2024.03.1 Fri
「セントパトリックスデー」記念企画
ブッシュミルズで祝うアイリッシュウイスキーカクテルブッシュミルズ、コーヒー、スタウト。
「アイリッシュ」を詰め込んだオリジナルカクテルで乾杯!
辻 英和さん(Scotch & Branch/京都)それはまさに、400年以上の歴史を持つ世界最古のウイスキー認可蒸溜所「ブッシュミルズ」を味わうのにぴったりの日でもある。「セントパトリックスデー」に向けて、トップバーテンダーがブッシュミルズのハイボールとオリジナルカクテルを考案。
アイルランドの伝統に祝杯をあげよう!
京都の繁華な街並みの一角。ビルの中に設置された英国式電話ボックスをくぐった先に、辻 英和さんのバー「Scotch & Branch」はある。スコットランド・エディンバラの隠れ家をイメージしたスピークイージーだ。
辻さんは、2022年よりブッシュミルズのブランドアンバサダーに就任。世界最古のウイスキー認可蒸溜所「ブッシュミルズ」の魅力を広く発信している。
「ウイスキーはスコッチもアイリッシュも全般的に好きですが、ブッシュミルズは何より僕自身が特段に好きなブランドなんです。実は、このバー『Scotch & Branch』の開店日も3月17日。そう、セントパトリックスデーです。開業記念日には、7日間に渡ってゲストバーテンダー迎えて、それぞれのシグネチャーカクテルとブッシュミルズを使ったオリジナルカクテルを提供します。今年で4回目になります」
辻さんは、ブッシュミルズの魅力をこう語る。
「柔らかくて飲みやすく、これからウイスキーを飲み始めたい方にも向きますし、フルーティーさや複雑味もあってウイスキーファンにも満足していただけます。熟成が長くなるほどに、スコッチとはまた違う味わいが生まれてくるのも愉しいですね。それになんと言っても、創業の1700年代から、シングルモルトを造り続けているそのフィロソフィーに感銘を受けます。王道中の王道といえるウイスキーです」
ジンジャービアでスパイス感をプラス
辻さんが、パブやテラスといった開放的な場所や賑やかなシーンで、仲間や家族と気取らずに愉しめるハイボールとして提案するのは、「ブッシュミルズ オリジナル」をベースに、ジンジャービアを合わせたもの。ライムの緑色が冴える。
「ブッシュミルズ オリジナルは、ラインナップの中でもとくにスムースな味わいで、気軽に飲めるウイスキーの代表格。強いピート感がなく、樽の香りが穏やかで、たとえ甘いミキサーで割ったとしてもすっきり飲めるのが特長です。フルーティーさを持ち合わせているので、ジンジャービアで割るとスパイス感が冴えるうえに柑橘のような風味も一体になって感じられます」
Bushmills Ginger High(ブッシュミルズ ジンジャーハイ)
〈レシピ〉
・ブッシュミルズ :30ml
・フィーバーツリー プレミアム ジンジャービア:100ml
・ライム:1/6カット
〈つくり方〉
1.タンブラーグラスにライムを搾り、氷、ブッシュミルズを加えてステアする。
2.フィーバーツリー プレミアム ジンジャービアでアップし、軽くステアする。
バランス秀逸な一杯に
セントパトリックスデーを祝うオリジナルカクテルとして考案したのは、同国の代表的カクテル、アイリッシュコーヒーから連想されるようなコーヒーをインフューズしたブッシュミルズを主役とする。そこにアイルランドの祭りには欠かせない国民的なスタウトビールを合わせる。
ブッシュミルズ、コーヒー、スタウトの3者のつなぎとなる果実味としてカシスリキュールを加え、チョコレートビターズを振ることで味わいに奥行きを生む。
ビターな要素が詰まっているのに、その味わいは重すぎず、意外にもするりと喉を伝う!甘味、酸味、飲みやすさ、余韻のバランスが秀逸。トップの泡立ちもユニークである。
「ブラックブッシュを選んだのは、フルーティーさがあって重すぎず、一番バランスがいいから。アイリッシュコーヒーにも仕立てやすいウイスキーです。コーヒーをインフューズするのは2時間のみで風味をまとわせるだけ。浸け込み過ぎて苦味が出ては、ウイスキーの味を損なってしまいます。カクテル名はpatric’sとexpressを掛け合わせたものです」
Patrixpress (パトリエクスプレス)
〈材料〉
・コーヒービーンズ インフューズド ブッシュミルズ ブラックブッシュ(*1):30ml
・スタウト(缶):50ml
・カシスリキュール:15ml
・チョコレートビターズ :2dash
(*1)ブッシュミルズ ブラックブッシュ1本にコーヒー豆75gを常温で2時間浸ける。
〈つくり方〉
シェーカーに氷とすべての材料を入れてシェークし、グラスに注ぐ。
辻 英和(つじ ひでかず)
1989年滋賀県生まれ。大学時代にアルバイトでバーの世界へ。卒業後、京都「祇園FINLANDIA BAR」で修業。その後、京都「ANNIE HALL BAR」で店長を勤める。2020年3月に独立し、スコッチウイスキーとカクテルをメインとするバー「Scotch & Branch」を開業。2023年1月、100年前のバーをモデルに遊び心のあるクラシックツイストカクテルを提供するカクテルバー「Bar KAKTEL」を京都に開業。シングルモルトへの造詣が深く、ウイスキープロフェッショナルの資格を持つ。ワインソムリエの資格も保持。
Scotch & Branch
京都市中京区伊勢屋町354-1伽羅ビル1階奥(電話ボックス)
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。