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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2018.01.15 Mon

トップバーテンダーがつくる「ROKU SIGNATURE」 Vol.6桜花が舞う美の情景をグラスに映す。
日本のジンを日本風につくるとは何か。

THE JAPANESE CRAFT GIN ROKU × スタア・バー・ギンザ 岸 久

四季が生んだ6種の日本のボタニカルでつくられたジャパニーズクラフトジン「ROKU」。桜花、桜葉、煎茶、玉露、山椒、柚子の素材を中心に、日本人の繊細な職人技で完璧なバランスを追求してつくられた特別なジンだ。
個性豊かな「ROKU」の特徴を、トップバーテンダーたちはどのように生かし、一杯のカクテルにつくりあげていくのか。8人のバーテンダーが考える「ROKU SIGNATURE」をシリーズで紹介していく。

トップバーテンダーがつくる「ROKU SIGNATURE」 TOP


日本の6つのボタニカルを中心につくられたジャパニーズクラフトジン ROKU。それぞれに特徴を持ったボタニカルだけに、どの素材に焦点を当て、それを引き出し、どうカクテルに生かすのか。そこにバーテンダーのクリエイティブな発想とテクニックが光る。押しも押されもせぬ銀座の名店「スタア・バー・ギンザ」の岸久氏がつくるROKUシグネチャーカクテルはこうだ。


今までにない別次元のジンだから
今までと同じでは良さが伝わらない。

「ジンの場合ボタニカルに目が行きがちですが、もっとも重要なのは酒質、つまり元々のスピリッツの土台です。ROKUはこの酒質が素晴らしくいいんです。ただ、明らかに他のジンとは違いますから料理の仕方を考えなくてはいけません。魚や野菜だったら、煮た方がいいのか、焼いた方がいいのか、はたまた蒸した方がいいのか、料理人はその素材を生かした調理法を当てはめます。それはROKUも同じ。

これまでのような提供の仕方ではこのジンの良さを伝えられない、かえって台無しにしてしまうこともあるんです。例えばジントニックの場合、甘味や苦味などトニックウォーターの方が強いですから、いつもと同じ感覚でつくるとROKUが負けてしまいます。だからこそ日本のジンなんですね。他のジンとは比較できない、別次元のものと考えた方がいい。日本人はお酒のボリューム感は好きでも体質的に強くないので、それをどうやって飲みやすく、おいしくつくるかバーテンダーの先輩方が何十年もかけて編み出してきました。でも今度はその逆。日本の良さを持つジンを日本風につくらないとその良さが生きてこないんです。 我々日本のバーテンダーがROKUの扱い方をきちんと理解し、“このジンはこういう風にしたらおいしいですよ”と日本や外国のお客様に提供していかないといけない、私はそう思っています。」


まさしく混然一体。
個々の素材を感じさせない緻密な計算。

「洋酒は色々な味わいが複雑に絡んでいて、段階を追ってそれらの味わいを感じることができます。立体感というんでしょうか。ROKUにはそれがないというわけではないですが、いったんスーっと香味が引けた後にじわじわと舌に残るものがある。他のジンにはない後味があるんです。

それが何の味わいなのかは分かりません。逆に分かってしまったらそれはもうROKUではないと思うんですね。酒質を超えてよくよく溶け込んだボタニカルの成せる技、東洋的な考えでいうとまさしく “混然一体”。複数の蒸溜方法で素材ごとにつくり分けをしているのも、最終的に6種を合わせ、初めてひとつになるよう緻密に計算されているんだと思います。誰が目立つわけではなく6人で均等にハーモニーを奏でる、まるでひとつのチームですね。“和を以て貴しとなす”です。それに、日本人は分かりやすい刺激よりも、後からじわーっと出てくるような、そういう感覚を心地よいと感じる性質があります。ですからROKUは私たち日本人の舌によく合うんでしょうね。」

「日本は食材もそうだし、お酒もそう。何でも西洋の考えを当てはめてしまうとだいたい割合は崩れてしまいます。ROKUにはROKUの持ち味を生かせるような配分を考えなくてはいけない。それができるバーテンダーはまだまだ多くないと思います」と岸氏。


“日本風につくる”ROKUカクテル。
グラスに描かれた美しい日本の情景。

「先ほども申し上げたように、今までにないジンですからこれまでと同じつくり方をしていたのではダメ、カクテルとして使うには日本風につくることを考えなくてはいけないんです。日本風というのは、ROKUと副材料が持つ硬さ(パワー)を合わせるということです。魚の練り物に例えると、一方はなめらかでやわらかくても、もう一方がガチガチに硬かったらうまく混ざらないでしょ。それと同じで合わせる香りのボリュームやアルコールの刺激も含めて相手を選ぶとROKUの良さを伝えることができると考えています。

今回考案した「Sakura Fubuki」は、時計メーカーであるセイコーウォッチとのコラボ企画で生まれたカクテルです。腕時計もジンも元々は海外発祥のものですが、日本人ならではの感覚で完成された両者は、現在海外で大きな注目を集めています。まさにジャパニーズクラフトですね。カクテル名の通りROKUの特徴のひとつである桜に焦点を当てました。ROKUの風味をしっかりと生かしながらも、ふわっと軽く仕上げるために桜のリキュールではなく桜のシロップを合わせています。また、甘酒由来の白濁した色合いはまるで春霞を思わせ、浮かんだ氷片は風に舞った桜の花びらを想起させます。美しい日本の情景をグラスに落とし込んだ日本風のカクテル。これが私のROKUを生かした一杯です。」


◎岸氏による「Sakura Fubuki」のメイキング動画を下記にてご覧いただけます。


甘酒からくる少し白濁した色合いが春の霞を想わせる『Sakura Fubuki』。「その素材の持つ声を聞く、気持ちを知ることで自然とどのようにしたらおいしいカクテルができるかが分かります。カクテルという存在を愛していますから」と岸氏。
材料は、右からROKU、桜シロップ、甘酒、ココナッツウォーター。「このROKUをどうのように料理したらおいしく味わえるか、私たち日本のバーテンダーがきちんと考え、理解してお客様に提供していかなくてはいけないと思っています」と岸氏。



Sakura Fubuki
■RECIPE■
◎ROKU/30ml
◎桜のシロップ/10ml
◎甘酒(ノンアルコール)/10ml
◎ココナッツウォーター/10ml■つくり方■
シェーカーに氷と材料を入れシェークしグラスに注ぐ。



岸氏のROKUシグネチャーカクテル メイキング動画「Sakura Fubuki」をBAR TIMES チャンネルでご覧ください。(撮影場所/スタア・バー・ギンザ)セイコーウォッチ株式会社とスタア・バー・ギンザ 岸久氏のコラボレーション企画の詳細はこちら。


   

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