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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2015.12.1 Tue

SAKETRY 「思い出のボトル」第四回よりリターナー
會津 敏昭 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

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上はグレープフルーツ・ジュース、下は紅茶。2層を混ぜて飲むと、爽やかなフレーバーが広がる…。會津敏昭さんは、横浜の老舗紅茶専門店「サモアール」でこのセパレートティーに出会い、リキュールを使って再現したいと考えた。しかし、世界中から紅茶リキュールを取り寄せて試作したものの、いずれも満足できるものはない。そこで、自らつくろうとリキュールの開発に着手した。
「やっと見つかった。このアールグレイ茶葉を使えば、最高の紅茶リキュールができる」スリランカの名ティー・テイスター、アンスレム・ペレラ氏が選ぶ茶葉。品質の高さは言うまでもなく、花のような香りと爽やかな渋みが印象的だった。それからは、アルコール1ℓに対して茶葉は何g使用するか、その絶妙な比率に辿り着くまで幾度もテイスティングを繰り返した。


そして2007年、リターナーの前身である「ルーシー」が誕生するが、會津さんはまだ改良の余地があると睨んでいた。ベースとなるアルコールを変え、度数も25度から24度へ。それにより茶葉から出るエキス分が濃くなり、まろやかになった。2013年、「リターナー」の誕生だ。グレープフルーツ・ジュースとトニックウォーターで割ったカクテルは、「ザ・リターナー」と名付けられた。
ほかの紅茶リキュールとの最たる違いは、牛乳で割ったときのフレーバー。100%オーガニックでつくられているため、ごく自然なロイヤルミルクティーを感じることができる。ケミカルだったり、紅茶の香りが飛んでしまったりすることはない。
今や国内外で話題の紅茶リキュール。カルーア・ミルクのように、その名が定着する日はそう遠くないかもしれない。

GRAND MASTER(グランドマスター)
東京都中央区日本橋室町1-5-3 福島ビルB1F
03-6265-1076
営業時間:18:00~02:00/無休

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佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

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