員制バーの六本木『Ne Plus Ultra』にてマスターバーテンダーを務める。現在はスピリッツ&シェアリング株式会社におけるクラシックカクテル部門統括兼マスターバーテンダーとしてスタッフへ技術指導をしつつ、日比谷「Mixology Heritage」にてカクテルを振舞っている。


インタビュー・文 沼由美子(ぬま・ゆみこ)
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。



   

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