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2022.04.1 Fri

6代続くイーガン一族が自信を持って届けるアイリッシュ・ウイスキー「イーガンズ・ウイスキー」の個性と
カクテルへの応用力の高さとは——。

MIXOLOGY SALON 佐藤由紀乃 × Egan's Whiskey

19世紀初頭、全世界のウイスキーの60%を占める生産量を誇るほどの盛り上がりを見せていたアイルランド。20世紀に入るとその隆盛は衰えてしまうものの、1987年に100年ぶりにクーリー蒸留所が操業を開始して以来、小規模の蒸留所が次々と設立する流れが続いています。その勢いは「アイリッシュ・ルネッサンス」とも称されるほどです。
この春より本格的に日本に上陸する「イーガンズ・ウイスキー」は、170年前からウイスキーを製造する伝統的な銘柄。新しい波に沸くアイリッシュ・ウイスキーのなかでも、ひときわ際立つ存在感を放っています。6代続くイーガン一族が自信と情熱をもって送るウイスキーの味わいとカクテルへのアプローチを、東京・銀座「MIXOLOGY SALON」メインバーテンダーの佐藤由紀乃さんに紐解いてもらいました。


2013年に復活した伝説のブランド。豊かなアロマ、心地よい余韻、伝統に裏打ちされた高い技術力

「イーガンズ・ウイスキー」は、アイルランドの中心の街・タラモア発のウイスキーブランド。今からちょうど170年前にヘンリー&パトリックJr.イーガンの兄弟によって創立されました。当時はアイルランドの高級ウイスキーの代名詞と言われるほどでしたが、時代の流れの中で1968年にその歴史を閉じます。 そして、2013年、イーガン家5代目のモーリス、6代目のジョナサン・イーガンによって見事に復活を遂げました。
魅力の源泉は、なんといっても伝統に裏打ちされた高い技術力。優れた原酒を見極める審美眼、卓越したブレンド技術、最適な樽の選択といった、ウイスキー造りにおける技術の集大成が、「イーガンズ・ウイスキー」の幾層にも連なる奥深い味と香りを生み出しています。今回、紹介するウイスキーは2種。

アメリカンオークのバーボン樽で最低8年の歳月をかけて熟成されたシングル・グレーンの“ヴィンテージ・グレーン”。そして、甘口のシェリー「ペドロ・ヒメネス」の樽で熟成し、“芳醇さ”と“豊かさ”というシェリー独特のフレーバーが色濃く出ているシングル・モルト・ウイスキー“フォーティチュード”。



「従来のアイリッシュウイスキーの印象とは、ひと味もふた味も違う個性。カクテルのベースとしても高い応用力を感じます」佐藤由紀乃さんは、初めて飲んだときの印象をこう語ります。


ヴィンテージ・グレーン
「これまで飲んでいたアイリッシュウイスキーの印象より、華やかでとろっとしたテクスチャーも感じました。嫌なクセがなくスムースでまろやか。でもおとなしいわけではなく、ミルキーな印象も。お茶をはじめ、いろんな素材との相性がよく、カクテルの応用力の高さがありますね。ごくラフに味わうなら、ソーダやトニックウォーターで割って、柑橘を加えてもいいと思います。レモンより柔らかい酸のオレンジやグレープフルーツが心地よく飲めそうです」

フォーティチュード
「アイリッシュウイスキーの“軽やか”なイメージを覆すような、重厚感と熟成感!リッチでいて、フレッシュな果実のようなニュアンスもあって重すぎないところがいいですね。家で楽しむなら、リラックスタイプにゆっくりロックで飲みたいですね。紅茶で割ったり、温かい飲み物にフロートするだけでも十分にこのアロマや味わいを楽しめそうです」


イーガンズ・ヴィンテージ・グレーンのオリジナルカクテル「Reflection / リフレクション」

「“ヴィンテージ・グレーン”が持つミルキーな印象を立たせるために、バターウォッシュという方法を取り入れました。そのバターの風味やミルキーな味わいと、玉露の旨味をリンクさせたマティーニスタイルのカクテルです。ウイスキー自体に、バーボン樽熟成由来の熟す前の桃のような青いニュアンスもあったので、メロンリキュールと合わせてみました。繊細かつ華やかなウイスキーの持ち味は、玉露の優しい旨味とまろやかさともぴったり合います。カクテル名は、『内省』を意味します。茶道では相手をもてなす心、そしてもてなされる心を育てることも大切な要素で、自身の心を磨き上げる要素も持ち合わせています。お茶を使った清らかな味わいのカクテルを飲んで、召し上がった方が自分を見つめるきっかけとなればと思いつけました」

「Reflection / リフレクション」レシピ


  • イーガンス“ヴィンテージ・グレーン”:35ml
  • バターウォッシュ“ヴィンテージ・グレーン”:5ml
    *バターを溶かし、イーガンス・ヴィンテージ・グレーンと混ぜた後に冷凍庫で一晩置く。翌日、常温で1、2時間置き、コーヒーフィルターで漉して油分を除き、ウイスキーのみを落とす
  • 玉露を漬け込んだメロンリキュール“ミドリ”:10ml
    *メロンリキュール200mlに玉露の茶葉10gを加え、冷蔵庫で4日ほど漬け込む
  • 玉露(水出し):15ml
    *水1ℓに玉露15gを加え、冷蔵庫で一晩置く
  • ドライベルモット:10ml

つくり方


  1. ワイングラスに、イーガンス“ヴィンテージ・グレーン”、バターウォッシュ“ヴィンテージ・グレーン”、ドライベルモット、玉露を漬け込んだメロンリキュール、玉露(水出し)を入れてスワリングする。
  2. ミキシンググラスいっぱいに氷を入れ、イーガンス“ヴィンテージ・グレーン”1tsp(分量外)を注いでステアして全体にリンスをし、ストレーナを付けて水気を切る。
  3. 1を2に注ぎ、香りが上がってくるまでステアする。
  4. グラスに注ぎ、ミキシンググラスの氷を一つ入れる。


イーガンス・フォーティチュードのオリジナルカクテル「Mellowness in the Dark / メロウネス イン ザ ダーク」

「ビアフリップというビアカクテルのツイストです。実際にビールは使っていないのにビールっぽいですよね。個人的にビアカクテルが好きなんです。ゴクッと飲める感じや、焙煎したモルトによるビター感はあるのに苦くないのがいいですね。“フォーティチュード”が持つ重厚感と熟成感には、ビターズのようなダイレクトな苦みを足すのではなく、香り的な苦みを重ねてみたくなってこのレシピに落とし込みました。“フォーティチュード”のリッチな味わいをさらに立たせるために、レーズンを漬け込みます。ウイスキーがフレッシュな果実のニュアンスも持っているので、重くなりすぎないようにラズベリービネガーで酸味を加えています。量は2mlでも3mlでもなく、2.5mlがウイスキーの持ち味も生きるベストなバランス。ベルギーの自然発酵のビールであるランビックのようなニュアンスも感じられると思います。

カクテル名は、直訳すると『暗闇の中の円熟味』。チョコレートモルトを使った真っ黒な色合いでも、フォーティチュードの円熟味を確実に感じられる味わいになっているからです」

「Mellowness in the Dark / メロウネス イン ザ ダーク」レシピ


  • イーガンス“フォーティチュード”:30ml
  • レーズンを漬け込んだイーガンス“フォーティチュード”:5ml
    *ウイスキー100mlにレーズン約15gを加え、常温で1週間ほど置く。
  • ドライ・ベルモット“マンチーノ”:20ml
  • シェリー(アモンティリャード):7.5ml
  • “マイユ ラズベリービネガー”:2.5ml
  • チョコレートモルトシロップ:15ml
    *チョコレートモルト撹拌してパウダー状にし、砂糖と水(各適量)を合わせる
  • 卵白:15ml
  • ソーダ:50ml
  • 玉露(水出し):15ml
    *水1ℓに玉露15gを加え、冷蔵庫で一晩置く
  • ドライベルモット:10ml


つくり方


  1. シェイカーに、イーガンス“フォーティチュード”、レーズンを漬け込んだイーガンス“フォーティチュード”、ベルモット、シェリー、ラズベリービネガー、チョコレートシロップ、卵白を入れ、スプーマーで軽く全体を混ぜる。
  2. 1に氷を加えてシェイクする。
  3. ダブルストレインでグラスに注ぐ。ソーダでアップし、軽くステアし、氷を一つ入れる。

佐藤由紀乃さんのカクテルメイキング動画


Reflectionのカクテルメイキング動画はこちら

Mellowness in the Darkのカクテルメイキング動画はこちら


佐藤由紀乃(さとうゆきの)
1988年生まれ、埼玉県出身。学生の頃にホテルバーテンダーの接客やバーテンディングに感銘を受け、飲食業界へ。「シャングリ・ラ ホテル東京」ロビーラウンジの立ち上げスタッフとしてスタートし、客として通っていた「The BAR codename MIXOLOGY Tokyo」(ビル建て替えのため、この店舗は現在閉店)の南雲主于三さんのバーテンディングに惹かれ入社を志願し、2011年「スピリッツ&シェアリング」に入社。銀座「MIXOLOGY SALON」は立ち上げから携わり、メインバーテンダーとして全店のカクテル開発を担当している。

   

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