2019.09.30 Mon
2019年 アジア No. 1 バー『The Old Man』 ヘッドバーテンダー アグン・プラボー氏に聞く
ジャパニーズクラフトスピリッツの魅力
BAR TIMES 編集部日本のバー文化やバーテンダーの技術の高さは世界でも有名で、我々は常にホスピタリティやその技術に着目しています。お店のコンセプトも様々で、それがいろんなエリアに存在しています。特に東京では刺激を与えてくれるバーがたくさんありますね。今回で3回目の来日になりますが、どんなバーに出合えるのかいつも楽しみにしているんです。
香港での、ジャパニーズクラフトスピリッツの人気はいかがですか。
私のバーがある香港、シンガポールでも日本のスピリッツは人気があります。商品のコンセプトがしっかりしていて、味わいや製法などとても工夫されているので、他のスピリッツとは一線を画している印象があります。日本のウイスキーは今も人気が高いですが、ROKUも注目されていますし、これからはHAKUも人気が高まるのではないでしょうか。
去年初めてROKUを飲んだのですが、フレーバーが幾重にも重なっていて、非常に高い複雑性を感じました。口の中で様々な味わいが次々に感じられる、とても素晴らしいジンだと思います。HAKUは、お米を原料に竹炭でろ過をしたこれまでにない味わいのウオッカです。透き通っていながらも、クリーミーさや甘味が生き、複雑さが増していますね。これも日本ならではのウオッカだと思います。
「A MOVEABLE FEAST#1964」はどのようなカクテルですか。
カクテル名は僕の大好きなアーネスト・ヘミングウェイの著書「移動祝祭日」からとっています。1964とは本が出版された年です。この本を書いた当時、ヘミングウェイはパリに住んでいて、今もあるハリーズニューヨークバーで友達とブラッディメアリーを飲むのが好きだったそうです。そこにヒントを得て、自分なりのブラッディメアリーをつくりたいと思ったのがこのカクテルです。海水や塩、貝類などを材料としたオーシャンフレーバーとHAKUを合わせ、内側にチーズワックスをしたボトルに注ぎます。チーズの濃厚さとHAKUの甘味が相まって、クリーミーさを感じる味わいです。フレッシュチェリートマト、ハラペーニョ、タバスコなどでブラッディメアリーならではのスパイシーさを表しました。
■RECIPE■
rotovap sea Haku Vodka, clear spiced cherry tomato,
coconut, basil-tomato seeds & oyster leave
(infused in cheesewax)
アグン氏の「A MOVEABLE FEAST#1964」メイキング動画をBAR TIMESチャンネルでご覧いただけます。
「THE SUN ALSO RISES#1926」はどのようなカクテルですか。
これもヘミングウェイの著書「日はまた昇る」をカクテル名にしています。本が出版された1926年当時、彼や彼の友達たちはネグローニやジャックローズを好んで飲んでいたと言われています。この2つのカクテルのニュアンスを1つにまとめたのが「THE SUN ALSO RISES#1926」です。特徴的なグリーンの色は、東南アジアで採れるパンダンリーフというもので、お米と炒めたり、煎じて飲んだりと非常にポピュラーな植物です。バニラっぽいフレーバーも感じられるんですよ。カクテルのベースには、カレーリーフと合わせたROKUを使い、ファットウォッシングという清澄作業を施したアップルジャックとココヤシのコプラで、林檎の風味の中にもナッティな印象を出しています。
■RECIPE■
copra fat-washed applejack, fresh curry Roku gin,sweet vermouth sous-vide pandan leaves,
lime kafir
アグン氏の「THE SUN ALSO RISES#1926」メイキング動画をBAR TIMESチャンネルでご覧いただけます。
ジャカルタ出身。2007年の国際バーテンダー協会主催の大会で優勝、2008年の世界フレアー・バーテンディング大会でトップ10入りするなど、アジア各地で数多くのコンペティションに参加し好成績を残す。2017年に2人のパートナーと共に「The Old Man Hong Kong」をオープンし、英国の老舗出版社ウィリアム・リードが主催する2019年「アジアのベストバー50」において1位を獲得。シンガポールにも「The Old Man」を出店。