2018.12.6 Thu
ゲット ビハインド ザ ミュール / ロジェリオ五十嵐ヴァズさん甘さとスパイスの調和で奏でる
唯一無二のミュールバリエーション
ウッドフォードリザーブ トップバーテンダークラフトカクテル空前のアメリカンカクテルブームが到来。バータイムズでは人気カクテルに欠かせないウッドフォードリザーブをつかったクラシックカクテルのツイストを3人のトップバーテンダーに依頼。オリジナリティ豊かなクラフトカクテルが誕生しました。ロジェリオ 五十嵐 ヴァズさん考案のケンタッキーミュールのツイスト〈ゲット ビハインド ザ ミュール〉をご紹介します。
ここだけにしかないトレンチミュールを
この「ゲット・ビハインド・ザ・ミュール」は、実は3年ほど前から提供している当店のロングセラーで、今でも根強い人気があります。日本ではモスコミュール、海外ではケンタッキーミュールといったように、ミュールは非常にポピュラーなカクテルです。ですから私は、ミュールバリエーションのひとつとして、ここだけにしかないトレンチミュールをつくろうと考えたんです。トム・ウェイツ*のアルバム『MULE VALIATIONS』に収録されている「Get Behind The Mule」の曲が好きでしたので、カクテル名に付けました。“額に汗して働く”という意味合いの言葉で、カクテルのミュールと直接関係はないですが、何となく響きがいいと思いませんか(笑)。自分でも気に入っています。
*トム・ウェイツ……現代のアメリカを代表するシンガーソングライターの一人。酒や酒場にちなんだ作品も多い。
ロジェリオ 五十嵐 ヴァズさん
Bar TRENCH/恵比寿
『世界のベストバー100』にランクインするBar TRENCHのヘッドバーテンダー。姉妹店の「BAR TRAM」も含めドリンク関連のトータルディレクターを務める。
味わいのレイヤーを楽しめるミュール
一般的にケンタッキーミュールはアルコール感が前面に出てくるものが多いですが、私は最後に喉奥でアルコールを感じる味わいを作りたかったんです。ウイスキーの樽っぽい感じもしっかりありながら、飲み口がとても甘く滑らかなウッドフォードリザーブだからこそ理想の味わいができると考えました。レシピを考案するうえでは甘味や苦味、酸味など複数の味わいをバランスよく調合していくことが鍵となります。この「ゲット・ビハインド・ザ・ミュール」の場合は、まずウッドフォードリザーブ特有の甘さを生かすため、唐辛子等を漬け込んだ自家製ジンジャーシロップでスパイシーさを合わせました。甘さとスパイシーさというのは、一見相反する味わいのようですが、実は相互の旨味を引き出してくれる抜群の相性を持っています。また、キナ入りの薬草リキュールはウッドフォードリザーブのドライフルーツに似た味わいと通じるものがあります。このように一つひとつが結びつきをもっているような副材料を選定していき、飲みやすく一体感のあるカクテルに仕上げました。ガーニッシュにドライレモン、ミント、ブラックペッパー、唐辛子を添えることで、初めに爽やかな香りを、次にウッドフォードリザーブならではの甘味を、最後にスパイシーな刺激を感じられます。すっきりと飲めるミュールですが、様々な味わいのレイヤーを楽しめる一杯です。モスコミュールを好まれるお客様にもおすすめをすると喜んで飲んでいただけるので、是非違う味わいのトレンチミュールを多くの方に楽しんでいただければと思います。
Get Behind The Mule / ゲット ビハインド ザ ミュール
レシピ
ウッドフォードリザーブ 30ml
ライムジュース 15ml
キナリキュール 15ml
自家製ジンジャーシロップ 20ml
炭酸 ~60ml
ガーニッシュ/ドライレモン、ブラックペッパー、唐辛子、ミントの葉
メソッド
炭酸、ガーニッシュ以外の材料をシェークし、氷を入れたグラスに注ぐ。炭酸で満たし、ブラックペッパーをトップにかけ、ガーニッシュを添える。