2017.12.25 Mon
キューバンカルチャーセミナー
Bar Lamp 中山 篤志 氏(日本ラム協会)ラムのトレンドと
広がるドリンクスタイル
BAR TIMES 編集部2017年11月28日、西麻布 COHIBA ATMOSPHEREにて開催されたバーテンダーを対象とした[ハバナクラブ]主催「キューバンカルチャーセミナー」をレポートします。
来年開催される国際カクテルコンペティション『ハバナクラブ カクテル グランプリ 2018』。日本では4年ぶりとなる国内の代表選考会も実施されます。ペルノ・リカール・ジャパン[ハバナクラブ]は国内選考会の開催に先駆けて、キューバンカルチャーの専門家を講師に招き、バーテンダーを対象としたセミナーを行いました。
ゲストスピーカーそれぞれの詳しい講義内容を4回に渡ってご紹介します。第二回は Bar Lamp 中山 篤志 氏(日本ラム協会)の「ラムのトレンドと広がるドリンクスタイル」をご紹介します。
キューバの蒸留所は公社運営のため原則非公開ですが、今年の9月ハバナクラブマスタークラスの参加者だけがハバナクラブ蒸留所の一つサン・ホセ蒸留所の視察を許されました。サン・ホセ蒸留所ではハバナクラブ7年とそれ以上の年月熟成をさせるハバナクラブ、サンタ・クルーズ蒸留所ではハバナクラブ3年がつくられています。
基本的なコンセプトはライトラム。軽くて、飲みやすくて、飲み飽きない味わいが特徴です。1848年にキューバに連続式蒸留器が導入されました。そして、[ハバナクラブ]というブランドが誕生したのは1934年のことです。それから時を経て、今日では年間400万ケースのハバナクラブがつくり出されています。
ハバナクラブはキューバ産の最高級サトウキビからつくられる100%天然由来です。キューバは土壌が豊かで有機農業も発展しており糖度の高い良質なサトウキビが収穫できます。もう一つの天然素材は水。自然の環境に濾過された地下天然水がつかわれています。
ハバナクラブの貴重な酵母が安定したアグアルディエンテ(サトウキビから連続式蒸留でつくられるハバナクラブの“DNA”)を生み出します。サトウキビをほのかに感じる柑橘系の香りのアグアルディエンテはホワイトオーク樽で最低2年熟成されその特性が引き出されます。
ホワイトオーク樽で2年から4年熟成されたアグアルディエンテをもとにフレッシュラムがつくられます。フレッシュラムは独自の方法でハバナクラブの原酒となるラムベースへと熟成をすすめます。ハバナクラブには様々なタイプのラムベースが使用されています。
(1)ナチュラル・エイジング
暖かいキューバの気候ではどうしても原酒の蒸発が激しくなりコスト高になり、樽の影響も受けやすい環境にあります。そこで樽影響の少ない古い樽をあえて使用。ウイスキーの熟成で4〜5回使われた80年以上も前の樽を使用することもあります。
スペイン系のラム蒸留所が多く用いている[ソレラシステム]とは異なり、キューバのラムは一度樽詰めしたら熟成が完了するまでブレンドや注ぎ足しをしない[トータル・エイジング]を採用しています。それぞれの樽の特徴はマエストロが管理しています。
(3)継続エイジング
ナチュラル・エイジングとトータル・エイジングで熟成が完了した原酒はマエストロによってブレンドされボトリングされますが、長期熟成に適した原酒の一部は新たなブレンドに加えられその特徴を継承させます。60年以上前の原酒のDNAも受け継がれています。
次に世界のラムカクテルのトレンドについてお話しします。最近、ヨーロッパではダークラムをつかったラグジュアリーなカクテルが人気です。味わいの傾向としては、甘めより、ビターでドライなカクテルが好まれています。オールドファッションドのベースをラムに変えるなど、ウイスキーカクテルのラムツイストも人気です。またティキカクテルのブーム再来も盛り上がっています。日本でもトロピカルカクテルの注目が高まるかもしれませんね。
ラムメーカーの動き
最近ではより効率的に原酒をつくる技術や方式を導入するなど、ハイブリット化する蒸留所が増えています。また自社で蒸留せず原酒を他の蒸留所の原酒を仕入れて熟成、ブレンドするメーカーが世界中に現れました。さらにウイスキーのボトラーズがラムに携わるケースが増え、いままでとは違う動きも見られます。
ラムはキューバの伝統的な文化を象徴するものの一つです。私たち日本ラム協会も日本にラム愛好家を増やすためさまざまな活動を行っていますが、今回のセミナーと4年ぶりに開催される国内選考会が皆様がキューバやラムに親しんでもらえるきっかけになれば嬉しく思います。
Bar Lamp 中山 篤志(日本ラム協会)