
2025.04.23 Wed
スーパープレミアムテキーラ『パトロン』でつくるマルガリータ副材料は最小限に。
伝統を継承する『パトロン』の純粋さが
冴えるマルガリータ。
松尾一磨さん(Bar Landscape./東京・銀座)東京・銀座「Bar Landscape.」オーナーバーテンダーの松尾一磨さんが、その味わいを語り、マルガリータに活かす。

上質を知る世界のセレブに愛され、近年のテキーラブームを牽引している『パトロン』。アガベ、水、酵母、そして時間のみを使い、香り高さとなめらかさ、アガベが前面に出た深い複雑味のあるテキーラを造り続けている。
使われるのは、生育に5年以上を要するウェーバー ブルーアガベだけ。葉を剥ぎ取って核の「ピニャ」を露出させる際も、苦味のある葉は剥ぎ取り、手間をかけて深いカットをほどこす『パトロン』基準が設けられている。蒸溜は小型の単式蒸溜機を使用。効率だけを重視せず、昔ながらの造りを継承して混じり気のないおいしさを生み出しているのだ。
東京・銀座「Bar Landscape.」オーナーバーテンダー、松尾一磨さんは『パトロン』のそういった伝統に重きを置く造りに惹かれている。
「現代は効率やパフォーマンスばかりが重視され、本来あるべき繊細な技術や美意識が置き去りにされがちです。カクテルでも料理でも、省けるように見える技術の積み重ねが、実は味わいに大きな差を生みます。だからこそ、目に見えない部分にまで心を配ることが、“上質なおいしさ”につながると僕は思っています。『パトロン』の製造方法からは、まさにそうした哲学が感じ取れます」
日々、バーに立つなかでテキーラの注目が高まっていることも感じている。
「たとえばフルーツカクテルに使うスピリッツ。ウオッカやジンはすでに飲み慣れている方が多く、感動が薄れてきている印象があります。でも、フルーツにテキーラを合わせると、新しい味の扉が開きます。とくに『パトロン シルバー』のようなプレミアムテキーラは個性が際立っていて、素材同士が重なりすぎず、それぞれの魅力が引き立つ。そのバランスが、味に奥行きや立体感をもたらしてくれる。しかも、シェークすると香りがふわっと立ち上がってくるのも特徴。しっかりした造りによる、酒質の力強さがあってこそだと思います」
松尾さんに『パトロン』のラインナップより3種類をテイスティングしてもらう。
まずは、最高品質ブルーアガベのみを用い、手作業で少量ずつ製造する『パトロンシルバー』だ。無色透明のフレッシュなアガベ特有の味わいが大きな特徴である。
『パトロン シルバー』
「シトラスやフレッシュなアガベ、メロンのようなグリーントーンの香り。味わいはみずみずしく、フレッシュさとペッパーの刺激、余韻に麦のような穀物感があり、“厚み”に繋がっています。ストレートの常温でもおいしく召し上がれますし、カクテルにも向きます。水割りにすると、こんなに馴染みがいいんだと実感できるでしょう。トニックウォーターで割るなど、気軽に飲んでいただきたいです」
続いて、アメリカンオーク樽で約3~5ヵ月熟成させた原酒をブレンドした『パトロン レポサド』を。『パトロン アネホ』を思わせるオーク香と『パトロン シルバー』のスムースさを備えている。
『パトロン レポサド』
「瞬時に感じる香りはペッパー。その奥に蜂蜜や熱したフルーツがあります。香りはアネホ寄り、味わいはシルバー寄りといった、中間の立ち位置。テキーラに慣れてきた方が“次に好きになる一本”でしょうか。熟成感もフレッシュさも持ち合わせています。シルバー、アネホと飲み比べるのが愉しいと思います」
最後にアメリカンオーク樽などで約12~14ヵ月以上熟成した原酒をブレンドした『パトロン アネホ』を味わう。熟成に由来する独自の風味と長い余韻が特徴である。
『パトロン アネホ』
「香りも味わいも、蜂蜜のニュアンスを強く感じます。加熱したフルーツやアガベをイメージさせます。スパイシーさはそこまで強くなく、甘さとまろやかのなかに、ほのかなスモーキーさが顔を出します。ストレートやロックで。リッチで温かみがある味わいで、エスプレッソマティーニなども合いそうです」
材料は最小限に爽やかさを前面に
松尾さんがマルガリータに選んだのは、『パトロン シルバー』。その理由はこうだ。
「お酒のエッセイスト、オキ シローさんの短編集『紐育のドライマティーニ』が好きで、そのなかにテキーラとマルガリータをテーマにした話があります。そこでは、“テキーラのストレートは昼間の陽気な酒。マルガリータはしっとりとした宵の酒。いうならば太陽と月の違いさ…”と描写されていて、とても印象に残っています。マルガリータの持つ爽やかさや繊細さを表現するには、フレッシュで洗練された味わいの『パトロン シルバー』がまさに理想的だと感じました
最近はカクテル向きのテキーラが見つからず、決まった銘柄に固定していませんでした。とくに悩んでいたのが、コアントローなどホワイトキュラソーとテキーラの相性。
ホワイトキュラソーを入れすぎると、せっかくのテキーラの香りが重なりすぎてしまうため、少量の粉糖を使用していました。でも『パトロン』には甘味料や添加物が一切使われていないため、甘味にブルーアガベ由来のアガベシロップを採用しました。
パトロン以外のテキーラや、ホワイトキュラソーを使わない“トミーズマルガリータ”のスタイルも試してみました。シェーク前の段階では、ホワイトキュラソーを加えないほうが、旨味も香りもくっきりと立つ。ただ、シェークした後の香りの立ち上がりには、やはりホワイトキュラソーの存在が効果的であり、パトロンを使用した時が香りと味のバランスが最も心地よく感じられました。ボトルもグラスも冷やして、氷のフレークが浮かぶほどシャキッとした温度帯で提供します。ひと口目にライムの爽やかさを、ふた口目に軽やかにのってくる甘味を感じてください」
<材料>
- パトロン シルバー …35ml
- コアントロー …10ml
- ライムジュース …10ml
- アガベシロップ …1/4bsp
- 岩塩 …適量(※1)
<つくり方>
- グラスのふちの半分にライムをこすりつけて岩塩をまとわせるハーフスノースタイルにし、冷凍庫で冷やしておく。
- シェーカーに、冷凍庫で冷やしたパトロンシルバーとそのほかの材料、氷を加えてシェークし、1のグラスに注ぐ。
(※1)すり鉢で擦り、細かくする。

松尾一磨(まつお かずま)
1981年生まれ、神奈川県出身。2006年、オーセンティックバーの東京・銀座「リトルスミス」入社。12年半務める。2013年、日本バーテンダー協会(N.B.A.)主催「第40回全国バーテンダー技能競技大会」総合優勝。2014年、「ワールド・カクテル・チャンピオンシップ」(南アフリカ開催)日本代表として出場。2019年、「Bar Landscape.」開業。
Bar Landscape.
東京都中央区銀座6-4-9 SANWA GINZA BIdg.B1F
Tel:03-6263-8448
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。
時間と手間を惜しまず、伝統と革新の技術でなめらかな味わいを実現したプレミアムテキーラ『パトロン』の歴史や製法、味わいなどをご紹介します。