2024.03.21 Thu
本格麦焼酎「iichiko彩天」コラボレーションインタビューアメリカと日本、トップバーテンダーが
感じた焼酎カクテルの手ごたえ
[PR]三和酒類株式会社きっかけは、2024年1月、本格焼酎のプロモーションのために、「FOLKLORE」オーナーバーテンダーの南雲主于三さんと、メインバーテンダーの佐藤由紀乃さんがロサンゼルスの人気バー9店舗で本格焼酎のカクテルを提供したことにある。「Thunderbolt」で意気投合し、今回のコラボレーションが実現した。
佐藤由紀乃さんとトムさんに海外限定販売(アメリカ、シンガポール、オーストラリア)の麦焼酎「iichiko彩天」を使った焼酎カクテルを提案してもらい、バーシーンにおける焼酎カクテルの可能性を訊いた。
——「FOLKLORE」での今回のコラボレーションで実現したいことは何ですか?
佐藤 「iichiko彩天」は海外でしか売っていない本格麦焼酎で、アルコール度数は43度。麹の旨味が最大限に表現されていて、「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ(以下ISC)2022」で【最高金賞】ダブルゴールドを受賞しています。あらためて、こういった焼酎が海外で流通しているということとその魅力を知っていただき、バーへの焼酎の普及につながったらと考えています。
——ロサンゼルスでの焼酎カクテルの反応や手応えはいかがでしたか?
トム 焼酎をPRするイベントは2021年から始動して、今回で3回目でした。日本酒やジャパニーズウイスキーは広く知られてるのに、焼酎はいまなお“未知のお酒”です。アメリカでそういった新しいお酒の啓蒙活動ができること自体が楽しいですね。
佐藤 すごく可能性を感じるスピリッツだと思いました。現地では、いろんなタイプのバー9店舗にて、芋・麦・米を原料とする本格焼酎のカクテルを全18種類提供しました。日本では焼酎単体を味わい、お湯割りやロックが真骨頂という風潮があるように思いますが、カクテルの素材としての高い可能性を再認識しました。お客様は既成概念がなく、焼酎のクセもポジティブに受け取ってもらえるような柔軟さがありましたね。なかでも「Thunderbolt」はカクテルに力を入れているバーだったので、お客様からの質問も多くとくに盛り上がりました。
トム カリフォルニア州では2023年10月に「アルコール飲料規制に関する法律」の改正がありました。これまでは「Soju」としか表記できなかったところ、アルコール度数24度以下の焼酎はビールやワインと同じカテゴリーに分類されることになり、「Shochu」の名で堂々と販売できるようになったのです。カリフォルニアにはアジアの移民の方たちがいっぱいいて、ロサンゼルスというアジアのコミュニティが大きなところで焼酎のイベントをやることに大きな意味があると感じています。
——トムさんは、「Thunderbolt」のシグネチャーカクテルとして「iichiko 彩天」を使ったカクテルを提供していますね。焼酎を採用したきっかけは?
トム 2018年、「世界のベスト・バー50」3位にランクインしたこともある「NoMad」というニューヨークのバーがロサンゼルスにオープンすることになり、新店舗立ち上げに携わっていました。焼酎を知ったのはその時です。みんなが知らないスピリッツを使うことに面白さを感じましたし、自分のユニークさを生むためにも焼酎は魅力的です。ここ、カリフォルニアでは、革新的な技術を要するカクテルを創ることがトレンドで、シェイクするだけではなく、ミクロの世界の技術のような工夫が求められていて、いつもエッジが立ったカクテルを創るミッションがあるのです。「iichiko彩天」はアルコール度数が高く、自分にはとても使いやすい銘柄です。「iichiko彩天」を使ったオリジナルカクテル「Fu Gwaa Falsetto(フーグワ ファルセット)」は、「Thunderbolt」のシグネチャーでもあり、もっとも注文数の多いカクテルになっています。
——焼酎の強み、あるいは弱みはどんな点ですか?
佐藤 焼酎には原料や蒸留方法などによって多彩な個性があります。強みは、ウォッカ的に使ったり、あるいは個性を増長したり、あるいはほかのスピリッツと合わせたりと自由な発想でカクテルを創れるスピリッツだということです。あとLow AVB (低アルコール)の需要に応えられることです。たとえばアルコール度数10度のカクテルをつくる場合、25度の焼酎を使っても40度以上のウォッカを使っても10度のカクテルはつくれます。度数は一緒でも、前者の方がしっかりスピリッツを使えるという点は大きいですね。風味はしっかり生きるのです。やはり軸のスピリッツの分量を減らしてしまうと、風味がどうしても落ちて下がってしまうのです。
トム たとえば原料の味をろ過で除いてしまうウォッカと違い、焼酎の強みは芋麦米といった原料の風味があり、さらにその先にいろんな種類がある点です。弱みは、やはり焼酎のアルコール度数の低さでしょうか。一般的な25度、30度だとやはり少し隠れてしまいがち、という難しさがあります。でも、それは同時に強みにもなり得ます。最近、若い世代では、Low AVBカクテルやモクテルを飲みたい人が増えています。そういったニーズに応えていけるスピリッツだと思います。
——焼酎カクテルを未来につなげるためには、どんなアクションが必要だと思いますか?
佐藤 ここ「FOLKLORE」そのものが、ジャパニーズスピリッツやジャパニーズカクテルというカテゴリーを確立するためにできたお店です。まずは焼酎カクテルを飲んでいただき、「焼酎っておいしいもの」といった印象を持ってもらえたら、と思っています。今は焼酎をグッドミキサブルといった感じで使うこともありですが、段階を踏んで、焼酎の特徴をしっかり捉えたようなカクテルが広がっていけばと思います。
トム 焼酎をアメリカのいたるところに置いてもらうことが始まりです。アメリカのバーに来る方たちは新しいものにトライしたい人が多いので、そこで焼酎カクテルにトライする機会を与えていくことかと思います。とくに最先端を行くニューヨークからだったり、著名なバーテンダーだったり、影響力のある発信をすることも大事でしょう。いろいろなイベントで伝えることも大事ですね。実際、焼酎の認知度は高まっていると感じています。
——このカクテルにおける「iichiko彩天」のポテンシャルとは?
トム これは広東語で「Fu Gwaa(フーグワ)」と呼ばれるゴーヤを使ったカクテルです。ゴーヤの苦味を活かしながらもおいしいカクテルに仕上げたいと思って試行錯誤しました。そのため、併せるスピリッツはゴーヤの苦さをうまく生かせるものを厳選しました。「iichiko彩天」の旨味、しょっぱさ、はちみつのような甘味といった複雑な味わいがとても合い、ゴーヤの苦味を引き立ててくれるのです。
- Fu Gwaa Falsetto(フーグワ ファルセット)
- 〈レシピ〉
- ・iichiko彩天
・自家製オリジナルゴーヤシロップ(ゴーヤを搾って、甘味を加えたもの)
・スーズ(ハーブリキュール)
・マンサニージャ・ラ・ヒターナ(シェリー酒)
・レモンジュース
・プラムパウダー(干し梅の粉末) - 〈つくり方〉
- すべての材料をシェーカーに入れてシェークし、グラスに注ぐ。クラッシュアイスで満たし、プラムパウダーを振りかける。
——このカクテルにおける「iichiko彩天」のポテンシャルとは?
佐藤 麹由来だと思うのですが、「iichiko彩天」には独特のミルキーさがあります。華やかさと麹から感じられる味の厚みを活かして、さらに合わせるスピリッツをココナツミルクウォッシュをしてミルキーさを増長させました。甘味はマーマレードのみ。ジャスミン茶を加えることで、軽い渋みや後味をさっぱりとさせる風味と相乗させます。
- 彩天 マーマレードフィズ
- 〈レシピ〉
- ・iichiko彩天
・ココナッツミルクウォッシュしたKIKKA GIN 朱華
・マーマレード
・ジャスミン茶
・炭酸水 - 〈つくり方〉
- 炭酸水以外の材料をシェーカーに入れてシェークし、氷を入れたグラスに注いで炭酸水で満たす。ドライストロベリーを飾る。
▼プロフィール▼
Tom Liu(トム リウ)
中国系アメリカ人として、1989年、アメリカカリフォルニア州オークランドで生まれ、サンフランシスコのベイエリア周辺で育つ。大学生の時、叔母が営むレストランで働き、飲食業を体験。大学卒業後、ホスピタリティのキャリアを追求するべくホテルでベルマンになる。さらにホスピタリティのキャリアを積むためにバーテンダーへ転身。数店の高級レストランで働く。気分転換のため2017年、ロサンゼルスに引っ越す。2018年「NoMad Los Angeles」の立ち上げに携わり、ハイエンドなバーテンディングの研鑽を積む。コロナ禍で同バーが閉店。「Thunderbolt」で立ち上げから働き始める。科学的な手法で複雑なカクテルを素早くつくらなければいけないというこれまでとまったく異なる環境で、バーテンディングを勉強し直す。現在、同店「Thunderbolt」ヘッドバーテンダーとして活躍。North America‘s 50 Best Bars 2023で第9位(西地区1位)、「World’s 50 Best Bars2023」でも89位にランクイン。
佐藤 由紀乃(さとう・ゆきの)
埼玉県出身。「SPRITS & SHARING.INC」ジェネラルマネージャー。ホテルの専門学校卒業後、「シャングリ・ラ ホテル東京」に入社し、ロビーラウンジの立ち上げスタッフとなる。バーテンダーの道を志し、2011年、「SPRITS & SHARING.INC」入社。「ボルス アラウンド ザ ワールド2014」 ジャパンファイナリスト。カクテル開発をはじめ、お茶とカクテルをコンセプトとした東京・銀座「Mixology Salon」や国酒のカクテルを提案する東京・日比谷「FOLKLORE」などさまざま店舗の立ち上げを経験し、現在は、「FOLKLORE」のメインバーテンダーを務める。海外でのゲストバーテンディングも積極的に行っている。
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。