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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2024.10.10 Thu

上野秀嗣 (BAR HIGH FIVE)× ビーフィーター『ビーフィーター 40度』のジントニックは、絶対的好相性のレモンと後のせソーダで抜群の清涼感を生む

上野秀嗣 (BAR HIGH FIVE)× ビーフィーター

[PR]サントリー株式会社

ジントニックは店の顔。シンプルなレシピだけにベースのジン、合わせる素材、つくり方などバーテンダーの想いが色濃く映し出されることから、その店の味わいの傾向が分かるという。それだけに、ジントニックには並々ならぬこだわりを持つバーテンダーが多い。そして、その味わいを求めるカクテルファンもまた多い。

今回、BAR TIMES読者からのリクエストに応え、2018年に実施した特集企画「ジントニックスタイル」の最新版として、『ジントニックスタイル 2024』をお届けする。

 
重厚感のあるバーへ足を踏み入れると、耳に入ってくるのは英語にイタリア語に中国語にスペイン語。外国人客が多いのは、今に始まったことではない。現在ほど日本にインバウンドが多くない時代から、「BAR HIGH FIVE」にはここを目指してやって来る海外からのお客で満ちるバーだった。
それは、オーナーバーテンダーである上野秀嗣さんが、長年にわたって海外へ日本のバーテンディングの技術を広めてきた結果であり、評判が評判を呼び、実際に来店したお客たちの満足を表している。
日本を代表するバーテンダー、上野さんが、思い入れのあるジン『ビーフィーター 40度』でつくる理想のジントニックを紹介しよう。

ジントニックは最初のひと口の軽やかさが一番大事

 
日本を代表するバーのひとつ、「BAR HIGH FIVE」オーナーバーテンダーの上野秀嗣さん。多くのバーテンダーを海外の大会に引率したり、日本のバーテンディングを広めるなど、バー業界への功績は大きい。

上野さんがつくるジントニックを口にしたなら、ジントニック好きな人ほど驚かされるだろう。ひと口目の清涼感が圧倒的だからだ。

上野さんは、「ジントニックはこれから飲み始めるはじめの一杯としても、食前酒としても、あるいはシメの一杯にもなる万能なカクテル」と捉える。ただ、どんなシチュエーションにおいても変わらないのは「ジントニックは最初のひと口が一番大事」という考えだ。

「ひと口目がおいしいと思えるのに肝心なのは、軽やかさ。トニックウォーターの甘味を抑えようとソーダと割るソニックにする手もありますが、それでは全体がのっぺりしてしまう。そこで、仕上げにソーダを浮かせれば軽やかさが生まれます。最初は爽やかに軽く。でもふた口目以降は、飲み進めていくほどにジンの味わいを愉しめる仕立てです」

16オンスの薄口グラスに氷を2つ。たっぷりとした飲み口も心地よく、グラスに鼻を近づけたそばから立ち上るレモンの爽やかなアロマがいっそうの清涼感を生む。実はこのアロマの立ち上り方も、上野さんは計算済みだ。

「柑橘のピールには重く苦い成分と、軽く爽やかな成分が含まれています。ピールを空中で絞ると、苦い成分は下へ落ち、爽やかな成分は上へ舞うのがよく分かりますよ。僕は、ひと口目が軽やかなジントニックにしたいから、上に舞った軽やかな成分だけをグラスに乗せるようにしているんです。空調によるわずかな風の流れも読みとります。ピールもそのままグラスへ落としてしまえばどんどん苦味が出てきてしまう。でも、空中で絞り切って苦い成分を出し切れば、いい香りだけをまとったピールになって、最後のひと口までおいしく味わえるのです」

シトラス香る『ビーフィーター』に合わせる柑橘は、断然レモンがいい

 

ジントニックはごくシンプルなレシピながら、バーごとにアプローチは異なり、同じものはない。

「ビーフィーターは、歴史あるロンドン・ドライ・ジンのなかでもひと際シトラスの香り爽やかで軽やかなジン。どんなジンベースのカクテルのベースにもフィットする万能派ですが、ジントニックでならことさら爽やかさを満喫できます」

合わせる柑橘ひとつとっても、バーテンダーによって考え方は異なるもの。上野さんが『ビーフィーター』でつくるジントニックに合わせるのは、レモン1択だ。

「日本ではライム優勢ですが、繊細なビーフィーターには酸味が立ちすぎてしまいます。とくにビーフィーターのアルコール度数40度のものは、47度に比べて飲み口はさらに軽やか。そこにレモンを合わせれば、キリッとシャープに仕上げられ、引っ掛かりがなくシューッと飲める一杯になります」

『ビーフィーター 40度』は「冷蔵」保存。素早いステアで仕上げる

「『ビーフィーター』でジントニックをつくるなら、アルコール度数40度のものを選ぶ」という上野さん。25年ほど前のカクテルコンペティションでも、『ビーフィーター 40度』を携えて出場し、優秀賞を獲得したこともあるという思い入れあるジンである。

「47度は終売になるけれど、僕にとっては大きな問題ではありません。僕がジントニックで狙うのは、度数にしても味わいにしてもシューッと飲めるもの。その点で40度はぴったりフィットします。どんなカクテルを狙うかによって、使う材料の個性をどう生かし、どう着地させるかがバーテンダーの仕事であり、技量だと思います。ないものを嘆くよりあるもので勝負するのが私の信念です」

理想のジントニックを体現するべく、上野さんがことに気を配るのはジンと氷の温度である。
『ビーフィーター 47度』の場合は「冷凍」で保存するが、『40度』の場合は「冷蔵」で保存する。氷は薄皮を一枚はがすようなイメージで、表面をゆるませておく。

「氷から溶け出る水分の取り込み具合が、仕上がりを大きく左右します。47度ならステアをしっかりして、冷凍庫に入れていたジンの温度をゆっくり上げて氷と温度を合わせていく。冷蔵庫に入れていた40度ならステアは短めに。氷が溶けだす前に手早くつくります」

『ビーフィーター40度』は、氷との温度差が少ない冷蔵で保存する。氷の水分が溶けださないうちに、ジンの爽やかさを活かしたジントニックをつくり上げる。

あの感動的な清涼感は、炭酸の発泡感によるところも大きい。

「よくトニックウォーターやソーダを注ぐときは、氷に当てないようにと言うけれど、その理由を考えなければならず、あまり明確に語られていません。氷に当てないというよりは、グラスの内側を狙ってトニックウォーターを瓶から注ぐ際、波立たないように少し勢いよく注ぐことで、グラスのなかに自然な対流を生むことが大事なんです。そうすれば、炭酸が無駄に抜けることもなく自然に全体が混ざるのです」

すべての工程に意味がある。上野さんに訊くほどに、あの驚きの味わいに合点がいく。

『ビーフィーター 40度』のジントニック。最後のひと口まで爽やかでスムースな飲み口が続く。

「ジントニック」
〈レシピ〉
・ビーフィーター ジン40度:45ml
・レモンジュース:5ml
・フィーバーツリー
 プレミアム トニックウォーター:適量
・ザ・プレミアムソーダ
 FROM YAMAZAKI:適量(フロート)
・レモンピール:1枚
〈つくり方〉
①16オンスの薄口グラスに氷を入れてステアし、水を切る。レモンジュース、ビーフィーター ジン40度を加えてステアし、フィーバーツリー プレミアム トニックウォーターでグラスを満たす。
②ザ・プレミアムソーダ FROM YAMAZAKIをフロートし、レモンピールを振りかけてグラスに入れる。


「ジントニック」のメイキング動画はこちら

上野秀嗣(うえのひでつぐ)


1968年生まれ、北海道出身。東京・銀座「BAR HIGH FIVE」オーナーバーテンダー。一般社団法人日本バーテンダー協会会長。令和3年「現代の名工」受章。令和5年黄綬褒章受章。大学在籍中、米国に留学。大学卒業後、日本バーテンダースクールに入学し、コースを修了。銀座のバーで働きはじめる。2000年〜2008年、「スタア・バー・ギンザ」ヘッドバーテンダー。2008年7月、「BAR HIGH FIVE」開店。日本バーテンダー協会では、史上最年少理事として2011年度まで国際局を担当し、選手を海外の国際大会に引率。「世界のベストバー50」に選出されるなど、日本を代表するオーセンティックバーとして世界的にその名を知られている。

BAR HIGH FIVE(バー ハイ ファイブ)


店名は、日本で言うところの「ハイ・タッチ」を意味。連夜、海外からのお客で満席となり、店内には各国の言葉が飛び交う。日本のバーテンディングの技術が冴えるスタンダードカクテルはもとより、キーワードや好みを伝えてクリエイティブな一杯を提供してもらうことも可能。洗練された雰囲気の中、上質なカクテルが愉しめる。

東京都中央区銀座5丁目4-15 Efflore Ginza5 Bldg B1F
アクセス:地下鉄銀座駅徒歩2分
営業時間:17時~22時30分(最終入店)
定休日:日曜、祝日
TEL:03- 3571-5815

ビーフィーター 公式サイト Instagram

インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。

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