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NEW2026.08.31 Mon

ヘネシー グローバル カクテル コンペティション
『#HennessyMyWay2026』ジャパンファイナル 優勝者インタビュー
小さな選択が未来につながる——
伊藤広光さんが『ヘネシー X.O』で描いた時間と自然の物語

モエ ヘネシー ジャパン株式会社

ヘネシー グローバル カクテルコンペティション『#HennessyMyWay 2026ジャパンファイナル』で優勝を果たした伊藤広光さん(Cocktail Bar Raven/東京)。2026年7月に開催された本大会は、コニャック『ヘネシー X.O』を軸に、「サステナビリティ」「ドリンク体験」「特別な演出」「製品知識」「カクテルの外見」という5つの観点から総合的に審査が行われた。

頂点へと導いた伊藤さんのカクテルは、審査員を感嘆させるものだった。独自の発想とストーリーで審査員の心をつかんだ1杯は、どのようにして生まれ、どんな思いが込められているのか。

『ヘネシー X.O』の魅力を引き出した優勝カクテルを紐解きながら、伊藤さんの創作のアプローチに迫る。

10人のファイナリスト。左から秋谷修二さん(Bar Vie Lembranca)、入優仁さん(Bar Amber)、藤田龍之介さん(夜香木)、間座照之さん(The AXTELL)、伊藤広光さん(Cocktail Bar Raven)、谷口翔紀さん(COMEDOR DE MARGARITA)、木野内捺さん(barユリイカ)、保志綾さん(Bar Dealan-Dé)、奥原圭祐さん(ReCalm annex Herbal Cocktail Lab)、土田勇人さん(BAR Jam Session)
「造る」「届ける」「愉しむ」。多彩な視点で酒と向き合って大会参加を決意

今大会で、優勝を果たした伊藤広光さんのバー「Cocktail Bar Raven」は、カウンター5席のみの隠れ家のような空間だ。店名「Raven(ワタリガラス)」には、国境の垣根を持たず、好奇心を持って世界中からすばらしいものを集めるというコンセプトが込められている。そのスタイルの背景にあるのは、かつて王侯貴族や学者が珍しい品々をひとつの部屋やキャビネットに集めて飾った空間を意味する「Cabinet of Curiosities(驚異の部屋)」の概念。オールドボトルから最新の酒まで幅広く揃え、クラシックからミクソロジー的なカクテルまで、幅広いジャンルのものを提供している。

伊藤さんが『#HennessyMyWay 2026ジャパンファイナル』に挑んだ背景には、バーテンダーという枠を超えて酒と向き合ってきた経験がある。自身もコレクターとして酒を蒐集する一方、2023年には蒸留所を立ち上げてリキュール造りに取り組んだり、酒類のインポートを手伝ったり、生産者を訪ねる機会をつくったりと、酒を「造る側」「提供する側」「拡張して愉しむ側」という複数の視点から見つめてきた。

出場を決めたのは、長い時間をかけて紡がれるコニャックそのものへの敬意と、世界的な知名度を持ちながら、カジュアルに楽しめるV.Sから長い熟成年数を経た原酒がブレンドされたX.O、パラディ、リシャールまで幅広いラインナップを展開する「ヘネシー」というブランドに惹かれたからだ。実際にカクテル創作に取り組み、審査を勝ち進むなかで、「ヘネシー」が描く世界観と、自身が伝えたいこととのつながりをより深く感じたという。

『ヘネシー X.O』とハチミツで紡ぐ、自然と未来へのストーリー

伊藤さんの優勝カクテル「Bee Cause」は、何気なく選んでいるハチミツの背景にある自然や生産者、そして酒づくりを支えるミツバチに目を向け、「背景を知って選ぶこと」の大切さを表現したものだ。

発想のきっかけとなったのは、養蜂家から話を聞く機会を得たこと。サステナビリティや未来について考えるなかで、ハチミツにフォーカスしようと閃いた。ハチの振動や生命を感じさせる演出として、巣箱をモチーフとした箱に振動式スピーカーを忍ばせた。

「カクテルの構築は、『ヘネシー X.Oを主役にすること』と『サステナブル』をおもなテーマに設定しました。自分がコニャックに惹かれる理由を考えてみて行き着いた『時間』というキーワードを掛け合わせて考案しました。主役の『ヘネシー X.O』に合わせたのは、売上の一部が蜜源植物の保護に寄付されるハチミツや、リンゴのハチミツを原料とする国産ミード。さらに、リンゴの香りとリンクするカモミールの蒸留水や未熟な摘果ブドウから造るヴェルジュ、蒸留したカモミールの残りも装飾に活用して、素材を余すところなく活かします。提供時には、年代や採取日、蜜源の異なる5〜6種類のハチミツを用意し、ゲストに選んでいただきます。違いを実際に味わうことで、背景を知って選ぶ体験へとつなげました」

優勝カクテル「Bee Cause」。『ヘネシー X.O』が全体の大部分を占める構成にし、ハチミツやミード、カモミールなどの素材を微調整し、グラスに注いで時間が経つことで立ち上がる香りまで意識して設計した。そのまま飲んで十分においしいコニャックだからこそ、カクテルにする以上は「そのものらしさ」と「隠れた魅力」を引き出すことを追求した。

“Bee Cause”

【材料】

  • ヘネシー X.O 45ml
  • 未来のミツバチを守る日本の蜂蜜 (※1) 10ml
  • Mead Verjuice(自家製) (※2) 5ml
  • Chamomile Hydrosol(自家製) (※3) 5ml

ガーニッシュ:ハチの巣を模したチュイル、数種類のハチミツ

【つくり方】

  1. ヘネシー X.Oをグラスに注ぎ、ブランデーウォーマーにセットして軽く温め、香りを開く。
  2. ロックグラスに氷を入れ、ステアしてグラスを冷やす。
  3. 温めたヘネシー X.Oに、未来のミツバチを守る日本の蜂蜜(※1)10ml、Mead Verjuice(自家製)(※2)5ml、Chamomile Hydrosol(自家製)(※3)5mlを加え、グラスをゆっくりとスワリングして混ぜ合わせる。
  4. 冷やしておいたロックグラスに注ぎ、ステアする。
  5. ロックグラスを木箱に収め、ハチの巣を模したチュイルと数種類のハチミツを添えて、蓋をする。

(※1) 売上の一部を、養蜂家を通じてミツバチが豊かに暮らせる蜜源植物の保護に使用する寄付型の国産ハチミツに、少量の水を合わせて濃度を調整する。

(※2) リンゴのハチミツから造られた国産ミードとヴェルジュを合わせる。

(※3) フレッシュなカモミールを水とともに減圧蒸留する。

伊藤広光さんの優勝カクテル「Bee Cause」のメイキング動画はこちらから
優勝を糧に世界へ。酒を通じて「世界は面白い」と伝えたい

優勝後、伊藤さんのもとには、身近な人だけでなく、長く連絡を取っていなかった知人やバーテンダーの道を歩み出した頃の先輩からも祝福のメッセージが届いた。

「あらためてヘネシーというブランドの影響力の大きさを実感しました。これまで取り組んできた蒸留所づくりや生産者との出会い、そして人との縁。そのひとつひとつが今回の優勝につながり、バーテンダー人生における大きな糧となりました」

伊藤さんが酒を通じて伝えたいのは、味わいの魅力だけではなく「お酒には、好奇心を刺激する力がある」ということ。酒の違いが分かった瞬間に自分の感性に気づき、これまで知らなかった世界に興味を持つ。そんな小さな発見が、「世界って面白い」と感じるきっかけになればと考えている。

「お酒を通して『世界って面白い』と思ってくれる方をひとりでも増やしたいという想いは、私がこの業界で活動し続ける理由のひとつです。さらに、酒に興味を持った人が実際に産地を訪れ、その土地の風土や自然のなかで味わうことで得られる感動を届ける活動をしていきたい」

今年11月にフランスで開催されるグローバルファイナルでは、日本代表として各国の優勝者と競う。

「せっかく選んでいただき、日本代表として行かせていただくので、自然体でベストを尽くしたいですね。日本のバーならではのよさや、日本人が考えるお酒の価値観を少しでも世界に伝えたいと思っています」

プロフィール

伊藤広光(いとう こうき)
1997年生まれ、東京都出身。オーストラリア・メルボルンに留学し、現地のホテルに勤務。帰国後、ホテル・レストランのマネジメント学校を卒業し、複数のホテルにて勤務。2020年、23歳で、東京・小岩に「Cocktail Bar Raven」を開業。2023年、静岡県下田市に「SHIRAHAMA DISTILLERY」を開業し、トリプルセックやブルーキュラソーの製造を始動。2025年「The World’s 50 Best Discovery」に選出される。バーテンダーの傍ら、業界を超えたOEM製品の開発や海外でのBARの開業コンサルティング、酒造見学ツアーの主催などにも取り組んでいる。「シンガニカクテルコンテスト 2020」入選。「Mezcal La Herencia de Sanchez Cocktail Competition 2025」優勝。「#HennessyMyWay 2026 ジャパンファイナル」優勝。

バー情報

Cocktail Bar Raven
住所:東京都江戸川区西小岩1-19-32 薮田ビル202
Tel:03-6801-7443
HP:https://fames-inc.com/bar/raven/
IG:@cocktail_bar_raven
FB:Cocktail Bar Raven


インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。

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