NEW2025.01.30 Thu
強いチームをつくり上げる取り組みに注目SG Groupが開催する社内アワード
「SG Awards 2024」に潜入!
BAR TIMES 編集部 × SG GroupSG Groupがガチな投票制・本気のプライズの「アワード」を催す理由
2025年1月某日、大手町「The SG Tavern」は熱気に包まれていた。この日は、SG Groupの国内全店舗が休業。スタッフが一堂に会する新年会、そして「SG Awards 2024」が開催されるのだ。「SG Awards」とは、SG Groupで展開する店舗や社内スタッフが、それぞれの賞に見合う活躍をしたメンバーを投票する本気の社内アワード。日本ではThe SG Club開業以来開催されており、初回はスタッフ総勢30人ほどから始まり、第6回目を迎える今回は総勢120人のスタッフが対象になる。同グループでは日本でのアワードとは別に、上海のスタッフを対象にした社内アワードも上海でも開催している。
社訓でもあるFive S(「Smile」「Sharp」「Sexy」「Special」「Sustainable」)をはじめとするカテゴリーのほか、客前に立つバーテンダーのみならず、パートタイマーで働く人や裏方などをたたえる賞を含め、全12の賞を用意する。店舗の立地や規模の大小に不公平が出ないよう、投票を頭数で割り戻すなど公平になる配慮をしている。
昨年のアワードの受賞者がプレゼンターとなり、今年の受賞者が発表されるという粋なはからいだ。
世界を股にかけて活躍するバーテンダーであり、ファウンダーの後閑信吾さんは「SG Awards」をつくった思いをこう語る。
「僕は渋谷区で生まれて川崎市で育ち、大した特技もなく平凡な子供として育ちました。初めて人前で大きな賞を受賞したのが、2012年のバカルディレガシーの世界大会です。その時、人前で評価されることがこんなにも素晴らしいことなのか、と感激したのです。その体験をシェアしたいと思ったのがこのアワードの始まりです。最初は、先に店舗展開をしていた上海で。掃除をしてくれるパートタイマーやバックバーのスタッフなど、普段は人前に出ることのない役回りの方も含めて表彰の対象としました。自分の仕事にやりがいを見出してみんながハッピーになることが目的です。そのためには、プライズ(賞)だって本気じゃないと。これまで、モルディブやメキシコ、上海にニューヨークへの旅行など、研修を含めた夢があってこの先の糧にもなるプライズを用意してきました。本気で仕事をするなら遊びだって本気で取り組もう。その考えを体現したメインイベントが『SG Awards』です」
会場が盛り上がるなか、いよいよ受賞者が発表されていく。
社訓は“Five S”。
「Smile」「Sharp」「Sexy」「Special」「Sustainable」に見合う受賞者を発表
Best Timer、オフィススタッフを対象としたBest Supporter、Best Rookie、Best Urakataといったカテゴリーの受賞者が発表されていく。
その度に会場は盛大な拍手がわき、温かい掛け声がかかる。「SG Awards」の開催にあたり、ともに働く仲間をあらためて思い浮かべて投票することは自身の仕事の振り返りにもつながるだろう。まして、自身がノミネートされたり受賞したりとなれば、日々の仕事のやりがいにつながり、さらに一歩上を目指す意欲がわくに違いない。
続いて、SG Groupの社訓でもある“Five S”なる賞が発表される。
「Smile」(笑顔が魅力的で周りの人をも笑顔にできる)、
「Sharp」(賢く効率よく仕事ができる)、
「Sexy」(ビジュアルだけでなく、内面から出る魅力で人を魅了できる)、
「Special」(特技をもってプロフェッショナルな仕事ができる)、
「Sustainable」(もったいない精神を生かし、無駄のない仕事ができる)
といった5つの賞だ。
さらに、今年はすべての賞を通して票を集めた人をたたえる「Staff choice」、全7チームあるなかでもチームワークをたたえる「Best Team」なる賞も新しく設けられた。もちろん、それぞれに豪華なプライズが設定されている。
【氏名】Gobet Adrien ゴベ エイドリアン
【所属】The SG Club
【略歴】日本、そしてSG Groupをこよなく愛する陽気なフランス人
【プライズ】マカオ「Asia’s 50 Best bars ceremony」参加
【氏名】杉浦聡 Satoshi Sugiura
【所属】El Lequio (Bar Manager)
【略歴】フレアバーテンダー経験もあり、お客さまを惹きつける力はグループでもトップクラス
【プライズ】マドリードツアー
【氏名】永峯侑弥 Yuya Nagamine
【所属】The SG Tavern(SG Group Beverage Director)
【略歴】出身地である鹿児島がテーマの「The SG Tavern」を盛り上げるべく、さらに和酒を掘り下げ中
【プライズ】ロンドン、マドリードツアー
【氏名】Alan Medeiros アラン
【所属】ゑすじ郎(シェフ)
【略歴】いつも明るい日系ブラジル人。賄いにファン多し
【プライズ】香港レストランツアー
【氏名】宇野慎平 Shinpei Uno (愛称 店長)
【所属】æ (Barista)
【略歴】人の嫌がりそうなことなど率先垂範を地で行く一児の父
【プライズ】上海 Sober Company ゲストシフト
【氏名】島萌子 Moeco Shima
【所属】Office (経理)
【略歴】メイン業務の経理の傍ら、自ら率先して仕事を引き受けオフィスと現場の架け橋的な存在
【プライズ】スペシャルディナー
El Lequio (杉浦聡、佐々木祉穏、遠藤日葉里、屋良朝香、浅井優希、山下夏未)
杉浦聡を中心に良いチームワークでゲスト、オフィス、スタッフたちからも信頼されている
「MVP」のプライズはニューヨークとメキシコでのゲストシフトと上海「SG Awards」への参加
終盤にさしかかるころ、「SG Awards」の最高賞となる「MVP」が発表された。今年は、カクテルコンペティション「CAMPARI RED HANDS ASIA 2024 日本大会」で優勝を果たした服部瑠華さんに贈られた。プライズはニューヨークのSip&Guzzleと、メキシコのHandshakeでのゲストシフト。そして、上海「SG Awards」へプレゼンターとしての参加が贈られる。
【氏名】服部瑠華 Ruka Hattori
【所属】The SG Club (Bartender)
【略歴】「CAMPARI RED HANDS ASIA 2024 日本大会」優勝者
SG Group史上最速で未経験からバーテンダーになり、初のマネージャー勢を差し置いてのMVP受賞者
【プライズ】 ニューヨークのSip&Guzzleと、メキシコのHandshakeでのゲストシフト、「上海 SG awards」参加
2021年に異業種から転職してSG Groupに入社し、初めてバーテンダーの世界に入った服部さん。受賞の喜びにこんな言葉が溢れた。
「ちょうど3年前、誰も知り合いがいないなかで初めて新年会に参加して、このチームで働けることがとても愉しみになりました。私を知らない方から見ると、順風満帆にバーテンダーの道を進んできたように思われるかもしれません。実はThe SG Clubで一番といえるくらいの泣き虫で、自分ができないことが悔しくて本当によく泣いていました(笑)。ある日先輩から『日々、少しでも前に進めればいい』という言葉をもらい、氷割りの速度を速める、カクテルを覚えると、毎日一つずつできることを積み重ねてこのMVPをいただくことができました。だから、もしこの後に入社される方にも、昨日の自分より少しでも成長できれば大丈夫、と伝えたい。やる気に溢れた人に囲まれて、日々成長できる環境に感謝します」
受賞者たちの笑顔の輝きは眩しいほど。受賞者だけでなく、惜しくも受賞を逃したノミネートに挙がった人やさらには拍手を送るギャラリーの笑顔も同様に眩しく、そして熱い。
同士をたたえる敬意や各人の胸の中にある誇り、日々の営みで生まれる仲間意識に、コロナ禍も乗り越え、わずか数年で精力的に店舗展開して結果を出してきたチームの結束力と強さを見たような気がした。
スタッフの成長をうれしそうに見守る後閑さん。これまで続けてきた「SG Awards」を振り返り、こう締めくくった。
「スタッフの人数が増え、票が割れてやっとアワードらしくなってきましたね。普段の仕事のモチベーションにつながりますし、自分の仕事で目指すべきことがそれぞれわかりやすくなる。社訓を壁に貼り付けただけでは意識から流れてしまうけれど、毎年アワードを開催し続けることは強力なリマインドになります。スタッフみんなが前を向ける『SG Awards』は、僕らにとって一年で一番大事な行事だと思っています」
SG Group概要
日本の1号店にして拠点ともいえる「The SG Club」、居酒屋テイストの「ゑすじ郎」、コーヒーとカクテルの可能性を表現する「æ」(ともに東京・渋谷)、幕末の薩摩の侍たちの旅をテーマにした「The SG Tavern」(東京・大手町)、琉球と南米のつながりをテーマにした沖縄「El Lequio」(沖縄・那覇)、上海に4店舗を展開。プロダクト事業では、グラスウェアや本格焼酎、黒糖リキュールなどのバー関連商品を開発・販売する。
公式サイト:https://sg-management.jp/
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。