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2024.12.10 Tue

ブッシュミルズ マスターディスティラーコラム・イーガン氏 インタビュー 「ブッシュミルズの伝統と革新、未来への挑戦」

[PR]アサヒビール株式会社

 2016年以来2度目の来日となったコラム・イーガン氏。東京と大阪で開催されたマスタークラスでは、『ブッシュミルズの伝統と革新、未来への挑戦』をテーマにした講演とテイスティングセミナーを行い、イーガン氏の陽気な人柄と共に、ブッシュミルズの魅力を発信した。BAR TIMESでは、銀座に期間限定でオープンした『BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR』で、イーガン氏のルーツ、マスターディスティラーとして心掛けていること、今後の展望などをインタビューした。
(コラム・イーガン氏のマスタークラス レポート記事はこちら)

エンジニアからマスターディスティラーへ。ブッシュミルズ蒸溜所でのキャリアの始まり

本日はよろしくお願いいたします。マスタークラスではとても興味深いお話をたくさん聞けてブッシュミルズへの理解が深まりました。

「こちらこそよろしくお願いします。日本のみなさんの前でマスタークラスを行う機会が持ててとても嬉しく思います。」

まずは、イーガンさんがウイスキー業界に入ったきっかけを教えていただけますか。

「大学生の頃はエンジニアになろうと思い、エンジニアリングの勉強をしていました。卒業後は、製造業に携わりたく、ロンドンのビール会社に就職しました。その後、アイルランドの蒸溜所から声をかけられました。ロンドンでも楽しく仕事をしていたので迷いましたが、千載一遇のチャンスだと思い、ボトリングの部署で働き始めました。そこで、ブッシュミルズ蒸溜所の先代のマスターディスティラーと知り合い、2002年に、ブッシュミルズ蒸溜所のマスターディスティラーを引き継ぐこととなったのです。」

エンジニアを目指していたイーガンさんにとって、蒸溜技術を要するマスターディスティラーへの就任は、夢が叶ったことになりますね。

「確かに、エンジニアリングの勉強は、今の仕事に役立っていますが、その知識だけではマスターディスティラーは務まりません。コスト管理や、人前でブッシュミルズの魅力を語るコミュニケーション能力も必要です。もちろん、五感が優れていることも大事です。」

味覚・嗅覚など五感を鍛えるために意識されていることはありますか。

「ファーストキャリアとなったビール会社では、毎日、原材料の味見をしていて、それが感覚のトレーニングになったと思います。それだけではなく、専門家向けの講習会にも参加し、更に感覚を磨きました。小さな木のかけらにバナナやイチゴの香りがつけてあり、その香りを当てるのです。目の前のバナナやイチゴそのものを見ながら嗅いで、香りを認識するのと違い、難しいものなんですよ。この経験は、鼻で嗅いだ香りを、脳に記憶させるトレーニングになりましたね。」


2度目の来日となるコラム・イーガン氏。BAR TIMESでの初めての独占インタビューにも快く受け答えし、気さくな人柄がうかがえる。

熟成の未来を創るマスターブレンダー アレックス氏との協力関係

続いて、ブッシュミルズ蒸溜所の製法のこだわりについてうかがいます。ブッシュミルズ蒸溜所は、“grain to glass”のウイスキー造りを掲げていて、100%アイルランド産大麦麦芽を使用しています。ウイスキー業界で、最近、注目されている“テロワール”ついて、どう考えますか。

「味に影響を与えるのは、大麦の産地よりも、大麦の品質を見極めたり、大麦麦芽にする工程だと考えています。発芽のタイミングや、キルンでどれくらい乾燥させるかなど、職人の経験が重要です。ブッシュミルズ蒸溜所は、長年、同じ農家から大麦を仕入れています。関係性を大事にするという意味では、テロワールという考えは良いと思っています。」

ブッシュミルズ蒸溜所のこだわりのひとつでもある、3回蒸溜についてうかがえますか。

「発酵によって得られたモロミの中には、ウイスキーにとって良いフレーバーと不要なフレーバーがあります。蒸溜によって良いフレーバーが凝縮され、不要なフレーバーが削ぎ落されていくのです。蒸溜の回数が増えることで、より精製されたウイスキーになるのです。蒸溜の回数だけではなく、ネックが細長いポットスチルの形状も、ブッシュミルズのスムースでエレガントなフレーバーを生み出す大事な要素です。2023年に開設したコーズウェイ蒸溜所も、ブッシュミルズのハウススタイルを守り続けるため、全く同じ形のポットスチルを採用しています。」

2021年にブッシュミルズ蒸溜所のマスターブレンダーに就任した、アレックス・トーマス氏との仕事はいかがでしょうか。

「アレックスとは、密にコミュニケーションをとっています。アレックスは、ウイスキーの品質が熟成によって、どう高まっていくかの知見が豊富です。どの樽を、どれくらいの年数使い、どういったフレーバーを目指すか、ということを相談しています。ひとくちにバーボン樽、シェリー樽といっても、一つ一つの樽の個性は違います。お客様からは、「今から10年後に 『ブッシュミルズ シングルモルト 10年』 が欲しい 」と発注されるのではなく、「今『ブッシュミルズ シングルモルト 10年』が欲しい」と発注されるのです。その声に応えるには、樽の個性を把握していることが大事です。樽の個性をふまえてブレンドすることで、毎年、同じ味わいのウイスキーをリリースできるのです。」

1日に何樽くらいチェックするのですか。

「私は加水してアルコール度数20%にしてテイスティングしています。1日に40種類くらいだと、無理なくテイスティングできますね。ブッシュミルズ蒸溜所の熟成庫には60万個もの樽があるので、アレックスの仕事には、とても助けられています。」


シングルモルト12年を味わいながらインタビューを受けるイーガン氏。口の中に蜂蜜のようなニュアンスが沸いてくるのが味わいの特徴だ。

44年や50年の熟成樽が示す、ブッシュミルズの未来への展望

アイルランドでは『ブッシュミルズ』はどのように飲まれていますか。

「日本でポピュラーなハイボールという飲み方は、アイルランドでは浸透していなく、ストレートで飲むことが一番多いです。また、アイルランドでは朝食にクランベリージュースがよく飲まれ、とてもポピュラーなのですが、そのクランベリージュースでウイスキーを割って飲むこともあります。料理との相性では、知り合いのシェフは、『ブッシュミルズ シングルモルト 10年』はチキンや魚料理、ソルベと合うと言っています。」

2024年の秋には、日本で、『ブッシュミルズ シングルモルト25年』と『ブッシュミルズ シングルモルト30年』が限定販売され、好評を得ています。今後も、長期熟成のウイスキーの発売予定はありますか。

「今までリリースされた『ブッシュミルズ』の中で、一番熟成年数が長いものとして、44年があります。ブッシュミルズ蒸溜所の熟成庫には50年間熟成している樽もあり、物理的には『ブッシュミルズ 50年』も可能ということになりますね。私個人としては、熟成を見守りたい樽でもありますが…。ただ、今後も、限定製品として、長期熟成の特別なウイスキーに取り組みたいという想いはあります。」


マスタークラスでもテイスティングに提供されたシングルモルト 25年と30年。ボトルの形状も他とは違う高級感が漂っている。

『BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR』の印象と、最後に、日本のウイスキー愛好家に向けてメッセージをいただけますか。

「日本人の礼儀を重んじる対応には感嘆します。特に目上の方に対する態度は誠実そのものですね。そんな、几帳面な日本人だからこそ、『BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR』をつくれたのだと思います。アサヒビールの方がブッシュミルズ蒸溜所まで足を運んでくださり、“ブッシュミルズ蒸溜所を再現する”をコンセプトに『BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR』を、日本の一等地の銀座につくってくださいました。ここまで完成度の高い体験をできるのは、世界中で日本だけだと思います。実際に、ブッシュミルズ蒸溜所で熟成に使われていた樽がディスプレイされていて、だぼ栓から香りをかげるので、ぜひ、体験しにいらしてください!」

 ブッシュミルズをひとくち飲めば、その華やかなフレーバーとスムースなテクスチャーに「古いから良いのではない、良いから古いのだ」というイーガン氏の言葉を実感できるだろう。

コラム・イーガン氏のマスタークラス レポート記事はこちら

12月22日まで!期間限定『BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR』

アイリッシュウイスキー「ブッシュミルズ」の期間限定オフィシャルバー「BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR(ブッシュミルズ カスク ディスカバリー バー)」。コンセプトの異なる2カ所のバーエリアや実際に使用した樽の展示を通じて「ブッシュミルズ」ブランドの特長である“樽にこだわるアイリッシュウイスキー”を体験することができる。

【施設概要】
名称:BUSHMILLS CASK DISCOVERY BAR
住所:東京都中央区銀座3丁目5-6 マツザワ第6ビル
電話番号:0120-888-433
営業期間:12月22日まで
営業時間:平日:17:00~23:30(L.O.23:00)土日祝:14:00~23:30(L.O.23:00)
※最終日は18:00(L.O17:30)まで
客席数:約30席(1階:約20席相当、地下1階:11席)

コラム・イーガン(Colum Egan)


ブッシュミルズ蒸溜所の蒸溜責任者として、世界的に高い評価を受けています。リメリック大学で生産管理の学位を取得後、ブッシュミルズ蒸溜所を訪れ、その歴史と遺産に深い感銘を受け、マスターディスティラーとしてのキャリアを志すようになりました。2002年にブッシュミルズのマスターディスティラーに就任して以来、20年以上にわたり、伝統的なウイスキー作りの技術を守りつつ、革新的な新商品の開発にも携わっています。

ブッシュミルズ
アイルランド島の北端、冷たい海に面したイギリス領北アイルランド・アントリム州。この地に立つブッシュミルズ蒸溜所は、世界最古のウイスキー認可蒸溜所として400年を超える伝統を誇ります。アイリッシュウイスキーの伝統的な製法である3回蒸溜を守り、モルト原酒の原料には100%アイルランド産のノンピート麦芽を使用することで、軽やかでスムースな口当たりを実現。それでいてモルトの味わいがしっかりと感じられるのが特徴です。

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文 馬越 ありさ
慶應義塾大学を卒業後、ラグジュアリーブランドに総合職として入社。『東京カレンダーweb』にてライター・デビュー。エッセイスト&オーナーバーマンの島地勝彦氏に師事し、ウイスキーに魅了される。蒸留所の立ち上げに参画した経験と、ウイスキープロフェッショナルの資格を活かし、業界専門誌などに執筆する他、『Advanced Time Online』(小学館)に連載を持つ。日本で唯一の蒸留酒の品評会・東京ウイスキー&スピリッツコンペティション(TWSC)の審査員も務める。

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