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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2024.06.7 Fri

セッションするたび、自由がみつかる。〜あなたとニッカの“セッション”〜ニッカウヰスキーのパイオニア精神と、
自身のフルーツカクテルへの想いが共鳴

宮之原 拓男さん(BAR ORCHARD GINZA/東京・銀座)
[PR]アサヒビール株式会社

2024年で創業90周年を迎えるニッカウヰスキー。数あるウイスキーの中でも、『ニッカ セッション』は2020年発売の比較的新しい銘柄で、日本の余市モルト、宮城峡モルト、ベン・ネヴィスを含むスコットランドのモルトが多様にブレンドされている。それにより味わいの表情が実に豊かで、どこを切り取るかによって感じ方が変わる。だからカクテルにすると面白いのだ。

当企画では、3人のバーテンダーに『ニッカ セッション』を使ったカクテルを考案してもらう。さらに、「あなたとニッカの“セッション”」をテーマに自身のバーテンダー人生とニッカウヰスキーが共鳴し、「奏楽」する点を語ってもらった。

1人目は、銀座「BAR ORCHARD GINZA(バー オーチャード ギンザ)」の宮之原拓男さんだ。

新しい挑戦を成した『ニッカ セッション』はフルーツカクテルに重宝する存在

綺羅星のごとく名バーが並ぶ銀座で、宮之原拓男さんがフレッシュフルーツカクテルに特化したバーを開いたのは2007年のこと。17年経った今もそのコンセプトは変わらず、さらなる独自の進化を遂げている。 

メニューはない。いや、注文時に目の前に運ばれてくるざっと20種類ほどのフルーツ自体がメニューなのだ。

いざ、カクテルを注文すると、バックバーに数々の多彩なカクテルグラスが並んでいるというのに、運ばれてきたのはなんと哺乳瓶。隣客は卓上サイズのバスタブだ。哺乳瓶に牛乳を使ったカクテルが、バスタブには泡風呂を思わせるフォームを乗せたカクテルが注がれている。ユニークなプレゼンテーションに客たちは拍手喝采。しかも、しっかりおいしい。

こんなスタイルが海外まで噂を呼び、今や全体の99%が外国人客で、その大半が何度も宮之原さんの元を訪れているリピーターである。

「海外のお客様に日本のウイスキーを希望されることが多く、ニッカウヰスキーはなくてはならない存在です。ニッカ セッションは固定観念を捨て去り、ジャパニーズとスコティッシュのモルト原酒を共演させた『ブレンデット・モルト』という新しい挑戦のウイスキー。みなさん、大変興味をもって召し上がります」

宮之原さんは「ニッカ セッション」の味わいをこんな風に語る。

「初めてストレートで飲んだ時は、まさに洋梨のフレーバーを感じました。試しに熟した洋梨をかじってニッカ セッションを口に含んでみたら、完璧なマリアージュ!リンゴのような風味もあり、バニラやシナモンといった余韻が広がります。香りも味わいもユニークでカクテルのベースとしても使いやすく、華やかな香りのフルーツがとても相性がいいので重宝しています」 


「BAR ORCHARD GINZA」オーナーバーテンダーの宮之原拓男さん。「ニッカ セッションの洋梨やリンゴのような風味や軽やかなスパイシーさは、当店がメインとするフルーツカクテルにしっかり映えます」

リンゴがキーのカクテルは、卵白を使って香り高くシルキーな口当たりに

「ニッカウヰスキーの歴史を交え、前身『大日本果汁株式会社』をテーマにリンゴをキーにしたカクテルを創作しました。主力商品はリンゴジュースでしたから。ニッカ セッションが持つバニラ、キャラメル、シナモンのような味わいを立体的に表現することを心がけました。リンゴは果汁が少ないので、卵白を使うことでボリュームが増すと共にリンゴの香りを転写することができますし、スタンダードなウイスキーサワーに比べてシルキーな口当たりに仕上げられます。シナモンは樽の熟成香を、アールグレーリーフはリンゴの皮のタンニンとつながるイメージです。卵白を使っているので卵のグラスを選び、そこにアヒルを添えて、お客様を笑顔にするギミックにしています(笑)」

オリジナルカクテル「日果サワー」。差し出された瞬間、思わず笑顔がこぼれてしまうギミックが効いている。プレゼンテーションは面白みだけでなく、素材やストーリーと関連した「なるほど」と思えるものを選んでいる。


日果サワー
〈レシピ〉
・ニッカ セッション 40ml
・アマーロ 10ml
・レモンジュース 20ml
・シロップ 10ml
・バニラリキュール 1tsp
・卵白 卵1個分
・リンゴ(角切り) 1/4個

(仕上げ用)
シナモンパウダー、アールグレーリーフ、オレンジピール1片

〈つくり方〉
すべての材料をブレンダーに入れ、少量のクラッシュアイスを加えて攪拌する。
ザルで濾してグラスに注ぎ、オレンジピールを絞りかけて添える。シナモンパウダー、アールグレーリーフを振りかける。


「日果サワー」のカクテルメイキングはこちらからご覧いただけます。

誰もやっていないことをやりたい——
フルーツカクテルに懸ける想いがニッカウヰスキーのパイオニア精神と共鳴

子どもの頃、父親がゴルフコンペで獲ってきた4ℓ近い「スーパーニッカ」の大瓶が家の居間に飾ってあった。学生時代、アルバイト先で初めて飲んだ真っ当なウイスキーがニッカウヰスキー製だった。社会人になってからは、商品として日常的に扱ってきた。

人生と共にあるニッカウヰスキーについて、宮之原さんはこんな印象を抱いている。

「日本で本物のウイスキーをつくりたい、という思いから始まった竹鶴政孝氏の取り組みに情熱とパイオニア精神を、卓越したブレンド技術を今に継承している点には偉大さを感じます」

「一番大事なのは味の追求。その先に、お客様の緊張をほどく喜びや愉しみの工夫があります」

今でこそフルーツカクテルに力を入れるバーは多いが、「BAR ORCHARD GINZA」開店当時、ことに銀座では稀有な存在だったという。

「銀座は日本一と言われるバーの街で、それぞれのバーに店を代表するカクテルやバーテンディングのスタイルがありました。神戸から上京してくる時、銀座のバーでやっていないものはなんだ?と考えて、出てきた答えがフレッシュフルーツのカクテルをメインとすることでした。純粋に僕自身が好きだったんです。今でこそフルーツカクテルを出すバーは増えていますが、当時は銀座でそれをメインとするバーはなく、同業者にもお客様にもなかなか受け入れてもらえず、否定的な意見も多かったです。でもそこから一歩踏み出したことで、今では市民権を得ました。一番にカクテルの味を、次にあなたのためだけの一杯という思いが伝わるプレゼンテーションを極めていくことで、このバーの存在もフルーツカクテルというものも認知されたように思います」

新しいカクテルの世界を切り拓いてきた宮之原さんは、いわばフルーツカクテルの先駆者だ。その精神こそが、ニッカウヰスキーのパイオニア精神と共鳴する。


宮之原 拓男(みやのはら たくお)
銀座「BAR ORCHARD GINZA」オーナーバーテンダー。1975年生まれ、鹿児島県出身。大学卒業後、96年「ホテルオークラ神戸」に入社しソムリエとして勤務。ホテル内のフレンチ、中華、鉄板焼、和食とさまざまな業態のレストランを経て、バーテンダーへ転属。2007年、妻でバーテンダーの寿美礼さんと共にフルーツカクテルに力を入れる「BAR ORCHARD GINZA」を開業。メキシコのバーショーをはじめ、世界各国で日本のバーの歴史やカクテル構築のプロセスなどをレクチャーする一方、自店では常時、約20種類ほどの季節のフルーツを用意し、クリエイティブなフレッシュフルーツカクテルを創り続けている。

BAR ORCHARD GINZA(バー オーチャード ギンザ)
東京都中央区銀座6-5-16 三楽ビル7F
アクセス:東京メトロ銀座線・丸ノ内線・日比谷線『銀座』駅 徒歩3分
営業時間:18時〜24時/定休日は日曜・祝日
TEL:03-3575-0333


インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』『EST! カクテルブック』(ともにプレジデント社)などがある。


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