fbpx

バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2019.10.15 Tue

THE JAPANESE CRAFT COCKTAIL文明開化、時代の先端を走った
可愛くエキゾチックな『モダンガール』

吉原泰俊氏 × ジャパニーズクラフトスピリッツ&リキュール

日本を訪れる外国人観光客が年々増加する中、ここ十年余り、日本のバーシーンも世界から高い注目を集めています。その理由として、バーテンダーの高い技術もさることながら、繊細で創造性豊かな日本のスピリッツやリキュールも大きな要因のひとつと言えます。本企画は、日本のスピリッツ&リキュールを使い「世界に誇るジャパニーズ クラフト カクテル」をテーマに、6人のバーテンダーにカクテルを創作いただきました。使用するのは、ROKU、HAKU、奏(柚子・抹茶・白桃)の中からROKUを含む2つ以上のスピリッツ&リキュール。どのようなジャパニーズ クラフト カクテルが誕生するのか、連載で詳しくご紹介していきます。



今回「ジャパニーズ クラフト カクテル」を創作いただいたのは、アンダーズ 東京「ルーフトップ バー」でバーテンダーを務める吉原泰俊さんです。吉原さんのカクテルは、ROKUと奏のホワイトピーチを使い、大正から昭和にかけて華やいだ女性たちをイメージ。それは、使用する一つひとつの素材に意味を持たせ、ストーリー性に富んだ可愛らしく、エキゾチックな一杯でした。(撮影/アンダーズ 東京「ルーフトップ バー」)


大正から昭和にかけて時代の先端を走った、
モダンガールをイメージしたカクテル。

ROKUがつくられているサントリーの大阪工場は、今年で創業100年になります。100年前というと日本は大正時代。西洋の文化が入ってきて、街はおしゃれを楽しむ女性たちで華やいでいました。そんな大正から昭和初期にかけて時代の先端を行く彼女たちをイメージしたのが『モダンガール』です。日本の文明開花を表現するにふさわしい、「国際的な」という意味のコスモポリタンをROKUベースでツイストしました。ROKUの桜フレーバーはピンクでやさしい甘さを思わせ、そこに奏のホワイトピーチを合わせました。実は、桃には“チャーミング”という花言葉があるんです。

また、クランベリージュースの他、塩を含んだ自家製のラベンダーコーディアルを加えることで全体の味わいを引き締め、甘味を引き上げています。実は、日本で初めてラベンダーが栽培されるようになったのも昭和初期。私自身、気品がありながらも独特な紫の色合いにどこかエキゾチックさを感じるんです。いち早く流行を取り入れていたその当時のモダンガールたちは、もしかしたらラベンダーの香水を身にまとっていたのかもしれない、そんな想像もさせてくれます。そのイメージから、仕上げにラベンダーティーのスモークをグラスに閉じ込め、見た目の可愛らしさだけではない、エキゾチックな雰囲気も演出しています。



吉原氏作『モダンガール』。ぷっくりとした可愛らしい形状のグラスは、どこかレトロな雰囲気を感じさせる。口がすぼまっているため、ラベンダーティーのスモークが長く回流し、口元に運んだ際ふわりと香るのが特徴。ガーニッシュには、バタフライピーとラベンダーが添えられている。

皮付きの桃を丸かじりしたような、
本物のみずみずしさを感じさせる奏のホワイトピーチ。

ROKUを初めて飲んだ時、一番感じたのは桜の味わいでした。ただ特徴的なボタニカルを使うジンのなかでも、ほかのジンとは全く違うんですよね。次から次へと繊細に表れる和の素材とともに、トラディショナルなロンドンジンの味わいも感じられ、そこに洋の文化へのオマージュと、ブレンドの知識や技術の高さを感じます。また、今回の『モダンガール』にも使った奏のホワイトピーチは、すごくみずみずしくて、まるで皮付きの桃をそのまま齧ったような本物感があるんです。一般的なピーチリキュールとは一線を画すもので、レシピでは10mlしか使っていませんが、とても存在感があります。これは奏にしか出せないクオリティだと思います。

カクテル創作で大切なのはストーリー性。
一杯に込められた物語を、お客様に楽しんでいただきたい。

カクテルを創作するのって、すごく楽しくて好きなんです。多い時には、月に10作品くらい創作することもありますね。例えば今回の『モダンガール』の場合、ROKUの持つ背景を考え、目指す味わいや色に近づけるためにどんな素材を合わせ、どんなテクニックを使うか。すべてがひとつのストーリーとしてつながると、最高に気持ちがいいんです(笑)。この「ルーフトップ バー」では、お客様の約7割が海外の方で、日本のクラフトスピリッツやリキュールに非常に高い関心をお持ちです。ですから、『モダンガール』が持つストーリーを感じていただきながら、ジャパニーズ クラフト カクテルを楽しんでいただきたいと思っております。


吉原泰俊(よしわら・やすとし)
アンダーズ 東京「ルーフトップ バー」のバーテンダー。ビーフィーター グローバル バーテンダー コペティションで2016年、2017年と2年連続でジャパンファイナルに選ばれる実力の持ち主。




『モダンガール』


RECIPE
◎ROKU/40ml
◎奏(ホワイトピーチ)/10ml
◎ソルテッド ラベンダー コーディアル(自家製)/15ml
◎ライムジュース/15ml
◎クランベリージュース/10ml
◎チェリービターズ/1drop

つくり方
シェーカーにすべての材料と氷を入れシェーク。ガーニッシュを添え、ラベンダーティーのスモークを閉じ込める。




   

BAR TIMES INFORMATION

関連記事はこちら

PAGE TOP