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2022.06.3 Fri

ホイッスルピッグでつくるClassic & Originalカクテル
台湾スパイス「マーガオ」で柑橘の香りと苦味を加えた『ニューヨーク』のツイストカクテル

ホイッスルピッグ 10年 × BAR ReCalm 宮北亮太

アメリカ最大の出品数を誇る「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2017」にて、最優秀ウイスキー(Best in Show)の称号を獲得したライ・ウイスキー「ホイッスルピッグ」。世界で最も多くの賞を獲得しているライ・ウイスキーである。
蒸留所の設立は2007年。ライ・ウイスキーの可能性にかけた伝説のマスター・ディスティラー(蒸留責任者)、デイヴ・ピッカレルが率いるチームによって生み出された。

今回、札幌・すすきの「BAR ReCalm」オーナーバーテンダー・宮北亮太さんに、ホイッスルピッグの原点ともいえる「10年 スモールバッチ・ライ」を使って、クラシックカクテルとオリジナルカクテルの2種を考案してもらった。


「ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ」は、複雑で深味のあるブランドの原点

「ホイッスルピッグ」の蒸留所があるのは、アメリカ・バーモント州ショアハムの広大でのどかな農場の中。ライ・ウイスキーのよいところを大切に守り、無駄なものは排除し、ウイスキーのために革新を続けることが理念だ。その味わいのよさは、数々の賞を獲得してきたことからも伺い知れ、「ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ」については、権威ある全米のワイン専門誌「ワイン・エンシュージアスト」で96点という高得点を獲得するなど、ライ・ウイスキーの歴史を変えたともされる。


まるでカクテルのような深みのある味わい。そのままでも十分に美味しい

はじめに、一般的なライ・ウイスキーとホイッスルピッグの決定的な違いを宮北さんに訊いてみた。

「ライ・ウイスキーは良い意味で荒々しいものが多いんですが、ホイッスルピッグは荒々しさはあまりなく、非常になめらか。ただ、りんごを思わせるやわらかでおとなしい香りに対し、味わいはかなりスパイシーです。最初はそのギャップに驚かされました。カクテルのような深みのある味わいで、そのままでも十分に美味しいです」

単体でも美味しいホイッスルピッグは、どのようなカクテルに向いているのだろうか。

「ライ・ウイスキーを使ったカクテルで人気なのは、やはりマンハッタンです。通常のライ・ウイスキーの場合、うちでは冷凍庫で冷やして雑味を感じにくくして提供していますが、ホイッスルピッグはその必要がないんです。雑味をほとんど感じないので。また、ホイッスルピッグから感じられるスパイス感や苦味をさらに引き上げるようなカクテルとして、オールドファッションドも合うと思いますよ」
 

りんごと柑橘がふわっ。後からライ・ウイスキーが追いかけるやさしい味わいの『ニューヨーク』

今回、クラシックとオリジナルをテーマに、2つのカクテルを考案してもらった。まずは、クラシックカクテルから。宮北さんはホイッスルピッグのどの点に注目し、どんなクラシックカクテルをチョイスしたのだろうか。

「『ニューヨーク』です。甘味がある分マンハッタンに比べ飲みやすいカクテルですから。ホイッスルピッグのふわっと香るりんごの蜜のような香りを活かしたいと思って、グレナデンシロップではなく自家製のりんごシロップを使いました。また、小粒の黒胡椒にも似た台湾のスパイス『馬告(マーガオ)』をすり潰して入れることで、レモングラスのような香りと若干の苦味を効かせています。馬告は見た目とはうらはらに爽やかな香りが特徴のスパイスなので、結構気に入っているんです。今回ニューヨークをツイストする際、私自身ホイッスルピッグにはあまり酸味が合わない気がしたので、ライムジュースは控えめにし、馬告と甘夏のピールで最後に柑橘がやさしく香る程度に仕上げました。りんごのフルーティーさと柑橘の爽やかな香りで、お酒に強くない方でもスムースに飲んでいただけると思います」

スパイス感とビター感を補強。ぐっとくる甘くスパイシーなアフターディナーカクテル

2つ目のカクテルはオリジナル。その名もスバリ『ホイッスルピッグと苦味』だ。

「ホイッスルピッグ自体、カクテルのような深みのある味わいなので、新しく味を構築するというよりはスパイス感やビター感をさらに引き上げるイメージで創作しました。キャラメルやバニラのような甘い香りはハチミツでより強く、苦味はホップのビターズでよりビターに、そして一番の特徴であるスパイシーさはシナモンで補強しました。ただ一つホイッスルピッグにはない香水のような香りを足すために、キナリキュールをほんの少し。今回合わせた副材料は、一つとしてホイッスルピッグとぶつからず、味に深みを出すことができています。それは、ホイッスルピッグの持つ力強い味わいが、甘さやスパイスを綺麗に受け止めてくれるからなんです。このカクテルは、アフターディナーとしてライ・ウイスキー好きの方へぜひおすすめしたいですね」


 


 

クラシックカクテル『ニューヨーク』

【レシピ】
・ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ:30ml
・自家製りんごシロップ:20ml
・ライムジュース:10ml
・馬告(マーガオ):6粒
・甘夏のピール:1枚

【つくり方】
1.シェーカーに馬告と甘夏のピールを入れ、ペストルで潰す。
2.残りの材料と氷を入れてシェークする。
3.茶漉しで漉しながらカクテルグラスに注ぐ。


オリジナルカクテル『ホイッスルピッグと苦味』

【レシピ】
・ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ:30ml
・キナリキュール:7ml
・ミネラルウォーター:10ml
・ハチミツ:1tsp
・ホップのビターズ:3dash
・シナモンパウダー:少量

【つくり方】
1.全ての材料をグラスに注ぎ、ハチミツを溶くようによく合わせる。
2.氷の入ったミキシンググラスに移し、ステアする。
3.氷の入ったロックグラスに注ぐ。

宮北亮太(みやきた りょうた)
1981年、旭川生まれ。2018年に閉業した札幌のホテル、ロテル・ド・ロテルのバー「Rue du Bar(リュードバー)」にて約6年勤務した後、「the bar nano(現在はThe bar nano.femto)」に移り研鑽を積む。2016年に自身の店「BAR ReCalm(バーリカーム)」を開店し、現在に至る。

BAR ReCalm(バーリカーム)
“穏やか”や“落ち着く”を意味するCalm(カーム)から、『ゆったりとした空間でお酒を愉しみ心も身体もリフレッシュして家路につく』をコンセプトとしたバー。ウイスキーやカクテルも幅広く用意され、中でもスパイスを効かせたカクテルに定評がある。
北海道札幌市中央区南4条5丁目 F-45 10F
Tel:011-213-1735


   

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