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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2016.01.8 Fri

SAKETRY 「思い出のボトル」第六回よりドンナ・セルヴァーティカ
古屋敷 幸孝 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

思い出のボトル6記事内
天使のようなグラッパ職人と言われたロマーノ・レーヴィ。イタリア・ピエモンテに住み、父親から受け継いだ昔ながらの製法を貫いた。戦前から伝わる直火式蒸留機を使い、燃料は蒸留後のヴィナッチャ(※)を乾燥させたものなども利用。その灰は肥料として、ブドウ畑に撒く。すべて手造りで、エチケットも手描き。特に、可愛い女の子 “ドンナ・セルヴァーティカ” が描かれたものは人気が高い。
その名を付けたバーが、渋谷のファイヤー通りにある。建築デザインに長年携わった古屋敷幸孝さんが、2009年にお酒とチョコレートとアートの発信地としてオープンした。
「10年ほど前、バー巡りをしていたときのことです。カウンターに座っていたら、遠くの席から良い香りが漂ってきて。思わず私も飲ませて頂いたのですが、今までに出会ったことのない、ブドウの皮や種の濃厚な深い香りを感じたんです。それが、ロマーノ・レーヴィのグラッパでした」


それまでシングルモルト飲みだった古屋敷さんが、一瞬にして心を奪われた。その後、インポーターの酒蔵でドンナ・セルヴァーティカのエチケットを見つけ、それが店のアイコンとなった。
もうひとつの看板であるファインチョコレートは40種類以上を常備し、お酒とのマリアージュを提案している。グラッパに合わせるなら、ミルクチョコレート。ショコラティエ・ミキのコーヒービーンズショコラや、ヴァローナのタナリヴァ・ラクテをお勧めする。 それらを口の中で混ぜれば、まるでカクテル…。そんな素敵なマリアージュを、いつもバックバーから羨ましそうに“ドンナ・セルヴァーティカ”が眺めているのかもしれない。

※ワインを醸造する際に出る、ブドウの搾りかす。

ドンナ・セルヴァーティカ
東京都渋谷区神南1-3-3 サンフォーレストモリタビル4F
03-6416-9272
営業時間:18:00~02:00/日曜休み

思い出のボトル6記事内2

佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

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