2021.08.23 Mon
遥かなる天空の地で生まれた「コカレロ」最上位アイテム「コカレロ・デ・アルトゥーラ」を識る
LIQUID FACTORY 斎藤恵太 × COCALERO DE ALTURA遠いインカの時代から、南米におけるコカの葉の歴史は続いています。その生産を担う”Cocaleros”(コカレロス)たちにより丁寧に育てられたコカの葉は、アンデス文化において重要な役割を果たしてきました。南米で古くから人々に親しまれてきたコカの葉を用いるお酒「コカレロ」の最上位アイテムにして、生産量も少ない「コカレロ・デ・アルトゥーラ」。特別な蒸留方法によりコカの葉に含まれる麻薬成分はすべて取り除かれ、繊細で爽やかな香りが引き立ちます。日本では、2020年に数量限定で発売されたのみながら、その味わいがファンに響き、再び人気を集めています。東京・渋谷「LIQUID FACTORY」オーナーバーテンダーの齋藤恵太さんに2種のカクテルを考案していただきました。
標高3600mで蒸留。南米のボタニカル20種以上を使う希少な蒸留酒
南米ボリビアの“悪魔の歯”の名を持つデビルズ・トゥース山の麓、標高3600mの都市ラパスで蒸留される「コカレロ・デ・アルトゥーラ」。手間と時間をかけて育てた最高級のコカの葉をはじめ、南米特産の香木など厳選されたボタニカル20種以上を配合しています。乾燥させたコカの葉は、古来より、石灰と一緒に噛むことで高地の環境負担を軽減する効果があるとされ、飢えや渇きの癒し、痛みの緩和、疲労回復などの効能に併せ、エネルギーとスタミナをもたらす万能薬であるとされてきました。
世界でもっとも標高の高い蒸留所で蒸留することの最たる利点は、アルコールの沸点が70℃まで下がること。ボタニカルと蒸留酒の反応が穏やかに進むことで、繊細なフレーバーが引き立ち、より芳醇な香りが生まれます。蒸留の際は、植物からエッセンシャルオイルを抽出する際に用いる「蒸気蒸留」という製法を採用。この過程で、コカの葉に含まれる麻薬成分は完全に取り除かれます。蒸留後は最低30日間の熟成を経て安定させ、コルディエラ・レアル山脈の天然水で薄めることにより、完璧な高みに到達します。
「レギュラー商品のリキュール『コカレロ・クラシコ』については、日本に入荷してから試していましたし、カクテルにも使っていました。でも『コカレロ・デ・アルトゥーラ』は、今回が初めてです。甘くないスピリッツの仕様で、一層カクテルに使いやすいですね。ボタニカルのなかにはジュニパーベリーも入っていて、ジンに近い印象でしょうか。でも、ジンとの大きな違いは、ボタニカルがより引き立っている点です。スパイシーさもありますね。カクテルをつくる際は、ジンと置き換えてみるのが一つのアプローチだと思いますが、強めのフレーバーの副素材と合わせても負けない味わいがあってエッジの効いた仕上がりにできます」
「クローバークラブ アルトゥーラ」 レシピ
- コカレロ・デ・アルトゥーラ:60ml
- レモンジュース:15ml
- チェリーシロップ:15ml
- 卵白:30ml
- チョコレートビターズ:6ドロップ
つくり方
- グラスに氷を入れて冷やしておく。
- ボストンシェイカーに、コカレロ・デ・アルトゥーラ、レモンジュース、チェリーシロップ、卵白を入れる。氷を加え、長めにシェイクする。
- グラスの氷を捨て、ダブルストレインでシェイカーからグラスに注ぐ。
- ビターズをのせて、クローバーをイメージした柄にする。
「二つ目のカクテルは、もう少し自由に発想してみました。イメージは、ジャングル地帯でコカの葉の生産を担ってきた“Cocaleros(コカレロス)”が、仕事後に一服つくのによさそうな飲み物。主となる材料を中南米のもので繋げています。ひとつはコロンビア産のコーヒー。浅煎りのコーヒー豆を使っていますので、チョコレートのようなニュアンスがあります。ハイビスカスティーも中南米でよく飲まれているものですし、酸味の要素としてこのカクテルにすごくしっくりきました。唐辛子はコーヒーにもハイビスカスにも合う味わいで、ビターズとして入れることで、ぐっと雰囲気が出ます。ヴェルヴェットファレナムは、サトウキビを原料にライムピールやアーモンド、クローブを漬け込んだリキュールで、ティキによく使われます。個性の強いものを合わせても『コカレロ・デ・アルトゥーラ』の存在も立っていて、イメージに沿ったカクテルが完成しました」
「ジャングルクルーズ」 レシピ
- コカレロ・デ・アルトゥーラ(ハイビスカスをインフュージョン):30ml
*コカレロ・デ・アルトゥーラのボトル1本に対し、ハイビスカス(乾燥)10gを加え、真空状態にして55℃で1時間インフュージョンし、漉したもの - ヴェルヴェットファレナム:15ml
- コールドブリューコーヒー:30ml
- 唐辛子ビターズ:1ダッシュ
- ドライのルビーグレープフルーツ:1枚
- ミント 適量
つくり方
- ボストンシェイカーに、コカレロ・デ・アルトゥーラ(ハイビスカスをインフュージョン)、ヴェルヴェットファレナム、コールドブリューコーヒー、唐辛子ビターズ、クラッシュドアイスを入れ、シェイクする。
- グラスに氷ごと注ぎ、ストローをさす。
- ルビーグレープフルーツ、ミントを飾る。
齋藤恵太(さいとう けいた)
1984年、神奈川県生まれ。自動車整備の専門学校卒業後、自動車整備士の経験を経て23歳で飲食の世界へ転身。2011年より「ザ・ペニンシュラ東京」のメインバー「Peter Bar」、2014年より「ヒルトン東京」のレストランフロアの立ち上げに携わる。2011年と2015年には、国際的なカクテルコンペティショ「ディアジオワールドクラス」にて日本ファイナリストに。また、アイリッシュウイスキー「JAMESON」のカクテルコンペで世界3位の成績を収める。バーのコンサルタントやカクテル開発を手掛ける自身のブランド「LIQUID WORKS」で幅広い活動をしつつ、2019年9月には、ラボを兼ねたバーとして渋谷「LIQUID FACTORY」をオープン。