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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2016.12.2 Fri

SAKETRY 「思い出のボトル」第十九回よりザ・マッカラン 12年
鈴木 裕介 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

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ドイツのボトラー、ザ・ウイスキー・エージェンシーの芸術的なラベルが並ぶバックバーは壮観だ。「バックバーはひとつの絵」と話す鈴木裕介さんは、アートと音楽に目がない。子どもの頃からスペインの画家サルバドール・ダリのファンで、自身の店名にしてしまった。2005年の開店前、毎日繰り返し聴いていたのがアメリカのジャズ・サックス奏者、ソニー・ロリンズのアルバム『This Is What I Do』。偶然にも、1曲目は“Salvador”だった。
そこから鈴木さんが手に取ったのは、ザ・マッカラン12年。派手なアートラベルと比べると、シンプルでスタンダードな1本である。1990年代に流通していたもので、現行のものとはラベルも味わいも異なる。初めて勤務した中野のバーに置かれており、当時シングルモルトはたった2本しか取り扱っていなかったという。


「20年くらい前ですから、モルトを扱うバーはほとんどありませんでした。それまではバーボンを飲んでいたのですが、このボトルに出会って香りの良さと滑らかさ、華やかさに驚きましたね」
薬品メーカーによって日本にマッカランが輸入され始めたのは、1970年代後半。シングルモルトのロールスロイスと称されるなど、人気の高い銘柄だ。それから鈴木さんは給料日に18年を、年に一度25年を飲むようになった。これを飲むために頑張ろう、という励みの一杯があるのはいい。
12年から25年へ、徐々に熟成されて濃厚な色と深い味わいを帯びてくるマッカラン。鈴木さんにとって懐かしく、いまも憧れのウイスキーだ。

Bar SALVAdOR
東京都新宿区高田馬場1-29-6 野菊ビル2F
03-3204-7222
営業時間:18:00~02:00/日曜休み

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佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

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