NEW2024.12.20 Fri
コニャックハウス「デラマン社」200周年記念 スペシャル先代のコニャックを継ぎ、次代にバトンを渡す。ファミリーで紡ぐコニャックハウスの9代目が語る「デラマン」の精神。
BAR TIMES レポート原料は、公式なコニャックの原産地呼称AOCの6つの生産地域のなかでも最高級とうたわれるグランド・シャンパーニュのブドウ100%。熟成は古樽のみで寝かせ、コニャックのランク基準でコント10(最低熟成年数10年以上)の「X.O.」以上の商品を販売する。それも最低20年以上寝かせた原酒を用い、基準の熟成期間よりずっと長く熟成させて商品にしている。とかく、スピードと簡略化を求めがちな近年の動向に反して、できる限りの年月と手間をかけて高品質を追求する稀有な造り手である。
1824年に会社組織化してから、2024年で200年。9代目セラーマスターで直系の子孫であるシャルル・ブラースタッド(Charles BRAASTAD)氏に、デラマンのエスプリと200周年記念ボトル「ロワゾ・ラール」について訊いた。
デラマンは、最高級地区グランド・シャンパーニュのブドウでX.O.以上のみを造る
稀有なコニャックハウス
――2024年で200周年を迎えたデラマン。9代目セラーマスターとして、シャルルさんはブランドの歩みをどのように振り返っていますか。
会社設立から200年が経ちましたが、ファミリービジネスとしては18世紀に遡ります。その分、先人たちへのリスペクトと同時に責任も強く感じています。たとえば、創業者のジェームス・デラマンは、当時すでにグランド・シャンパーニーの土壌がコニャック造りに適していると見抜き、この土地を選んでいました。そこから各世代それぞれが高品質なコニャック造りを追求してきました。先人が積み上げてきたものを守りながら、さらに自分が貢献できることをプラスして、セラーマスターとしての任務にあたっています。ブレンドをしないシングルカスクのボトルや200周年を記念する商品を創ったことも、この度の新しい取り組みです。
今ブレンドしたものが、この先リリースするコニャックになる。
未来への責任も果たしていきたい
――セラーマスターとして日々、大切にしていることは何ですか。
ブレンディングだけでなく、現場のチームのリーダーとしての務めがあります。毎朝、メンバーと顔を合わせて声をかけ、何か問題がないか確認します。樽を運んだり、パレットを積んだり、全然ロマンチックじゃない仕事も私の任務です。自分の重要な仕事の1つとして、毎週 2、3回はコニャックのテイスティングをします。蒸留したての原酒、少し熟成させた原酒、 長期熟成させた原酒、さらに希少なヴィンテージの原酒といったおおまかに4種類の原酒をテイスティングしてブレンドします。先代がブレンドしたものもしかり、自分が今ブレンドしたものが数年後、数十年後にリリースする商品になるので、未来への責任も果たしていきたいと考えています。
――デラマンのコニャックが他のブランドと一線を画す点はどこにあると思いますか。
グランド・シャンパーニュのブドウに特化してX.O.以上のコニャックを造る唯一のハウスであることが、まず他と大きく異なります。多くのハウスは、約80パーセントがv.s.o.p.、残りの10~20%がX.O.という割合です。こういった私たちの取り組みが、ソムリエやミクソロジスト、バーテンダー、そしてお客様からの信用や信頼を勝ち得るものだと考えています。
――デラマンのコニャックを語るうえで重要な要素とはなんでしょう?
原料のブドウのオー・ド・ヴィーしかり、古樽しか使わない熟成やいくつものセラーを持つエイジングのスタイル、アルコール度数調整のための加水に蒸留水とコニャックを混ぜて何十年も寝かせた液体“フェーブル”を用いる、といった独自のスタイルでしょうか。加えて、“一貫性”も重要な要素です。たとえば私たちのアイコン的な商品「ペール&ドライ」はいつ飲んでも同じスタイルを保っています。それがお客様の信頼と価値を構築していくと考えています。
200周年記念ボトル
「ロワゾ・ラール」はデラマンスタイルを表現したプレミアムなコニャック
――2024年、200周年を記念して発売された新商品「ロワゾ・ラール(L’Oiseau Rare)」について教えてください。
前セラーマスター、ドミニク・トゥトー氏が最後の任務として200周年記念のためにブレンドした唯一無二のコニャックです。グランド・シャンパーニュ地区の非常に古いオー・ド・ヴィーを使って複雑なブレンドをしていて、とてもプレミアムのレンジです。銘柄名はフランス語で「珍しい鳥」の意味で、1920年代の当主で著名な鳥類学者でもあったジャック・デラマンへのオマージュも表しています。ボトルには、ブドウ畑を飛び交うハヤブサ科のチョウゲンボウという鳥が彫刻されています。まさに家族の一部といえるコニャックです。
――新商品のテイスティングノートを教えてください。
通常、オールドヴィンテージのコニャックというと、重たくて木樽の香りが強いものが多いのですが「ロワゾ・ラール」は相反する味わいをたたえています。熟成感はあるのに、とても生き生きしていてエレガント。個性的なキャラクターが広がり、長い余韻が続きます。
――「ロワゾ・ラール」を愉しむ最適なシーンとは。
スペシャルなお祝いの席や特別な機会に開けていただきたいと思います。私自身は、おいしい食事の後、友人と一緒に語らいながら愉しみたいですね。ギフトにも喜ばれると思います。ボトルのデザインがとても素敵なので、ぜひバーに置いていただきたいですね。もし私がバーを持っていたら、1本置いておきたいですね(笑)。
父が造ったコニャックを息子が継ぎ、さらに次代にバトンを渡す。
手に手を取って紡ぐことが次の100年につながる
――さらに100年、200年と次の世代への橋渡しとするために、どのような取り組みを進めていますか。
長熟を経て、古樽での熟成がピークに達したとセラーマスターが判断したコニャックは「ダム・ジャンヌ」と呼ばれるガラス瓶に移し替え、熟成をストップして大切に保管されます。この度、デラマンでも5つの世代にわたるセラーマスターが造った各世代のコニャックを9代目の私がブレンドをして、「L’Edition Rare du Bicentenaire (レディション・ラール・デュ・ビセントネール)」という商品にしました。
世代間のギャップは必ずあるものです。でも、それを埋めていくものは何かと考えるなかで、まさにこの商品が答えだと思うのです。日々、私が行うテイスティングについても、それは先代の、そのまた先代の……とこれまでのセラーマスターが造り上げたものです。今度、1995年のヴィンテージをリリースする予定ですが、私がデラマンに入社した98年入社よりすでに3年前の私の父の代に蒸留した原酒を使っています。父が造ったものを息子が継ぎ、さらに次の世代に継いでいくといった形で手に手を取って繋いでいく。その積み重ねでこれからもデラマンが続いていくのだと思います。
デラマンは、1759年にアイルランド人ジェームズ・デラマンがフランスのジャルナックに移り住んだことから始まりました。1824年、孫のアンリ・デラマンによってメゾン・デラマンが設立され、9代にわたる伝統と情熱が受け継がれています。
デラマンは、スピードを求める現代の風潮に抗い、じっくり時間をかけて最高品質を追求しています。伝統を重んじながらも革新を続け、雄大なグラン・シャンパーニュのテロワールを純粋に表現するコニャックを生み出しています。
デラマン 公式サイトはこちら:https://www.delamain-cognac.com/
デラマン 商品一覧はこちら:https://x.gd/YCIy3
正規輸入元:WINE TO STYLE株式会社
TEL:03-5413-8831
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。