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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2017.01.26 Thu

SAKETRY 「思い出のボトル」第二十二回よりジョン・ベッグ
山下 和男 氏

絵:佐藤英行
文と写真:いしかわあさこ

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ボーッ……。響き渡る汽笛の音と潮の香りを感じる港町に、溶け込むように佇んでいる一軒のバーがある。横浜港が一望できる山下公園の傍近、3杯のマティーニ・グラスが描かれた看板が目印だ。
カクテルバーかと早とちりしてしまいそうになるが、視界に入るのは幾多のウイスキーボトル。天井を見上げると、所狭しとぶら下がるアンティークのオープナーやウォータージャグがあり、店主の山下和男さんがかけるレコードから時々漏れるスクラッチノイズにノスタルジーをおぼえる。
東京・国立で学生時代を過ごした山下さんは、「ビブロ」というカフェに入り浸っていた。そこに立っていたのは、現在バー「ヒース」の店主である大川貴正さん。マッカラン、ハイランドパーク、フェイマスグラウス、ヘッジス&バトラー、そしてジョン・ベッグなど、厳選されたウイスキーが並んでいた。


「いずれも、ショット千円くらいでしたね。学生にしては高かったけれど、よく通いました。大川さんに教えて頂いて、ジョン・ベッグとロッホナガーを飲み比べたりしましたよ」
1845年、スコットランド東部のアバディーンシャーにあるディー川の辺に地元の資産家ジョン・ベグが蒸留所を建設。製造したモルトウイスキーに、自身の名を付けて販売した。その銘柄は後にブレンデッドウイスキーになり、モルトウイスキーは蒸留所名をとってロッホナガーに。隣接するバルモラル城をヴィクトリア女王が買い、蒸留所を訪問したことでロイヤル・ロッホナガーと呼ばれるようになる。
創業者の名では、もう造られていないウイスキー。しかし、その味わいを懐かしみ、求め彷徨う飲み手は少なくない。

バー スリーマティーニ
神奈川県横浜市中区山下町28 ライオンズプラザ山下公園
045-664-4833
営業時間:17:00~01:00(月17:00~00:00、土14:00~01:00、日14:00~00:00)/火曜休み

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佐藤英行
イラストレーター野口佐武郎に師事。模写を通じ写実の技法を学ぶ。1998年、古舘伊知郎氏のトークライブ「トーキングブルース」の会場展示用絵画を作成し、フジテレビやWOWOWの同番組内で使用される。2000年、講談社kfsメルヘンイラストコンテストで大賞受賞。 2007年、文芸社VA出版文化賞で最優秀賞等を受賞。現在、スコッチモルト販売の「ディスティラリー・コレクション」シリーズでスコットランドの蒸留所を描いた経緯から、Barをモチーフとした作品をライフワークと定め、バーホッピングの日々を送る。
ブログ http://satohideyuki.usukeba.com/
facebook https://www.facebook.com/h.sato.phs

いしかわあさこ
東京都出身。ウイスキー専門誌『Whisky World』『ウイスキー通信』の編集を経て、バーを中心としたフリーライターに。世界のバーとカクテルトレンドを発信するWEBマガジン『DRINK PLANET』などに寄稿している。編著書に『The Art of Advanced Cocktail 最先端カクテルの技術』『Standard Cocktails With a Twist スタンダードカクテルの再構築』がある。
facebook https://www.facebook.com/asako.ishikawa.5

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