沖縄の新しい蒸留酒ブランド「kagan(カガン)」蒸留ストーリー「kagan」第1弾は「たんかん」の甘い香りと瑞々しい果実味を鮮明に感じる蒸留酒。
平良寛進さん(石川酒造場 研究開発部)
沖縄の豊かな自然が育んだ素材を使い、現代の酒類として表現するブランド「kagan(カガン)」。沖縄の言葉で「鏡」を意味し、島の恵みをこれまでにない形で映し出す新しい蒸留酒である。
観光向けのデフォルメされた商品が多いなか、泡盛の姉妹ブランド「shimmer(シマー)」とまた異なる視点と手法で沖縄産素材の可能性を最大限に引き出す。スピリッツ、リキュール、ビターズの3つのジャンルで展開し、プロフェッショナルな用途に応える本格的な酒類だ。
2025年3月19日、「kagan」から第1弾となる「たんかんスピリッツ」が登場する。沖縄特産の柑橘「たんかん」の個性豊かな香りと味わいが凝縮したスピリッツはどんな手法で造られたのか。製造を担当する石川酒造場・平良寛進さんに話を訊いた。
2021年に導入した300ℓ、ステンレス製の蒸留機。現在はおもにスピリッツ造りで活躍。
これが銅充填物。現在の設備を活かしながらクリアな酒質を生む手段として活用。
充填物を用いるのは全国的に見ても珍しく、平良さんは1ℓ、50ℓとスケールアップしながら試行錯誤をして、現在の手法に着地させた。
スピリッツの風味を打ち出すには、単に果皮の量を増やせばいいというものではない。蒸留のどの部分を抜き取るか、もまた大事なアプローチとなる。
「たんかんのきれいな香り、口にふくらむ余韻を大事にしたくて、華やかな印象の初留だけでなく、ふくよかさも感じられる中留までひっぱったものを集めることにしました。たんかんの香りをできるだけお酒に内包しようとすると、果皮の精油分の白濁があり酒質の調整が難しい面がありました。解決策を模索した結果、3回蒸留した泡盛を加えて調整することで解決できました。こういった手法や蒸留方法の幅を広げることができ、僕自身、次の新しい『kagan』へのモチベーションが向上しています」
観光立県である沖縄には、県外や海外から多くの観光客が訪れる。ホテルや市街のレストランでの簡単なカクテルのウェルカムドリンク的に、あるいは地元の人たちとバーベキューやビーチパーティーに手軽な炭酸割りで。沖縄の魅力を伝えるツールのひとつにもなりうるし、地元の恵みを再認識するお酒にもなりうる。
香りがわかりやすいシンプルな炭酸割り、あるいはミントとキビ砂糖、炭酸を合わせたモヒート風に。香りや味わいが引き立つ飲み方で、存分に「たんかんスピリッツ」の持ち味を堪能したい。
「地元バーテンダー インタビュー編」
kagan オフィシャルサイトはこちら
「kagan Vol.1 たんかんスピリッツ」商品ページはこちら
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。