Fever Treeフィーバーツリーが形を変えて創り出す
3種類のシグネチャーカクテル

世界中から厳選した植物由来の成分から造られるイギリス・ロンドン発のプレミアムミキサー「フィーバーツリー」は、その品質の高さから世界80か国以上で販売され、多くのバーテンダーに愛されてきた。

フィーバーツリーのフラッグシップといえば、「プレミアム トニックウォーター」。日本に初上陸してから瞬く間に話題となり、現在はプレミアム ソーダウォーター、プレミアム ジンジャーエール、プレミアム ジンジャービアを含めた6種類のフレーバーを展開している。

今回は、業界で活躍するトップバーテンダーにフィーバーツリー トニックウォーターとスーパープレミアムテキーラ「1800 クリスタリーノ」を組み合わせた、3種類のシグネチャーカクテルを提案していただいた。フィーバーツリーを自宅でも、バーでも楽しみたい。そんなリクエストに応えて頂いたのが、新宿で「SPIRITS BAR Sunface SHINJUKU」を営む江刺さんだ。

メディタレーニアン トニックウォーター×1800 クリスタリーノ
“サステナブル”と“映え”を両立させた、おうちカクテル

　
まずは、近年国内のバーでもその名が広まりつつある「パロマ」のツイストをご紹介しよう。

国内外でのゲストシフトや、カクテル専用のジンを監修するなど幅広く活動する江刺幸治さん。クエルボ社主催の世界大会で総合優勝した経験を持つ。

「現地メキシコの『パロマ』は、塩でリムドしたグラスにテキーラとライムジュース、スクワート（グレープフルーツ風味の炭酸飲料）を入れて混ぜます。そのグレープフルーツを丸ごと器にして、ボンビージャで果汁をすくいながら好みの味わいに調整して飲むスタイルにしました。フィーバーツリー メディタレーニアン トニックウォーターが清涼感と複雑な風味を与えてくれます」

パロマを作るときにグレープフルーツを搾るなら、皮を器として再利用してもいいのではないかという発想。“サステナブル”と“映え”を両立させた一杯だ。自宅でも簡単に作れて、パーティなどで提供しても面白い。飲み干した後でも、“追いパロマ”をすればそのまま何度か器が使える。

「多種類のハーブがおり重なった複雑さのあるメディタレーニアンは、緑色の素材と合います。例えばカルダモン、きゅうり、キウイ、紫蘇など。テキーラトニックにそれらを添えるだけでも、ちょっとしたアクセントに。シンプルに作っても、シンプルな風味にならないのがメディタレーニアンの良さですね」

「クリスタルパロマ」の名は、クリスタルのような透明度のある「1800 クリスタリーノ」から。塩は旨味塩を使っているが、ご自宅で作るなら何でもOKとのこと。

「丸ごとグレープフルーツのクリスタルパロマ」のカクテルメイキング動画はこちら
　

メディタレーニアン トニックウォーター×1800 クリスタリーノ
メディタレーニアン トニックウォーターがレモンティー香るシロップに⁉

　
そのまま注いで用いるのがトニックウォーターの一般的な使い方だが、シロップにするという小技の効いた一杯がこちら。先ほどのおうちカクテルとは異なり、バーテンダー向けに考えたレシピだという。シロップは、フィーバーツリー メディタレーニアン トニックウォーターときび砂糖を２：１の割合で煮たものだ。

「ほかの糖分でも試してみたのですが、きび砂糖を使うと不思議なことにレモンティーが香るシロップになります。このボリューム感と酸味がコーヒーとマッチするのではないかと考えました。コーヒーとレモンやライムの酸味を合わせるのは難しいのですが、メディタレーニアン トニックウォーターを使ったこのシロップならばっちりです」

以前から江刺さんが作っていた「エスプレッソ マルガリータ」をシンプルに再構築し、メディタレーニアン シロップを加えた新しいトニックウォーターのカクテル。1800 クリスタリーノの印象を「オレンジのような柑橘感とバニラのようなボリュームのある華やかさ」と捉え、仕上げにオレンジピールをかけた。エスプレッソは酸味のあるアラビカ種を使っている。

「アガベシロップで作るカクテル『トミーズマルガリータ』にメディタレーニアン シロップを使ってみたら、美味しかったです。ウイスキーサワーやジンフィズなど、いろいろなカクテルに応用できるのではないでしょうか。最もわかりやすい例で言えば、ロングアイランドアイスティーにメディタレーニアン シロップを入れるとより紅茶っぽくなりますよ」

メディタレーニアン シロップの紅茶のような甘味と酸味、1800 クリスタリーノの滑らかで甘いハーブ感がエスプレッソと融け合って至極の一杯に。

「1800エスプレッソ マルガリータ」のカクテルメイキング動画はこちら
　

エルダーフラワー トニックウォーター×1800 クリスタリーノ
エルダーフラワーのシロップとフォームで、クリエイティブなカクテルが完成

　
「先ほどのメディタレーニアン シロップと同じ方法でエルダーフラワー トニックウォーターのシロップを作って、エスプーマによるフォームも加えました。N₂O（亜酸化窒素ガス）でも試しましたが、CO2を添加した泡にグレープフルーツの風味と炭酸を感じたことから『これをパロマにできるかもしれない』と思い付いたんです」

下の液体がマルガリータ、上の泡がパロマという夢の融合。シロップからさらに形を変えたフォームは、フィーバーツリー エルダーフラワー トニックウォーターにゼラチンを混ぜて冷やすだけで作ることができ、シロップ共に容易な手順ながらクオリティの高い材料に仕上がっている。シロップは温めた時、フォームはゼラチンと混ぜた時にどちらにせよ炭酸が抜けるので、炭酸が抜けてしまったものでも作れるのがいい。

エルダーフラワー シロップはきび砂糖ではなくグラニュー糖を用いているため、エルダーフラワーそのものをより感じられるフレーバーに。ギムレットなどのシロップを使うカクテルに代用すると、より華やかな一杯になる。フォームはフレッシュフルーツカクテルの上に乗せれば、フルーツの甘味にエルダーフラワー　トニックウォーターの華やかさや苦味が重なり2層のカクテルが出来るのでは、と江刺さんは言う。

「苦味を意識しやすいトニックウォーターの中で、ほかの商品にはない華やかさがフィーバーツリー エルダーフラワー トニックウォーターの特長です。シロップやフォームのように形態が変化しても、その特長が残る安定感はとても魅力的。これらを作れることは、バーテンダーにとって大きな武器になります」

「1800 クリスタリーノは熟成されていながら、樽からくるエグ味や焦げ感がないのが強み」と話す江刺さん。味わいに厚みがあり、フィーバーツリーの自然な味わいと上手く調和するのだとか。

エルダーフラワー　トニックウォーターがシロップ、フォームと形を変えて大活躍。万能なのでどんな素材とでも合うが、桃、キウイ、みかん、スペアミントなどと相性がいいそう。

「マルガリータとパロマの間」のカクテルメイキング動画はこちら

江刺 幸治プロフィール
千葉県出身。19歳から飲食業界に入り、テキーラやラムに特化したバーなどで勤務する。その経験を活かし、2011年にスピリッツをコンセプトとしたバー「SPIRITS BAR Sunface」をオープン。各種セミナー講師やスピリッツブランドの立ち上げなどを行い、日本のスピリッツ業界発展のために尽力している。ホセ・クエルボ社主催「ホセ・クエルボ ドンズ・オブ・テキーラ2015」世界大会の総合優勝など、受賞歴多数。

SPIRITS BAR Sunface SHINJUKU
東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビル10F
03-6302-0809

インタビュー・文　いしかわあさこ
バーとカクテルの専門ライター。ウイスキー専門誌『Whisky World』の編集を経て、フリーランスに。
編・著書に『The Art of Advanced Cocktail　最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist　スタンダードカクテルの再構築』（旭屋出版）『重鎮バーテンダーが紡ぐスタンダード・カクテル』『バーへ行こう』『ウイスキー ハイボール大全』『モクテル & ローアルコールカクテル』『ジン カクテル』『ウイスキー カクテル』（スタジオタッククリエイティブ）がある。
2019年、ドキュメンタリー映画『YUKIGUNI』にアドバイザーとして参加。
落語と飲食店巡りが好き。愛犬の名前は“カリラ”。