2021.06.15 Tue
海老沢 忍 日本ラム協会会長に聞くエイジドラムの魅力と楽しみ方
BAR TIMES NEWS〈PR〉ここ数年、エイジドラム人気が上昇中です。海老沢忍さんは、自身のバーでもその気配を強く感じていると言います。
注目を集めるエイジドラム市場
「世界的なシングルモルトの人気が、ラムに移ってきています。ラムは世界中で造られていて、シングルモルト同様に産地による味の違いと熟成年数による味の違いもある、個性が多様なお酒です。その割に圧倒的にコストパフォーマンスが高い。そこに、シングルモルトファンの方々が気づき始めたんですね。トレンドの中心はヨーロッパですが、休業要請前は、僕のバーにも普段はシングルモルトを飲んでいるというお客様の来店が非常に多くなりました。オフィシャルブランドでも20年、30年といった長期熟成のラインナップを見直していますし、製造方法や樽の違いなどによる個性あふれるリミテッドもリリースされ始めています」
エイジドラムの魅力と特徴
「エイジドラムの正確な定義はありませんが、熟成は3年以上が目安です。年数を経ることで、香りはフルーティになったり、バーボン樽由来のバニラ香が出てきやすい。さらに長期の熟成になると、熟したフルーツをはじめ、コーヒーやカカオの香りも出てきます。味わいは角が取れてまろやかになり、ホワイトにはない余韻の長さが楽しめます。飲みたいシチュエーションとしては、ホワイトラムのソーダ割りやモヒートなら昼間の明るい時間を思い浮かべますが、エイジドラムは夕暮れ時に海辺で少し潮っぽい風を浴びながら、なんていうのがいいですね。秋冬なら、焚火を囲みながらまったりしたり。これも、ラム独特のゆるくてリラックスできるレイジーな空気感ならでは。エイジドラムは、チルアウトするのにぴったりのお酒なのではないでしょうか」
日本ラム協会会長。ラムバー、吉祥寺「SCREW DRIVER」オーナー・バーテンダー。ラムのコレクションは、店内にあるだけで約500種を誇り、並びきれないラムが自宅をも埋め尽くす世界屈指のコレクション。その活動は、バーにとどまらず、野外フェスや、アウトドア・ブランドとのコラボレーションなど、異業種との交流を通じて、続々ラムファンを増やしている。
エイジドラムの製法
「蒸留したてのラム酒を樽に詰め、3年以上を目安に寝かせます。使われる樽の9割方がバーボン樽です。理由は地理的なもので、バーボン樽が産出される北米のすぐ真南にカリブがあるからです。また、最近の新しい蒸留所や、新たに設備を導入する際の特徴として、蒸留機はハイブリット型がトレンドです。単式蒸留機と連続式蒸留機を合体させたもので、効率的に蒸留ができ、味わいもなめらかになります」
エイジドラムの味わい
「オフィシャルボトルに関しては、まろやかさや円熟感、安定感を味わえます。ボトラーズに関しては、一本一本まるで異なる一期一会の楽しみがありますね。今回リリースされた“バカルディ クアトロ”は、まず立ち位置が面白い。4年という熟成年数のものがこれまであまりなかったです。飲んでみると、フレッシュ感がありつつ、ほのかなウッディ感やスパイス感も。飲みやすいのに物足りなくないグッドバランスです。香りは、熟していないマンゴーやパイナップルといった黄色いフルーツを思わせます。ストレートでもソーダで割ってもよく、デイリーなラムとしてちょうどいいですね。一方、“バカルディ エイト”の特長は、まろやかさと口に含んだ瞬間にすぐわかる甘味。甘味の雰囲気も、“クアトロ”がべっこう飴のようなニュアンスなのに対して、“エイト”はミルクキャラメルのようで、甘味の重心が重い感じがします。熟したバナナや、アプリコット、ダークチェリーなどスウィーティで熟感のあるフルーツを思わせます。飲み方はストレートがお薦めですが、クアトロとエイトを少量ずつ飲み比べてみるのも楽しいと思います。あるいは、ピニャコラーダやダイキリなど定番カクテルを熟成ラムでつくると雰囲気ががらりと変わって、違いがよりよくわかると思います」
「バカルディ クアトロ」の爽やかさと熟成感の絶妙なバランス、その風味を生かすようにあえてレモンは搾らず、ピールも入れずにシンプルに仕上げます。「クアトロを冷蔵庫や冷凍庫に入れて冷やしておいても、さらに爽快になりそうです」と海老沢さん。
つくり方
グラスいっぱいに氷を入れ、「バカルディ クアトロ」30mlを注ぐ。ソーダ120mlを、氷に当たらないようグラスに沿うように注ぎ、軽くステアする。
ラムに輪切りのオレンジやバニラ、クローブ、シナモン、ブラウンシュガーを漬け込んだ“シュラブ”を使ったカクテル。フルーティさとスパイスの香りの高さが加わり、後を引くカクテルになります。
つくり方
タンブラーいっぱいに氷を入れ、「バカルディ エイト」30mlを注ぐ。シュラブ30mlを入れ、アンゴスチュラビターズを1ダッシュ入れ、軽くステアする。オレンジピールを絞って振りかけ、グラスの中に入れる。
2008年11月19日、日本におけるラムの「認知」「普及」「定着」を目指し、消費者とラムを繋ぐ様々なアプローチを作る活動により愛好家を増やすことを目的に設立。歴史や製法などの知識を深める資格、ラムコンシェルジュを主催。
オフィシャルサイト http://rum-japan.jp/