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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

NEW2024.10.29 Tue

NIKKA FRONTIER Collaboration cocktails季節の果実やハーブ、あるいは摘み立ての野草と。ワイングラスで愉しむミストスタイルの新提案。

鹿山博康(Bar BenFiddich)
[PR]ニッカウヰスキー株式会社

2024年で創業90周年を迎えるニッカウヰスキー。この節目となる年の10月1日に、「余市」モルトをキーモルトにしたブレンデッドウイスキー「ニッカ フロンティア」が新発売する。創業者・竹鶴政孝のフロンティアスピリットと同社の革新的な挑戦を表現したウイスキーだ。

ニッカ フロンティアの発売を記念して、新しい分野を切り開いてきたフロンティア精神溢れる5人のバーテンダーにこれまでの挑戦を訊き、「ニッカ フロンティア」にふさわしいハイボールとカクテルを提案してもらう。世界的に活躍するバーテンダーへのスペシャルなインタビューの最後に登場するのは、『Bar BenFiddich』の鹿山博康さんだ。

鹿山博康さんのフロンティアストーリー

オリジナリティの追求から、ボタニカルを自家栽培する「Farm to Glass」にたどり着いた

英国メディアのウィリアム・リード・ビジネス・メディアによる、アジア地域すべてのバーの中から50店舗を表彰するアジア最高のバーアワード「Asia’s 50 Best Bars 2024」。『Bar BenFiddich』は5位に選出。2023年の4位に続いて国内最高位をマークした。

その中心に立つオーナーバーテンダー、鹿山博康さんは生まれ育った埼玉県ときがわ町に畑を持ち、自身で育てたハーブや果実をふんだんに用いてカクテルに昇華する「Farm to Glass」を体現する。バーから車で約1時間。畑に通って土にまみれ、夜は白いバーコートに身を包む。人呼んで、「農家バーテンダー」。日焼けした鹿山さんの手から繰り出されるのは、オリジナリティ溢れるカクテルばかりだ。

20歳でバーの世界に入って21年。唯一無二の存在感を放つ鹿山さんだが、これほどまでに野山に親しむバーテンダーになる考えはまるでなかったと振り返る。

「都会に憧れて、地元を出て東京でバーテンダーになったわけですしね(笑)。誰もつくったことのないカクテルをつくってみたいと思ったのがきっかけです。オリジナリティを追求するべく、市場に出回っていないボタニカルを手に入れるために実家の畑で種子から育ててみようと思ったのです。すると、だんだん『意外と実家いいな』と気づき始めてしまって。今では週に2回は実家の畑に通っています。いろんな国を訪ねる機会が多いのですが、先日タイに行ったときは、山に囲まれた北部の原住民の村を訪ねました。年々自然が好きになってきています」

オリジナリティの追求は、鹿山さんにとって「原点に立ち返ること」とも共通する。

「古書に埋没した100年以上前のレシピを、現代的に解釈してカクテルにします。数年前から金属製のバースプーンをやめ、枝を使っています。ある日、このバースプーンじゃないといけないのか、、とはたと不思議に思えてしまって。固定観念に捉われることをやめてみようと思ったのです。考えてみれば、バースプーンの原点は枝ですしね」

鹿山さんが挑戦したいことはまだまだある。目下の構想は、実家の畑に家を建てること。それも鹿山家の山に祖父、曾祖父が植えた木を製材し、伝統工法で建てるのが夢だ。

「仕込み場兼ラボのような”鹿山ハウス”をつくりたいですね。そこでバーもやりたいなぁ。どこの駅からも遠い場所ですけどね。最寄り駅のないバーが果たして成立するのか挑戦してみたいですね(笑)」

鹿山博康さんが感じた「ニッカ フロンティア」

「スモーキーでウッディ。高い度数ゆえの力強さがある」

伝統的なウイスキーの価値観からの変化に挑戦するウイスキー「ニッカ フロンティア」。テイスティングをしてみた鹿山さんの印象はこうだ。

「『余市』の力強さを感じました。その力強さを活かして、冷凍庫でキンキンに冷やして氷なりのハイボールにするのもおいしそうだと感じましたね。アルコール度数が48%と高めなつくりで、そこに『このウイスキーをこう飲んでほしい』という意思を感じます。度数が高いなりの活かし方があるのです。たとえば、40%~43%といった度数は加水量が多いのでもともと水となじんでいますが、48%ともなると急激に加水しては味がばらけてしまいます。少し高めの度数を保ったまま、ウイスキーの味わいが感じられる強さで味わうのがよいのでは、と思います」

NIKKA FRONTIER オリジナルカクテル

「ニッカ フロンティア」の味わいを生かした2つのカクテルを考案してもらった。1つは、クラシックカクテルを新解釈したアレンジハイボール。もう1つは、鹿山さんらしい世界観が広がるうえ、たやすくまねできるレシピに落とし込んでもらったイノベーティブなカクテルだ。

鹿山博康さんの「ニッカ フロンティア」アレンジハイボール

「Benfiddichでは、ショートスタイルのクラシックカクテルを炭酸割りや水割り、フィズにしてカジュアルに愉しんでいただくことが多いのです。オールドファッションドをハイボールにしたり、マティーニをトニックウォーター割りや水割りにしたり。薄めるというよりは、伸ばすイメージです。今回は、ニッカ フロンティアと90年代初頭までニッカで製造されていたベルモットでマンハッタンをつくり、ハイボールスタイルに。味がへたってしまわないよう、レシピを調整することもままありますが、これは当店のマンハッタンにまさに炭酸を加えただけのもの。ニッカ フロンティアはもともと腰が強いウイスキーなので、伸ばしても味わいが崩れないのですね。世界のさまざまな国を訪ねる機会が多いのですが、日本ほどハイボール好きな民族はいないと感じます。ロングスタイルにすることで、ゆっくりラフに飲めますし、アルコール度数の高い強いカクテルもリフレッシングカクテルとして愉しめます」

マンハッタンハイボール
〈レシピ〉
・ニッカ フロンティア:45ml
・スウィートベルモット:15ml
・アンゴスチュラビターズ:1dash
・炭酸:適量
〈つくり方〉
①グラスにニッカ フロンティア、スウィートベルモット、アンゴスチュラビターズを入れて軽くスワリングする。
②ミキシンググラスに氷を入れ、①を注ぎ、ステアする。
③を氷を入れた大きめのハイボールグラスに注ぎ、炭酸でアップし、軽くステアする。

鹿山博康さんの「ニッカ フロンティア」オリジナルカクテル

「グラスにクラッシュアイスをたっぷり入れて、ウイスキーを注ぐミストスタイルのカクテルです。ミストスタイルというとロックグラスで提供することが多いのですが、香りを豊かに捉えられるワイングラスにすることで、”香りのカクテル”となります。クラッシュアイスの中には、リンゴやオレンジのスライス、ブドウ、イチゴといった季節の果実と、ミントやローブマリー、セージといったハーブを入れましょう。セロリの葉なんかを入れてもいいですね。屋外のバーベキューでしたら、その辺の草をむしって入れてもいいですよ(笑)。とても自由度の高いカクテルなのです。フルーツや青いボタニカルの香りは、ウイスキーのモルトの香りと共に、多層的な味わいがグラスの中に広がります。氷が溶けて、アルコール度数が下がっていく感じもいいものです。好きなものを入れて愉しんでください」

ワイングラスと草根木皮
〈レシピ〉
・ニッカ フロンティア:適量
・好きなハーブ(ミント、ローズマリーなど)、フルーツ(スイカ、ぶどう、オレンジなど)、スパイスなど
・クラッシュアイス
〈つくり方〉
ワイングラスにニッカ フロンティアを注ぎ、スワリングする。クラッシュアイスを入れてスワリングし、ハーブやフルーツ(撮影時はミント、ローズマリー、スイカ、ぶどう、オレンジ)を加える。


鹿山博康さんのオリジナルカクテル動画

鹿山博康さんががつくる2つの「ニッカ フロンティア」オリジナルカクテルのメイキング動画をご紹介。

やりたいことを貫き、バーテンダーであり続けることが自分にとっての挑戦


「伝統的なウイスキーの価値観からの変化に挑戦するウイスキー」を謡う「ニッカ フロンティア」。順風満帆に見える鹿山さんのバーテンダー人生も、振り返ってみれば挑戦の連続だった。

「薬草酒の憧れも自分で育てたボタニカルの活用も、はじめは認められないことがあって心が折れかけたことがあります。枝のバースプーンを回し始めた時もしばらくは『何で枝なんだ?』と言われ続けていましたしね。『原点だから』と答え続けていたらもう言われなくなりましたけれど。怒られたからとそこでやめてしまっては、それまでです。自分がやりたいと思ったことは貫くことしかないと思うのです」

鹿山さんに、今年90周年を迎えるニッカウヰスキー、創業者の竹鶴政孝のフロンティア精神に思いを馳せてもらった。

「本格的なウイスキーをつくりたいという思いで、約1カ月もかけて船でスコットランドに渡った時の心情はどんなものだったのですかね。英語も達者ではないでしょうし、よほど強い精神がないと生活できないですよね」

では、鹿山さんにとってのフロンティア精神の源泉はどこにあるのだろうか?

「この先10年も20年も30年も、バーテンダーを続けていきたいと思っています。そのためには停滞していけません。知らない土地でインプットしてきたことや、見たことのないカクテルをお出しすることにお客様も刺激を受けてくださっているように思います。新しいことを取り入れながら継続し続けることが、僕にとっての挑戦です」


鹿山博康(かやま・ひろやす)
1983年、埼玉県生まれ。専門学校卒業後、都内の老舗ホテルへ就職し、バーへの配属をきっかけにバーテンダーの道に入る。ホテル退職後、東京・西麻布「Bar Amber」2013年7月、バー「Bar BenFiddich」を開業。2017年にはフルーツブランデー専門店「BAR B&F」を開く。『Farm to glass』を提唱し、外秩父の麓・ときがわ町にある自身の畑で採取したボタニカルをはじめ、界隈で自生する日本在来種の草・根・木・皮などもカクテルにする。2015年ボタニスト・ジン・フォリッジ・カクテルコンペティション優勝。海外でのゲストバーテンディングにも積極的に取り組んでいる。

Bar BenFiddich/バー ベンフィディック
東京都新宿区西新宿1-13-7 大和家ビル9F
Tel. 03-6258-0309

インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。

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