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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2021.09.6 Mon

BARの、あのジントニック ジントニックは名刺代わり
“これが僕の本気の一杯です”

— The Odd Couple(中国・上海)杉浦 聡さんの場合 —
国内売上No.1(※)ジン
伝統を守り継ぐブランド、「ビーフィーター」


ブランド誕生以来、変わらぬレシピを守り続け、今なおロンドン市内で蒸溜されているビーフィーター。

厳選された9種類のボタニカル(ジュニパーベリー・レモンピール・セビルオレンジピール・アーモンド・オリスルート・コリアンダーシード・アンジェリカルート・リコリス・アンジェリカシード)とこだわりの製法によって生み出されたその味わいは、クリーンな風味と爽やかな柑橘香が特長です。世界中のバーテンダーから愛されているロンドンドライジンの代表格です。

ブランドサイト http://beefeater.jp/gin/

(※)IWSR2020日本国内におけるジン販売数量に基づく


バーにおいて絶対的な人気を誇るジントニック。ロングドリンクでは少なくとも十数年は不動の地位を得ているのではないでしょうか。さらに、バーテンダーにとってもジントニックほどとことん追求するに値するカクテルはないといいます。その秘密は何なのか。ロンドンドライジンを代表する『ビーフィーター』をベースにしたジントニックについて、国内外の人気バーで、その秘密を探るとともに、ジントニックへのこだわりをご紹介します。

The Odd Couple(中国・上海)杉浦 聡さんのジントニック

杉浦 聡(すぎうら さとし)
愛知県・名古屋市出身。「ビーフィーター グローバル バーテンダー コンペティション2017」日本ファイナルで優勝。世界最大のジンブランドのコンペティション「BEEFEATER MIXLDN」にて 世界大会に日本代表として出場。東京・中目黒のPAVILION(パビリオン)を経て、現在は中国・上海のThe Odd Couple(オッドカップル)のバーマネージャーを務める。フレアバーテンディング、クラシックスタイル、ミクソロジーなど幅広いバーテンディングスタイルに精通しており、ジンのカクテルコンペティションでは多くの受賞歴を持つ新進気鋭のバーテンダー。


一杯目にオーダーされたからには絶対に満足してもらう

最後のひと口まで美味しく飲める、これが僕のジントニックです。海外ではその名の通り”Gin & Tonic”で、ライムなどの酸味を入れることすら驚かれますし、必要ないと言われることもあります。しかも、一杯飲んで次の店へとバーホッピングすることが文化として当たり前にあるので、最初から店一番のシグネチャーを求められるんです。なので、一杯目にジントニックをオーダーしていただいたからには絶対に満足してもらう。名刺がわりに“これが僕の本気の一杯です”と、こだわりを説明して出すととても喜ばれますね。



「初めて教わったジントニックがビーフィーターでした。バーテンダーとしては一生向き合っていきたいジンです。」と杉浦さん


ジンのボリュームを長持ちさせる、ほんの少しの不完全さ

のど越し重視のジントニックなので、ジンも炭酸もグラスも冷やすのは当然ですが、他にもこだわっている点があります。まず、柑橘の果皮は入れない、ピールで香りづけをしないこと。ビーフィーターのボタニカルには、レモンピールとセビルオレンジピールの2種類のシトラスが使用されていて、他にも華やかな香りの素材が使われています。フリーザーに入れた状態からしっかりステアして温度の上昇とともに開くそれらの香りを大事にしているからこそ、必要以上の柑橘香は必要ないと考えます。


キーボタニカルのレモンピール、セビルオレンジピールは、ビーフィーターの特徴である爽やかな柑橘香を生み出す大きな役割を担っています。

そして、グラスに入れる氷は大きめのものを一つだけにすること。ダイレクトに炭酸の気泡を感じる飲み口にしたいので、組んだ氷に液体をくぐらせたくないんです。

炭酸が早く抜けてしまうリスクはありますが、気づいたら飲み干していたというほど、のど越しを重視しています。ただ、2、3杯目に飲まれる方にはペースを考え、いくつか氷を組んだジントニックにしています。もう一つは、仕上げにステアをしないこと。お客様にもよりますが、ジントニックはロングドリンクなので飲み終わりまで20〜30分かかることもあります。ステアで完全に混ぜてしまうと、最初のひと口は確かに美味しいんですが、徐々に氷が溶けていくので水っぽくなってしまいます。“ほんの少し不完全”にしておくことで、ある程度時間が経っても意外としっかりとしたボリュームで飲むことができるんです。ほんの少しの不完全とは、仕上げにバースプーンで氷を3回沈めることを指します。トニックウォーターとソーダで氷を使って押し上げるというイメージですね。なぜ3回か? 僕が何度も試して飲んだ結果、一番ジンのボリュームが長持ちしたな、という感覚の数字です(笑)。

ミキサビリティの高さゆえ、技術が求められるジン

僕がジントニックのベースにビーフィーターを選ぶ理由は、何と言ってもクラシックなロンドンドライジンの味わいと、ミキサビリティの高さにあります。だからこそ我々バーテンダーの技術によって良くも悪くもなる。ジントニックはとてもいい例で、シンプルなカクテルなだけにでレシピ以上の技術が求められるのではないかと思います。温度帯によっても香りやボディ感など様々な顔をのぞかせるので、ジントニックをつくる上で、バーテンダーとしては一生向き合っていきたいジンです。



ビーフィーターは、フリーザーでしっかり冷やし、ステアすることで香りを開かせていく。

ステアはせず、氷を3回沈め炭酸で氷を押し上げる。


The Odd Couple(中国・上海)杉浦 聡さんのジントニック

ジントニック レシピ
◎ビーフィーター ジン(フリーザー):35ml
◎フレッシュレモンジュース:5ml
◎トニック・ウォーター:100ml
◎ソーダ: 20ml
つくり方
あらかじめフリーザーで冷やしておいたグラスに大きめの氷を1つ入れる。ビーフィーター ジンを注ぎ、氷に当てないようにフレッシュレモンジュースを入れ、しっかりとステアする。氷に当てないようゆっくりとトニックウォーターを注ぎ、その上からソーダをゆっくり注ぐ。ステアせずに、バースプーンで氷を3回沈め、炭酸でジンを押し上げるように液体を混ぜる。


The Odd Couple について
The Odd CoupleのコンセプトはSG GroupとEmployees Onlyという2つのBarが一つの店で楽しめるというところと、80‘sスタイルのレトロな音楽、雰囲気ですね。日本ではまず見られないBarだと思います。立地も観光エリアにあるので、コロナ以前は色々な国から、現在も様々な地方からのお客様が多いです。誰もが気軽に楽しくお酒を飲める、というバイブス感を大事にしています。上海で日本人のバーテンダーとして働くことは楽しいことは多くても、難しいことはほとんどありません。先輩のバーテンダーの方々や先に出店していたSpeak LowやSober Companyのお陰で日本人バーテンダーの評価はかなり高いので期待に答えられるよう良いプレッシャーとして楽しんでいます。


取材協力 / サントリースピリッツ株式会社


2021年5月上海にて撮影。当時はパッケージリニューアル前のため、旧パッケージのボトルを使用しています。


   

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