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2018.01.30 Tue

映画「ウイスキーと2人の花嫁」ギリーズ・マッキノン監督来日オフィシャルインタビュー

BAR TIMES 編集部

第二次大戦中にスコットランドで起きた貨物船座礁事件をベースに描いた映画「ウイスキーと2人の花嫁」がいよいよ2018年2月17日に公開されます。
「ウイスキー無しでの結婚式は無理」と断言するほどにウイスキーを愛する島の人々の、ウイスキーを通じてさまざまに織りなす愛と奇跡の物語が楽しく描き上げられた本作品の公開に先駆けまして、ギリーズ・マッキノン監督の来日オフィシャルインタビューを特集いたします。

◆ギリーズ・マッキノン
1948年1月8日生まれ。イギリス・グラスゴー出身。多数の受賞・ノミネート歴を誇る名監督として評価されており、代表作『グッバイ・モロッコ』『Small Faces』など。映画とTVドラマの監督・脚本家として活躍するほか、マンガや絵画も描いている。




本作は、第二次世界大戦中にスコットランドで貨物船が座礁した事件の実話をベースに描いた作品ということなのですが、今回監督がこの題材に興味を持った理由は何だったのでしょうか?

監督 色々な理由があるのですが、一つは、オリジナルの作品がモノクロで70年以上前に作られたということです。ただこの映画の脚本は、ウイスキーを通じたコミュニティとか、家族の話という要素が拡張されていたところに非常に魅力を感じました。私はこれまでずっとコミュニティというものが大事だと思ってきましたし、家族というものがベースになっている映画を撮り続けてきました。そして、島のコミュニティを描くということで、私はキャストたちにも同じようにコミュニティを作ってほしかったんです。そういう感覚を作るということは監督として非常に面白いことだと思いました。

題材になっている<SSポリティシャン号>座礁事件は、イギリスでは非常に有名な事件なのでしょうか?

監督 実はSSポリティシャン号事件はイギリスではそれほど有名な事件ではないんです。道を歩いている人に聞いても知っている人はそんなにたくさんはいません。映画を通してこの事件を知った人がほとんどだと思います。

ロケーションが素晴らしいですね。ロケ地はどのように決めていったのでしょうか?

監督 ロケーションについては、あちこち探しまわりました。実際のモデルとなったアウター・ヘブリディーズ諸島は素晴らしい土地なのですが、宿泊所もなく、本土からの移動も大変であまりに予算がかかり過ぎてしまうんです。そこでプロデューサーのアラン・J・ワンズが薦めた場所スコットランド本土のアバディーンシャーという場所でした。車を降りた瞬間「ここが良い!」と決めたんです。そこにはメインとなる郵便局やパブや学校として使用する建物がそこに全て集まっていて、巨大な舞台セットのような、素晴らしいロケーションでした。

キャスティングについて伺います。今回、主演のグレゴール・フィッシャーやエディ・イザードなどの実力ある俳優とお仕事をしてみて、いかがでしたか?

監督 キャスティングは、まず(郵便局長で父親役の)グレゴール・フィッシャーの出演が一番最初に決まりました。グレゴール・フィッシャーはとても謙虚で、自分の演じるキャラクターをすぐに理解できてしまうんです。エディ・イザードとは以前一緒に仕事をしたことがあるのですが、今回演じてもらうワゲット大尉役は非常に難しい役なので、かなりたくさんの時間話し合い、議論しました。ただ、演じる方向性が合意した後は彼に委ね、私が口を出すことはありませんでした。

島民の皆さんが本当にチャーミングですね。どのような演出を心掛けていたのでしょうか?

監督 キャスティングのおかげです(笑)。それ以上の理由として、この映画ではコミュニティの感覚を見せたかったので、キャスト一人ひとりに自分がコミュニティの一員だという感覚を得てもらうよう監督として尽力しました。良い俳優は感覚が鋭いので、自然にコミュニティの一員として自分を意識してくれるようになりました。ベテランの俳優同士はお互いのことをよく知っていましたが、若手の俳優たちは初対面なので、コミュニティの感覚を養うためにパーティーを開いたりもしました。

ウイスキーを飲むシーンがとても美味しそうですね!「ウイスキーなしじゃ結婚式はできない!」というくらいに、今でもウイスキーはスコットランドの文化に欠かせないものなのでしょうか?

監督 もちろん、スコットランドの文化に、ウイスキーは欠かせない大切なものです。私もウイスキーが好きです。何年も会っていない旧友に会うときやパーティーのときなど、社交的な場で飲みますね。

最後に、日本の観客へ本作の見どころやメッセージをお願いします。

監督 この作品で起こることは、ある意味で全てが其々のキャラクターにとって真実です。「非常に特殊なことは実は非常に普遍的である」という言葉のように、この映画は全く文化の違う日本でも共感を得られるものだと思います。自分や周りの人に、登場人物の心情を投影できるのではないでしょうか。深刻なことは起こりませんが、ばかばかしいコメディを作ったわけではなく、これは真実の映画でありながら楽しい映画です。ある意味、人が互いにどのように関わり合っていくかを描いた、人々についての映画だとも言えます。日本の皆さんに、是非楽しんでいただきたいです。

本日はどうもありがとうございました。日本での公開が楽しみですね!


「ウイスキーと2人の花嫁」は、2月17日(土)ヒューマントラストシネマ有楽町・新宿武蔵野館ほか全国公開。

監督:ギリーズ・マッキノン『グッバイ・モロッコ』
脚本:ピーター・マクドゥガル
出演:グレゴール・フィッシャー『ラブ・アクチュアリー』、ナオミ・バトリック「ランズエンド -闇の孤島-」、エリー・ケンドリック『17歳の肖 像』、エディ・イザード『ワルキューレ』、ショーン・ビガースタッフ『ハリー・ポッター』シリーズ、ケヴィン・ガスリー『サンシャイン/歌声が響 く街』、ジェームズ・コスモ『T2 トレインスポッティング』
原作:コンプトン・マッケンジー「Whisky Galore」 (1947)
<原題:WHISKY GALORE!/2016 年/イギリス/英語/98 分/ビスタ/字幕翻訳:安本熙生>
配給:シンカ
© WhiskyGaloreMovieLimited2016 www.synca.jp/whisky

公式サイト http://www.synca.jp/whisky/

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