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1500.11.1 Thu

新たな魅力を発見するプレミアムテキーラの世界カクテルベースとしてのテキーラ

林 生馬(日本テキーラ協会会長)
本場メキシコで人気のテキーラカクテルは「パローマ」。その親しみやすさはチューハイ的存在。

テキーラベースのカクテルで世界一飲まれているのはマルガリータである。ご存じの通り、テキーラ1/2、コアントロー1/4、ライムジュース1/4、をシェイクして作るショートカクテルであるが、これはテキーラベースのショートカクテルレシピの黄金分割比である。テキーラは常に柑橘と相性が良く、テキーラ半量に対し柑橘半量。さらにその柑橘を甘味と酸味で半量ずつにしている。発祥の説はいくつもあり真相はわからないが、どの説にもマルガリータと呼ばれる女性は登場する。

日本で一番飲まれているテキーラベースのカクテルはテキーラサンライズであろう。これもご存じのようにテキーラ1ショットをオレンジジュースでアップしてグレナディンシロップを沈めたものだ。先述のように柑橘はよく合うし、作りやすいロングカクテルということもあり、日本では人気の高いカクテルだ。

メキシコで一番人気のテキーラベースのカクテルはマルガリータでもテキーラサンライズでもなく、パローマであろう。パローマはスペイン語で鳩という意味で、諸説あるが、飲み口が良くいつのまにか千鳥足になっていることから名付けられたとも言われる。パローマはテキーラ1ショットに塩一つまみ(または塩でスノースタイル)、そこにグレープフルーツソーダでアップしたものだ。メキシコには「スクアート」という商品名の既製のグレープフルーツソーダがあるが、日本ではグレープフルーツジュース、ソーダ、アガベシロップの3つを組み合わせて代用される。

パローマはメキシコ版のチューハイの立ち位置で、グアダラハラのレストランでもバーでも、テキーラをストレートで飲む人よりパローマを飲む人の方が数が多いように見える。またメキシコでコンビニに行くと、缶のRTDのパローマがいくつも並ぶ。自分でタンブラーに、テキーラ、スクアート、塩を交互に加えながら飲む人も多く、日本で言えばホッピーの中、外、さながらである。


世界で一番飲まれているテキーラカクテルはマルガリータ。テキーラサンライズは日本で、パローマは本場メキシコで人気の高いカクテル。

本場メキシコで人気のテキーラカクテルは「パローマ」。その親しみやすさはチューハイ的存在。

カクテルベースとしてのテキーラは、メキシコでは全て100%アガベテキーラである。やはり辛味と苦味があった方がカクテルベースとしてはしっかりと役割を果たす。スムーズなプレミアムテキーラはカクテルベースにするとキャラクターが見えにくくなるが、それでもスムーズなプレミアムテキーラをベースに魅力的なカクテルを作るのはバーテンダーの高等技術であろう。


近年人気を集めているのが、マルガリータをロング風に楽しむ「トミーズ・マルガリータ」。

近年特に人気なのは「トミーズ・マルガリータ」だ。100%アガベテキーラをベースに、アガベシロップ少々、ライム果汁でシェイクし、オンザロックやミストで、ショートカクテルのマルガリータをロング風に飲んでいる。また既成のリキュールを使わない流れにも乗っていて、シンプルなだけにベーステキーラのキャラクターが見えやすいのも特徴となっている。


文/林 生馬(日本テキーラ協会会長)
1968年東京生まれ。カリフォルニア州で映画制作スタッフとして活躍。ハリウッド・ビジネスの中枢で活動中に周囲の影響からテキーラに出会う。映画スタッフらをはじめ、ショーン・コネリーや北野武監督らとテキーラを酌み交わす経験を得て、テキーラの最先端の飲み方およびテキーラブームの到来を目の当たりにする。訪れた蒸留所は100を数えテイスティングした銘柄は2000を超える。テキーラ蒸留所のスタッフやテキーラ・アンバサダーとの親交も深く日本へ帰国後2008年7月に「日本テキーラ協会」を創立。メキシコ大使館やFOODEXをはじめ、日本全国の会場でテキーラの講習会を行う。著書に「テキーラ大鑑(廣済堂出版)」 TVやラジオ、新聞、雑誌など各種メディアへの出演多数。

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