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2016.04.29 Fri

シュピゲラウ『パーフェクトサーブコレクションBYステファン・ヒンツ』発売記念世界トップバーテンダー特別対談
ステファン・ヒンツ × 山田 高史

BAR TIMES NEWS
『パーフェクトサーブコレクションBYステファン・ヒンツ』発売記念 特別対談
今回発表された『パーフェクトサーブコレクション』のプロデューサーであり、ドイツが誇るトップバーテンダーでもあるステファン・ヒンツ氏が来日。2011年にポーランドで行われたIBA主催のカクテルコンペティション「 ワールド・カクテル・チャンピオンシップ」において世界の頂点に立った山田高史氏との対談が実現しました。ふたりはともに同大会で腕を競い合った仲間同士。世界トップバーテンダーならではのグラスへのこだわりを語っていただきました。(撮影協力/Bar Noble)


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バーのニーズをとことん調べ上げ、
本当に使いやすいグラスを追求

山田 バーに映える美しいグラスですね。この『パーフェクトサーブコレクションBYステファン・ヒンツ』はどのようなコンセプトで作られたのですか?
ステファン ありがとうございます。これらのグラスは、すべての面において“ハイクオリティであること”をコンセプトにしています。そこには見た目だけではなくバーテンダーが使いやすいという意味も含まれています。私はこのコレクションをプロデュースする際、まずバーにおけるグラスのニーズを徹底的に調べることから始めました。グラスを冷やすためのフロスターやグラスを置く棚のサイズを計り、そこに何客くらいのグラスが収まるのか平均を出すなどバーテンダーが作業する上で理想的な条件を洗い出してみたんです。
山田 なるほど。バーのニーズを知ることは自身もバーテンダーでないと理解できない部分もありますからね。
ステファン ただ美しいだけのデザインなら私がプロデュースする意味はないですから。そして他にも、多くのバーではどんなカクテルがよくオーダーされるのかも調べました。するとオールドファッションド、マンハッタン、ダイキリ、モヒート、マイタイなどが上位占めていることが分かりました。その結果ミキシンググラスを含めたこの10アイテムに絞り込んだのです。
山田 緻密な作業ですね。デザインはそれからですか?

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ステファン はい。デザインは底部の中心から放射状に広がる特徴的なデコレーションを施しました。店内の照明がグラスに落ちて光りが屈折し、美しく幻想的に輝く効果を狙ったんです。また、ロングドリンクグラスとD.O.Fグラスについては約45mlの容量を示す横のラインをデザインの一部として加えました。メジャーカップを使わなくてもベースとなるスピリッツの量をひと目で分かるようにしたのです。カクテルをスピーディーに提供することも我々バーテンダーにとっては必要なことですから。そしてもうひとつ、グラス内側が非常にフラットにできている点も大きな特徴です。顕微鏡で見てもほとんど凹凸がないので、ソーダアップのカクテルは炭酸の泡がとても長持ちするんですよ。
山田 それは素晴らしいアイデアと技術ですね。1112

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2年以上もの歳月をかけて完成させた
すべてにおいてハイクオリティなグラスウエア

山田 今回のプロジェクトでもっとも苦労された点はどんなことですか?
ステファン グラスの耐久性です。この『パーフェクトサーブコレクションBYステファン・ヒンツ』は、ドイツのグラスウエアメーカーである「シュピゲラウ」と共同開発しました。元来「シュピゲラウ」のグラスは耐久性が高いのですが、私が求めた強度の数値は彼らを驚かせ、技術的に実現できないと言われてしまいました。しかし、お客様が乾杯でグラスを合わせた時、衝撃で割れることがあっては絶対にいけない。この難題をクリアするのに非常にフラストレーションを感じましたね。グラスの耐久性だけはどうしても妥協できないものでしたし、「シュピゲラウ」の長い歴史に培われた技術を持ってすれば必ず実現可能だと信じていました。
山田 確かに乾杯の衝撃には私もヒヤッとすることがあります。お客様にケガがあってはいけないですからね。
ステファン なぜ私がそこまでこだわるかと言うとバーテンダーが使い易いグラスは、すなわちお客様も使い易いグラ

スだからなんです。私はグラスの試作品を自分の店で使いお客様がどうグラスを扱うのかじっくり観察しました。カクテルグラスの足はどこを持つのか、親指はどこに当てるのか、乾杯の際どのくらいの強さでグラス同士を合わせるのかといったようにです。その度にアイデアを練り直し、実に1年もの時間をかけました。
山田 1年! そうすると構想から完成まで何年を要したのですか?
ステファン 2年以上です。「シュピゲラウ」の高い技術と信頼関係があったからこそ2年という歳月をかけて多くの難題をクリアできたのだと思います。私にとっては大きなチャレンジでしたし、本当に貴重で楽しい経験をさせてもらったと思っています。
山田 そこまでのクオリティを持ちながらコストパフォーマンスにも優れていますよね。
ステファン どれほど美しくクオリティの高いグラスだとしても、手が出せないほど高価格であれば誰も買わないですし使ってもらえませんから。使いやすさ、デザイン性、機能性、コストとすべての面において高いクオリティを実現できたことに私は非常に満足しています。


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グラスの特徴や開発の背景を知ってもらい
自分なりのスタイルで使いこなしてほしい

ステファン 実は、山田さんにこのグラスを使ってカクテルを作っていただきたいと思っているんです。
山田 もちろんです。ご希望のカクテルはありますか?
ステファン ではダイキリをお願いします。ダイキリは酸味と甘味のバランスが非常によくて、リフレッシュできるカクテルなのでとても好きなんです。
(冷蔵庫からクープグラスを出す山田氏を見て)
ステファン 素晴らしい。フリーザーで冷やしたスピリッツを使う場合、氷を入れてシェークすると液体の温度が上がってしまうので予めグラスを冷やしておくといいのです。山田さんの使い方はパーフェクトですね!
山田 ありがとうございます。それにしても美しいグラスですね。カクテルがより一層引き立ちます。お待たせいたしました、ダイキリでございます。
ステファン (ひと口飲んで)エクセレント! とても美味しいです! 甘さがすっきりしていてとても飲みやすいですね。ではお返しに今度は私がオールドファッションドをお作りします。オールドファッションドはとても人気のあるカクテルで、ドイツにある私の店でも半分くらいのお客様がオーダーされます。日本ではどのようなカクテルが人気ですか?
山田 当店の場合、マティーニやギムレット、マンハッタンが多いですね。でも確かに海外のお客様はオールドファッションドをよくオーダーされます。
ステファン なるほど! 昨晩訪れたバーでほとんどの人がギムレットを飲んでいた理由が分かりました(笑)。ギムレットは飲みやすいカクテルだから日本では人気があるんでしょうね。さあ、出来ました。どうぞ。
山田 うん、美味しいですね。実は私は以前から「シュピゲラウ」のファンで、自宅でもブルゴーニュやボルドーのワイングラスを、店でもピルスナーやブランデーは「シュピゲラウ」のグラスを使っています。本当に質が高いですからね。特に今回の『パーフェクトサーブコレクションBYステファン・ヒンツ』は、重量感があってバーで使うグラスとして高級感があります。日本のバーで使うにしては少し大振りな印象もありますけど、今は海外のお客様も増えていますし需要はあると思います。

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ステファン カクテルは味覚だけで楽しむのではなく、グラスの美しさや手触り、持った時の重さなど五感で楽しむものだと私は思います。
山田 本当にその通りですね。『パーフェクトサーブコレクション』の開発の裏側やステファンさんの強い思いを知るとこちらも心を引きつけられます。日本のバーテンダーに大切に紹介していきたいと思います。
ステファン 日本のバーテンダーにはこのグラスの特徴や開発背景を理解していただければ、後は自分なりのスタイルで使いこなしてもらえれば嬉しいですね。
山田 今日は久しぶりにお会いすることができて本当に嬉しかったです。
ステファン こちらこそ。山田さんの素敵なお店にお邪魔して楽しい時間を過ごせました。ありがとうございました。




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STEPHAN HINZ(ステファン・ヒンツ)

ドイツ出身。ケルンにあるバー「リトル・リンク」のオーナーバーテンダー。ケータリング、イベント、コンサルティングを行う「Cocktailkunst」代表取締役社長。2014年に出版された会社名と同名の本「Cocktailkunst(The art of cocktails)」で革新的なカクテルレシピを発表。様々なケータリングやイベントでゲストを感動させる味覚のビジョナリーとして活躍。また、ガストロノミー・コンサルタントとして国際的に活躍している。

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山田 高史(やまだ たかふみ)

横浜・関内「Bar Noble(バー ノーブル)」のオーナーバーテンダー。2011年ポーランドのワルシャワで行われたIBA主催のカクテルコンペティション「ワールド・カクテル・チャンピオンシップ」にて総合優勝を獲得。世界56カ国から参加した107名のバーテンダーの頂点に輝く。

※ 編集上の都合により本記事内の敬称は略させていただきました。


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