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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2015.11.25 Wed

SAKETRY 「思い出のボトル」第三回よりスプリングバンク8年 ペアシェイプ
中村 信之 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

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有楽町駅・日比谷口を降りて線路沿いに歩いていくと、下へ伸びる狭い階段に「CAMPBELLTOUN LOCH」の文字がある。降りた先にある引き戸の向こうは、モルト好きに抑えられない高揚感を与えるはずだ。バックバーに収まりきらず、カウンターまで占拠したボトルは何気なく置かれているが、レアなものも数知れず。まるで穴蔵で宝の山を見つけたような気分になる。
店名はやはりウイスキー※から名付けられたのかと思いきや、スコットランドの民謡から。「歌詞に惹かれて、というわけでもないんです。なんとなく語呂がよくて。でも、せっかくですから」と店主の中村信之さんがスプリングバンク8年をカウンターに置いた。店をオープンした1999年頃に、各地の酒屋で見つけてきたボトルのうちの1本。ウイスキー特級の文字があり、1980年代前半のものと思われる。


スプリングバンク蒸留所はスコットランド西部のキンタイア半島にある町、キャンベルタウンに位置し、その塩味が特徴的だといわれている。その中でも古いボトルは華やかで濃く、派手な印象のものが多いが、このボトルに中村さんが惹かれたのはその素朴さ。「飲み進めるうちに美味しくなるんです。そして気がつくと好きになっている。そんなボトルです」
穴蔵にはボトル以外にも気になるアイテムがある。見るからに座りづらそうな椅子だ。中村さんが友人につくってもらったもので、「簡単にかけられるものでいい」と伝えたところ、このような形になった。足元にはカエルを模したオブジェ。座りづらいから立って飲むという人もいるが、それでも長居してしまうほど魅力的な穴蔵だ。

※スプリングバンク蒸留所の生産責任者、フランク・マッカーディ氏が選び抜いた原酒でつくるブレンデッド・ウイスキー「キャンベルタウンロッホ」のこと。

CAMPBELLTOUN LOCH( キャンベルタウン・ロッホ)
東京都千代田区有楽町1-6-8 松井ビルB1F
03-3501-5305
営業時間:18:00~02:00(金18:00~05:00、土・日・祝17:00~23:30)/無休
CAMPBELLTOUN LOCH facebookページ

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佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

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