2023.12.14 Thu
ホイッスルピッグでつくるClassic & Originalカクテル
伝承の技、ローリングシェークで仕上げる
重厚でいてまろやかな『マンハッタン』
ホイッスルピッグ 10年 × Bar三石 三石剛志ライ・ウイスキーの可能性に賭けた伝説のマスター・ディスティラー、デイヴ・ピッカレルが率いるチームによって生み出された「ホイッスルピッグ」。バーモント州ショアハムにあるのどかなファームでブレンディングと熟成の研究が行われ、2007年の設立以来、複雑で深い味わいのライ・ウイスキーをつくり出し続けている。2017年にはサンフランシスコ ワールドスピリッツコンペティションで最優秀ウイスキーに輝き、国際的な注目を浴びているブランドだ。
今回、「ホイッスルピッグ」の原点ともいえる「10年 スモールバッチ・ライ」にフィーチャーし、6人のバーテンダーにその魅力を語ってもらうと共に、クラシックカクテルとオリジナルカクテルの2種を考案してもらった。そのうちの一人が、日本屈指のバーの街、銀座に根を張り14年、正統派のスタンダードカクテルとくつろぎの空間を提供するオーセンティックバー「Bar三石」の三石剛志さんだ。
数寄屋橋交差点から一本道を挟んだ数寄屋通り、整然と立ち並ぶ飲食ビルのひとつに「Bar三石」はある。ゆとりのあるスペース、贅沢に流れる時間は、大人が心地よく酔えるまさにオーセンティックと呼ぶにふさわしい空間だ。白いバーコートに身を包んだオーナーバーテンダーの三石剛志さんは、かつて銀座の名店とされたバーで長く厳しい修業を重ねた叩き上げのバーテンダー。師匠のシグネチャーであった『マンハッタン』は、「Bar三石」においても人気が高く、ベースとなるライ・ウイスキーには一家言ある。
「我々バーテンダーの傾向として、今まで師匠や先輩から教わったものが軸となっているので、なかなか新しいものには飛びつかないんです。今も『マンハッタン』は師匠から受け継いだレシピを守っていますが、お客様からいつもとは少し違ったものを、とオーダーされたら私は迷わずホイッスルピッグでおつくりしています。ライ麦の香りがしっかりしていて、アルコール度数が高いためボリューム感が出て、香りと飲みごたえを堪能できる一杯となります」
普段からウイスキーを好む三石さん。「ホイッスルピッグ」はシンプルな飲み方も合うという。
「ホイッスルピッグにはパンチ力があります。私もウイスキーは好きでよく飲みますが、カクテルベースだけではなく、これほどの香りと度数の高さがあるので、普通のウイスキーと同様水割りにしても美味しくいただけます」
先述の通り、「Bar三石」では『マンハッタン』のオーダーが多い。師匠から受け継いだレシピではなく、三石さんの「ホイッスルピッグ」でつくる“いつもとは少し違った『マンハッタン』”とはどのような一杯なのか。
「ローリングシェークでつくるマンハッタンです」
ローリングシェークとは三石さんの師匠が編み出したシェークの技法で、液体の中で氷を回すシェーキング法。シェーカーを上下に振るのではなく、手首で細かく回転させて材料を合わせていく。師匠のこの技は、数多くいた弟子の中でも完璧にマスターしたのは三石さんただ一人だ。
「シェーカーの中で氷がぶつからないので、フレークもできないですし、余分な水分も加わりません。イメージとしてはシェーカーの中で高速ステアしている感じ。腰の強いホイッスルピッグだからこそできるつくり方なんです。シェークで急速に冷やし、空気を含ませながら材料を一体化させることでボリューム感はあってもすーっと飲みやすくなっています。いつものマンハッタンと比べると全然違いますよ」
- クラシックカクテル『マンハッタン』
- 〈レシピ〉
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・ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ:50ml
・ノイリープラットスイート: 10ml
・ビターズ: 3dash
・マラスキーノチェリー - 〈つくり方〉
- ①全ての材料を氷の入ったシェーカーに入れ、ローリングシェーク。
②グラスに注ぎマラスキーノチェリーを沈める。
「ホイッスルピッグ」に合う素材は何かと訊くと、三石さんはオレンジだという。やはり10年もの長期熟成による樽感がマッチするのかもしれない。2杯目のオリジナルカクテルでは、オレンジジュースと合わせたホットカクテルを紹介してくれた。ライ・ウイスキーとオレンジジュース、しかもホットカクテル。どのような味わいなのだろうか。
「ホイッスルピッグを初めて味わった時、オレンジと合うだろうなって直感しました。普段から頭の中で相性の良い素材の組み合わせを想像できるんです。実際に試してみても思った通り、ほぼブレないですね。だからホイッスルピッグとオレンジジュースを合わせたカクテルならきっと美味しいと思って、ホットワインをつくるイメージで温かいカクテルにしてみました」
つくり方はとてもシンプルで、ホイッスルピッグに沸騰直前まで温めたオレンジジュースを注ぐだけ。仕上げに生クリームを先ほどのローリングシェークでホイップして浮かべる。最初のひと口はホイップクリームの冷たさを感じ、その後に温かなカクテルが口に注がれる、冷たくて温かい一杯だ。
「私がつくる全てのカクテルは、普通に市販されている材料を使います。どんなに美味しいカクテルでも、自家製素材を使っていたらそのお店に行かないと飲めないからです。普及性を考えると、私は自家製の素材はつくらないし、使いません。ですから、このカクテルがどんな味わいなのか飲んでみたいと思えば誰でもつくれますよ」
カクテルの名前は「warm-hearted(ウォーム・ハーテッド)」。“温かい人”という意味だ。寒くなるこれからの季節、「Bar三石」に来たら一杯目にこれを飲んで冷えた身体を温めてほしいという三石さんの温かい人柄が伝わる。
- オリジナルカクテル『warm-hearted』
- 〈レシピ〉
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・ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ:20ml
・オレンジジュース:200ml
・砂糖:2tsp
・生クリーム:30ml - 〈つくり方〉
- ①ホイッスルピッグを耐熱グラスに注ぎ、沸騰直前まで温めたオレンジジュースを注ぐ。
②シェーカーに生クリームと砂糖を入れ、ローリングシェークでホイップする。
③カクテルの上からホイップしたクリームを浮かべる。
三石剛志(みついし つよし)
長崎県出身。大学進学で愛知県に移った後、複数のバーを運営する名古屋の企業に入社し、店長としてカウンターに立つ。26歳の時、銀座の名店のひとつ「Bar ル・ヴェール」の門をたたき、改めてバーテンダーとしての研鑽を積む。2010年に独立し「Bar三石」をオープン。「2005 横浜市長チャリティカクテルコンペティション」で優勝、「HBA/MHD共催カクテルコンペティション2006」タンカレーナンバー10部門で優勝するなど数々の受賞歴を持つ。
Bar三石
銀座・数寄屋橋交差点にほど近い銀座6丁目にあるBar三石。天井にはシャンデリアが輝き、足触りの良いカーペット、緩やかに弧を描くカウンターには座り心地の良いチェアがゆったりと配置されている。まさに銀座のバーにふさわしいくつろぎの空間。スタンダードカクテルを中心に、季節のフルーツを使ったカクテル、モルトウイスキーなど多彩なお酒を楽しめる。
東京都中央区銀座6-4-17 銀座井出ビル4階
Tel. 03-3572-8401
HP