fbpx

バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

NEW2024.11.14 Thu

CAMPARI RED HANDS ASIA 2024
日本大会 優勝者インタビュー
旨味を全面に押し出したカンパリの
出汁割りカクテルで優勝を飾る

服部瑠華さん(The SG Club/東京・渋谷)

鮮やかな赤色に唯一無二のビターテイストの「カンパリ」。1860年の創業以来、多くのバーテンダーの創造力を刺激し、新しい挑戦を生み出してきたイタリアを代表するハーブリキュールだ。

2024年9月24日(火)には、カンパリの本質を体現し、クリエイティブで情熱的、職人のスピリットを持ったバーテンダーの集まり「CAMPARI RED HANDS」のアジアチャンピオンを決めるカクテルコンペティション日本代表決定大会が開催された。

優勝者の服部瑠華さんに、カクテルに込めた思いと創造性、そして12月上旬にイタリア ミラノで開催されるアジアファイナル出場の意気込みを訊いた。

「CAMPARI RED HANDS ASIA 2024 日本大会」にかけた想い

 
優勝に輝いた服部瑠華さんは、2021年からバーテンダーの世界に入って3年、大会への出場は初出場だという。大学卒業後、一度は上京して医療機器メーカーに就職したものの、もっと直接的にホスピタリティを発揮できる仕事がしたいという思いと、将来は故郷・高知に帰郷し、地元の素材を使って何かを表現できるようになりたいという思いから、バーテンダーに転身することを決意した。
服部さんが通っていた秋田県の国際教養大学での授業はすべて英語。そこで身に着けた語学力も、インバウンドが連夜集う「The SG Club」でのバーテンダーの仕事に大きくつながっている。自身の実家が醤油屋ということもあり、在学中は秋田県内の老舗味噌醤油蔵でインターンの経験を積み、伝統的な場所に身を置くことで海外から見た日本についても考えを深めていったという。

「CAMPARI RED HANDS ASIA 2024 日本大会」で優勝を果たした服部瑠華さん。2021年より「The SG Club」でバーテンダーの研鑽を積んでいる。
順調にバーテンダーの経験を積むなかで、大会の出場を決めたのはこんな理由からだった。

「カンパリはオンリーワンの存在で代替品がないプロダクトだと思いますし、それ自体が大きな魅力だと感じています。シトラスの香りや複雑なフレーバーは、いろんな方向性のカクテルに昇華できます。そのカンパリがアジアチャンピオン大会を復活させると聞いた時から、俄然興味が湧きました。カンパリの唯一無二の美しい色味は女性バーテンダーのイメージにも合いますし、挑戦するなら優勝したいという意欲をもって臨みました」

大会のファイナルのテーマは、「ネグローニにインスパイヤされたカクテルを創る」こと。

「世界で一番飲まれているカクテルだけあって、世界中のどのバーでも提供されていてアレンジも無数にあります。その上で、さらに新しく面白いものを創るという難しさがありました」

旨味、辛味、酸味が交差しながら「もうひと口」を呼ぶホットカクテル

 
服部さんの優勝カクテルは、一見、ごくシンプルな見た目ながらユニークなコンセプトと工夫が凝らされている。

「カンパリの誕生した年、1860年に着目してインスピレーションを得ました。というのも、公的に初めて日本人がアメリカに渡り、世界を航海したとされる1860年は、The SG Clubにとっても大事な年代です。当時のサムライたちが航海中にカンパリに出会っていたらどんなカクテルを創るだろうか……という点からイメージを膨らましていきました」 

削りたての鰹節で出汁を取ってカンパリを割る、いわゆる”出汁割り”。シェリーや芋焼酎、日本酒も加わる。

「当時のサムライが愉しんでいたであろう日本酒や焼酎と、カンパリの故郷・イタリアのアペリティーボの文化を融合するべくそれらをミックスし、温かい出汁割りに仕立てました。出汁の旨味をベースに、チリリキュールの辛味をアクセントに。鰹節の香ばしさとカンパリのハーブ感をつなぐ役割にシェリーを採用しました。仕上がりの温度は約45度。より旨味が広がりますし、シェリーを加えることで余韻が長くなり、次のひと口を誘います」


カクテル名「Crociera(クロチェーラ)」は、イタリア語で「航海」の意味。出汁の旨味が全体を引っ張り、次のひと口、もうひと口と飲み進めてしまう。

Crociera(クロチェーラ)

材料

  • カンパリ:30ml
  • The SG Shochu IMO(本格焼酎 芋):10ml
  • デル・プリンシペ アモンティリャード(シェリー酒) 5ml
  • サン ロホ(チリリキュール):5ml
  • オリジナル出汁 (※1): 80ml

(※1)AFS ORIGINAL TANK(日本酒)25mlと水75mlを鉄瓶に入れて沸かし、鰹節3gを入れて1分ほど抽出して、濾す。

つくり方

  • グラスにすべての材料を加え、ステアする。

Crociera (クロチェーラ) のカクテルメイキング動画はこちら

優勝はひとつの通り道。表現者としてより高みを目指したい

 
「大会のファイナルに進んだ際、同グループのスタッフや先輩バーテンダー、常連客達の熱い応援が大きな支えになりました。ここまで来たらやるしかない、と腹を決めましたね(笑)。初めての挑戦だったからこそ、その緊張感も含めてワクワクしながら取り組めました。SG Groupファウンダーであり、私のボスである後閑信吾からは、『自分が優勝した時のイメージを持って大会に臨んで』というアドバイスをもらい、実践しました。優勝後は、お祝いの言葉をかけていただいたり、常連のお客様がすぐに優勝カクテルを飲みに来てくださって、本当によかったという思いと共にやっと実感がわいてきました」

右も左もわからない状態から入ったバーテンダーの世界。今回の優勝は大きな自信につながったものの、服部さんはすでに12月上旬にイタリア ミラノで開催されるアジアの頂点を決める「CAMPARI RED HANDS ASIA 2024 アジアファイナル」への出場と、その先にあるバーテンダーとしてのあり方を見据えている。

「チームの仲間やお客様から応援のパワーを強く感じているので、そのパワーをまるごと背負って大会で思い切り放出したいですね。今回のコンペティションの優勝はひとつの通り道。SG Groupの社風は挑戦者で溢れていて、私も挑戦し続けたいという刺激を受けています。表現者としてより高みを目指して、クリエイションしたカクテルを多くの方に愉しんでいただきたいと思っています」


服部瑠華さんとCAMPARI GROUP ブランドアンバサダーであり、CAMPARI Cocktail Competition Asia 初代日本チャンピオンの小川 尚人氏が競演。The SG Clubにて、一夜限りのカクテルイベントを開催。大会優勝カクテルも提供予定です。詳しくはこちらから

服部瑠華(はっとり・るか)
1997年生まれ、高知県出身。100年続く醤油屋に生まれる。大学時代にはスイスへの留学や、ヨーロッパ、東南アジア、南米、北米など20カ国以上を旅し、各地の歴史・風土・オリジナリティを肌で感じる。一方で、秋田県内の味噌醤油醸造元 でインターンを経験。大学卒業後、医療機器メーカーに就職しマーケティングを担当。その後、クリエイティブなバーテンダーの世界に憧れ、2021年より「The SG Club」に入社。初出場したカクテルコンペティション、「CAMPARI RED HANDS ASIA 2024 日本大会」で優勝を果たす。


The SG Club(ザ エスジー クラブ)
2018年6月にオープンした「SG Group」の日本1号店。カクテルをカジュアルに楽しめる1階の「Guzzle(ガズル)」、ゆっくり味わう地下1階の「Sip(シップ)」、そしてシガーが愉しめる会員制の2階「Savor(セイバー)」の3フロアからなる。
東京都渋谷区神南1-7-8 Tel:050-3138-2618
WEBサイト https://sg-management.jp/
Instagram https://www.instagram.com/the_sg_club/


CAMPARI RED HANDS
「CAMPARI RED HANDS」とは、カンパリの本質を体現し、クリエイティブで情熱的、職人のスピリットを持ったバーテンダーの集まりを指します。そのアジアチャンピオンを決めるカクテルコンペティション「CAMPARI RED HANDS ASIA 2024」が12月上旬に開催。日本をはじめとする12カ国から地域予選を勝ち抜いたバーテンダーが、カンパリグループ本社のあるイタリア・ミラノで、アジアの頂点に挑みます。日本代表として服部瑠華さんが出場します。
CAMPARI RED HANDS JAPAN公式サイト
CAMPARI RED HANDS JAPAN 日本大会の結果はこちら


CAMPARI
1860年代、ガスパレ・カンパリがミラノのドゥオモ広場に出店した「カフェ・カンパリ」で提供したリキュールがはじまり。ほのかに甘く、ほろ苦いミラノ発ハーブリキュールの代表格。唯一無二のビターテイスト、鮮やかな赤色が特徴。世界190か国以上で愛飲されており、創業以来160年以上変わらないシークレットレシピ。
CAMPARI 公式サイト


インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。

関連記事はこちら

PAGE TOP