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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2016.05.23 Mon

SAKETRY 「思い出のボトル」第十回よりビーフィーター
クラウンジュエル
井上 豪介 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

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ロンドン塔を守る近衛兵、ビーフィー ター。彼らはクラウンジュエル(王家の宝)を守り、国王主催のパーティで残った牛肉の持ち帰りを許可されたことからBEEF+EATER(牛肉を食べる人)と呼ばれるようになったという。そのビーフィーターがトレードマークのジンは、現在もロンドン市内で蒸留される唯一のロンドン・ドラ イ・ジン。40度と47度のものがスタンダード品だが、かつて50度のプレミアム品「クラウンジュエル」が販売されていた。
「15年ほど前、ここで働き始めたときにマティーニのベースで使っていたのがクラウンジュエルでした。いつか、これでマティーニをつくりたいと思っていましたね。僕にとっては、憧れのボトルです」


店長の井上豪介さんが透明なリッターボトルを眺めながら、回想するように言う。どっしりとしてクラシカルでありながらキレがあり、度数を感じさせないクリアさと爽やかさ。マティーニのベースとして申し分ない逸品だ。ところが、その数年後には紫のボトルにリニューアルし、しばらくすると終売になってしまった。もともと免税店限定だったこともあり、そう入手できるものではない。
それからは通常の営業日にほかのジンを、店の周年などの記念日にはクラウンジュエルを使ってマティーニをつくることにした。その度に常連が集い、共に愉しんでいる。滅多にこれを手にすることはなくなったが、いつもに増して心がこもっているのは客人に伝わっているだろう。買い溜めしておいたボトルが少なくなるにつれ、その思いは強くなっていく。

SHOT BAR ふくろう
東京都大田区蒲田5-21-13 ペガサスステーションプラザ1F
03-3732-5324
営業時間:18:00~04:00(日・祝~01:00)/無休

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佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

saketry

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