2015.11.25 Wed
SAKETRY 「思い出のボトル」第一回よりタンカレー・ジン ティンキャップ
保志 雄一 氏
絵:佐藤英行文と写真:いしかわあさこ
ロンドンから東へ40キロほど離れた場所で、レインドンという町がある。以前から新しいマティーニを開発したいと考えていた保志雄一さんは、その町の工場へ向かった。そこは、プレミアムジン「タンカレー」をつくる場所。1999年1月にタンカレーのブランドアンバサダーに就任したが、もともとマティーニのベースはタンカレーと決めていた。4回蒸留による、洗練されたキレのある味わい。これをどのように活かして新しいマティーニに仕上げるか…。工場へ向かう前に、ニューヨークの「メトロポリタン・ホテル」やロンドンの「デュークス・ホテル」といったホテルのバーでマティーニを飲み、日本ではまだ珍しかったフルーツ・マティーニに衝撃を受けていた。工場ではその歴史や製法を学び、「タンカレーのボトルデザインは消火栓をモチーフにしたものなのか?」という当時の疑問も、実際はカクテルシェーカーだったと聞いて納得した。
そして熱心に学ぶ保志さんに、蒸留所からプレゼントされたのが、タンカレーのティンキャップだった。年代は定かではないが、ティンキャップということは1960年代より前の希少な逸品。まだ封は切られていない。帰国後には、フルーツ・マティーニをはじめ107種類ものマティーニを完成させ、2000年に『THE PERFECT “Tanqueray”MARTINI BOOK』※を発行。その情熱はマティーニだけに留まらず、ボストンシェーカーやバーズネスト、ペストルの開発にまで波及した。
※ジャーディン・ワインズ・アンド・スピリッツ(現MHD ディアジオ・モエ・へネシー)から発行。非売品。
BAR 保志(バー・ホシ)
東京都中央区銀座6-3-7 AOKI TOWER 8F
03-3573-8887
営業時間:18:00 ~ 03:00(土・祝~ 01:00)/日曜休み
Bar保志 facebookページ
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
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いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
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