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NEW2019.12.19 Thu

特集企画 カクテル・ルネッサンス第六回 「ウォッカマティーニ」

取材協力 Bar 石の華

禁酒法時代にまで遡るアメリカのカクテル黄金期。その時代に生まれ、長く忘れ去られていたカクテルに、現代の素材と技術で新しい息吹を吹き込む「カクテル・ルネッサンス」。[The World’s Best-Selling Classic Cocktails 2019]でベスト50に選ばれたクラシックカクテルの中から、毎回一つのカクテルに注目。ベーシックなレシピやつくり方だけでなく、BAR TIMES が今もっともおすすめしたい進化したクラシックカクテルをご紹介します。第六回目は[ウォッカマティーニ]。ウォッカならではのクリアでキレのある味わいでマティーニの新しい歴史を築いてきました。今回は、Bar 石の華(渋谷)の石垣 忍さんにウォッカマティーニの魅力をうかがいました。


Drinks International
The World’s Best-Selling Classic Cocktails 2019


ウォッカマティーニをステアではなくシェイクで
レモンピールを一切れ添えてくれ

あまりにも有名なジェームズ・ボンドのセリフ。ボンドがこだわった結果、このフレーズ自体が用語になり、2005年には『映画の中のもっとも有名なセリフ100』の1つに選ばれました。ジンではなくウォッカ、ステアではなくシェイク、オリーブではなくレモン。ボンドは決まったルールにとらわれずに自分の味覚や気分に合うマティーニを自然にオーダーしました。ウォッカマティーニは、カクテルの考え方に自由を与えたと言えるかもしれません。



ベルヴェデールウォッカをベースにしたスタンダードなウォッカマティーニ。レモンピールを添え、味わいの変化を避けるためオリーブは中に入れず別皿で提供する。


バーにとってウォッカマティーニは
どのような位置づけのカクテルですか。

「当店にご来店いただくゲストの中には、ウォッカマティーニしか飲まない方もたくさんいらっしゃいます。それもベースを指定する方が多いんです。“ウォッカマティーニを○○で”って。ジンマティーニの場合は、だいたいお店任せのパターンが多いので意外だなって思いますね。しかも、つくり方を指定する方も多いです。口当たりの良いシェイクを好む方、しっかり酒精感が感じられるステアを好む方などそれぞれですが、一概に言えるのは、みなさん自分の好みをよくご存知ですし、本当に好きで飲んでいるということ。ウォッカマティーニは、飲み手のこだわりが表れるカクテルだと思います。」

石垣さん自身、ウォッカマティーニの魅力は
どのような点にあると思いますか。

「例えば、ベルヴェデールなら、“これはウォッカマティーニにするのが一番美味しいんだ”と一辺倒にすすめするのではなく、ドライ嗜好の方にはドライシェリーを使ったり、酒精感があって少し甘めの味わいがお好みの方には甘口ワインを使ったりと、ベルモットを変えて景色の違うウォッカマティーニはいかがですかと提案できるのもウォッカマティーニの魅力だと思うんです。あくまでもウォッカマティーニの範疇からは出ないで、その中でどれだけ目一杯遊べるか、お客様に楽しんでもらえるか。バーテンダー側も模索しながらゲストに提案していく楽しみもあるんじゃないでしょうか。」

石垣 忍 (いしがき しのぶ)
Bar石の華オーナーバーテンダー。2002年、全国バーテンダー技能競技大会で優勝した後、2003年にBar 石の華をオープン。2005年、IBA公認世界大会に日本代表として出場し、優勝。国際的な美術展等でイメージカクテルの考案に当たるなど、多方面で活躍している。


ベルヴェデールはどのような特徴で、
どのような良さを持つウォッカだと思いますか。

「ベルヴェデールの良さは、厳選された原料と蒸留回数の多さから生み出されるクリアな味わいにあります。それに何と言っても、副材料と合わさった時に感じるバニラのような味わい。ライ麦由来と言葉にしてしまえば簡単ですが、クリアでキレのある味わいに、ほんのりバニラの香りがふっと上がってくるのがとても心地良いんです。そこがベルヴェデールの美味しいポイントだと思うので、飲み手の方たちにぜひ知ってもらいたいですよね。プレミアムウォッカは “クリアでスムース、無味無臭で飲みやすいもの”と少し違う認識を持っている人が多いんじゃないかなと思います。本当に良いものって素材の味わいがより前に出てくるんです。だから、その味の良さを邪魔しない状態でカクテルとして提案すれば、お客様がよりブランドにもカクテルにも好奇心を持ってくれる。そうしていくのがバーテンダーの務めだと思っています。」


ベルヴェデールを使った石垣さんオリジナルの
ウォッカマティーニの特徴を教えてください。

「ベルヴェデールのスタンダードなウォッカマティーニは、キレの良さや酒精の強さが特徴ですが、今回僕がつくったオリジナルはそれとは逆サイドにあるテイストです。強めだけど甘味があって、飲みごたえのあるもの。具体的に言うと、甘味の部分はベルモットに代え天然の甘口ワイン『ヴァン・ド・ナチュレル』を使っています。『ヴァン・ド・ナチュレル』は、シェリーやポートワインと同じ酒精強化ワインです。

白ワインを主体とするベルモットを同じワインベースのカテゴリーと捉え、フルーティーでマスカットの香りが華やかなこのワインをチョイスしました。リキュールみたいな重い甘味ではなく、フレッシュフルーツとは違うフルーティーさ、しかも酒精感のあるものとして酒精強化ワインはとても重宝しますね。また、ウォッカマティーニのツイストだからと言って、複雑に色々なものを混ぜ込んでしまうとベルヴェデールの良さが損なわれてしまいます。このクリアな味わいを生かすためには、ベルヴェデール+1といったようにシンプルにつくるのがいいと思います。」



『ヴァン・ド・ナチュレル』をベルモットの代わりにし、オレンジピールを添えた石垣さんオリジナルのウォッカマティーニ。「ピールをする一番の利点は、まるで酸味が入っているかのよう思わせることなんですよ。脳の中で味わいが出来上がっていく。それをオリジナルウォッカマティーニでも体感してもらえれば」と石垣さん。


石垣さんのウォッカマティーニは
なぜシェイクではなくステアでつくるのですか。

「お客様の好みによってシェイクでもステアでも臨機応変につくります。でもこの前、海外のドリンクスマガジンに“常温でカクテルを飲んだらどうなるか”をテーマにしたディスカッション記事が載っていました。冷たいものばかりが良いわけではなく、温度が上がっても美味しいものは美味しいのではないかといった内容で。結構興味深かったですよ。僕自身もキャリアを積んできたせいなのか、とにかく冷たくしないとダメなんだみたいなことは若い時ほど思わなくなりましたね。特にベルヴェデールのように質の良いお酒は、かえって本来の風味を損なう恐れもあって、非常にリスクが高いです。質のいいもをより良いものにするためには、アプローチを考えないと良い味には巡り会えない、僕はそう思うんですよね。」

石垣さんのカクテルづくりに対する
こだわりや信念を教えてください。

「和食と同じでカクテルには余計な味をつけたくないんです。ツイストするにしても、あまり足し算、掛け算になりすぎてしまうと複雑すぎて印象に残らない。今回はウォッカマティーニなので主はウォッカですが、これがフルーツカクテルなら主はフルーツなんです。だからフルーツが生きるように、副材料はどのお酒を合わせるのか、どのような甘味料を合わせるのかを考えれば余計なことをしないで主を最大限に生かせる味になるはずです。“いつもシンプルですよね”ってよく言われますけど(笑)。あまりにもデコラティブなものや、味わいに奥行きのない組み合わせはあまり良いとは思えません。美味しいは、美しい味と書きますからね。僕はその言葉の通りにカクテルを磨き上げいきたい、それがこだわりであり信念ですね。」

Bar 石の華 オリジナル ウォッカマティーニ


[レシピ]
・ベルヴェデールウォッカ/75ml
・ヴァン・ド・ナチュレル(酒精強化ワイン)/15ml

[つくり方]
ミキシンググラスに材料を入れステア。グラスに注ぎオレンジピールをする。別皿にマスカットを添える。



スタンダードウォッカマティーニ

[レシピ]
・ベルヴェデールウォッカ/75ml
・ベルモット/15ml

[つくり方]
ミキシンググラスに材料を入れステア。グラスに注ぎレモンピールをする。別皿にオリーブを添える。


取材協力 / MHD モエ ヘネシー ディアジオ株式会社



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