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NEW2025.02.28 Fri

沖縄の新しい蒸留酒ブランド「kagan(カガン)」のカクテル&飲み方提案「kagan」第1弾の「たんかんスピリッツ」は、南国の完熟したみかんを思わせるフレーバーでカクテルにも食中にも映える。

玉城竜司さん(BAR No.11/沖縄・名護)
沖縄の豊かな自然が育んだ素材を使い、現代の酒類として表現するブランド「kagan(カガン)」。沖縄の言葉で「鏡」を意味し、島の恵みをこれまでにない形で映し出す新しい蒸留酒である。
観光向けのデフォルメされた商品が多いなか、泡盛の姉妹ブランド「shimmer(シマー)」とまた異なる視点と手法で沖縄産素材の可能性を最大限に引き出す。スピリッツ、リキュール、ビターズの3つのジャンルで展開し、プロフェッショナルな用途に応える本格的な酒類だ。

2025年3月19日、「kagan」から第1弾となる「たんかんスピリッツ」が登場する。沖縄特産の柑橘「たんかん」の個性豊かな香りと味わいが凝縮したスピリッツは、どのように愉しんだらよいのか? 「BAR No.11」オーナーバーテンダーの玉城竜司さんの飲み方の提案とカクテルレシピを紹介する。 

 

「kagan」は沖縄のアドバンテージを伝えられるスピリッツ

 
沖縄・名護のオーセンティックバー『BAR No.11』のオーナー、玉城竜司さんは、高校教師からバーテンダーに転身した異色の経歴の持ち主である。那覇や香港で修業を経た後に独立。“沖縄を知ることで僕たちはもっと豊かになる”をテーマに積極的に県産の素材を取り入れてカクテルに活かし、「沖縄を愛してもらうきっかけをつくる」を日々、体現している。
そこで今回、沖縄の素材を色濃く映す新しい蒸留酒ブランド「kagan」の味わいや飲み方を伝える水先案内人として白羽の矢が当たった。 

玉城竜司さん(BAR No.11オーナーバーテンダー)
沖縄県名護市出身。高校教師からバーテンダーに転身し、2016年、泡盛カクテルコンテストで優勝。香港『Bar Butler』でのバー勤務を経て、2021年に地元の名護でオーセンティックバー『Bar No.11』を開業。“沖縄を知ることで僕たちはもっと豊かになる”をコンセプトに、名護のバーシーンを牽引する。バーではゴーヤを使った「2016 THE 泡盛カクテルコンテスト」優勝カクテルをはじめ、月桃レモンサワーや自家農園で育てたハーブのモヒート、琉球紅茶やさんぴん茶のカクテルなど、沖縄県産の素材を積極的に取り入れたオリジナリティあふれるカクテルを提供。旬のフルーツや野菜を使ったカクテルも得意とする。
<BAR No.11> 沖縄県名護市大中1-5-1 具志堅ビル105 / TEL:098-043-6315

 
「全国、世界各地に素晴らしいバーがあるなか、自分らしいアドバンテージはなにかと考え、生まれ育った沖縄の素材を使って自分の感性を活かしたバーにしようと思いました。県内外、あるいは海外のお客様に沖縄のよさを伝えることがモチベーションになっています。私のお店が、沖縄の素材を使ったカクテルを通してその可能性や感動をお客様に提供することをコンセプトとしているので、『kagan』 のコンセプトと通ずるものがあると感じました」 
 

「たんかんスピリッツ」は熟れた南国の柑橘の風味。
炭酸割り、お茶割りで十分に風味を堪能でき、食事にも寄り添う

 

「kagan」シリーズ第1弾となる「たんかんスピリッツ」を初めて味わった時には、「たんかんの香りがきれいに出ていて、クセがなく飲みやすいと感じた」という。詳しくテイスティングコメントをその可能性を訊いていこう。

「フレーバーは南国の完熟したみかんといった印象。熟れた柑橘のナチュラルな香りがよく出ています。沖縄に自生するシナモンの一種、カラキも柑橘のフレーバーと相乗して風味を増幅してくれます。炭酸やトニックウォーター、ジンジャーエールで割ると十分に豊かなフレーバーを堪能できますし、さんぴん茶(ジャスミン茶)割りにして食事と合わせるのもいいですね。大衆的な居酒屋や自宅でも簡単に提供できます。さっぱりした口当たりなので、唐揚げやチャンプルー(炒め物)、テビチ(豚足の煮付け)など脂気のある食事にも合いそうです」
 

えぐみがない鮮烈な柑橘のフレーバーはスタンダードカクテルのベースにも映える!

「たんかんスピリッツ」のアルコール度数は48度。バーでも十分に活躍しそうな度数帯である。

「スピリッツ特有のえぐみがなく優しい飲み口で、個人的にはたんかんをよく感じられるストレートで味わうのが好きです。樽熟成を経たウイスキーやブランデーとも相性がよく、バーで提供するならベースをダブルスピリッツにしたオールドファッションドやネグローニにするのもとてもよいですね。べ―スに『たんかんスピリッツ』を加えた2種類を用いることで、口当たりが軽やかになり、華やかさも生まれます」

玉城さんはほかに、こんな提案もする。たとえばウイスキーサワー。ベースのウイスキーの半量を「たんかんスピリッツ」にすると、仕上げにオレンジピールを振りかけずとも芳醇なたんかんの香りが広がる。使い方によっては、味と香りが押し出されすぎてしまうリキュールを多用しない玉城さんのカクテルアプローチに、ぴったりのスピリッツである。
さらにマンハッタンに用いるベルモットとも相性がよく、生クリームなどの乳製品と合わせると絶妙な風味を生むという。

「ガリアーノのバニラリキュールやオレンジジュース、生クリームをシェイクするカクテル『ゴールデンドリーム』に、リキュールの代わりに『たんかんスピリッツ』とオレンジジュース、バニラシロップを加えるとまるで乳酸飲料のような風味が生まれます。コーヒーと柑橘は相性がいいですから、エスプレッソマティーニに黒糖やペドロヒメネスとともに加えても、たんかんの香りが冴えて非常においしいです」

kagan Vol.1 たんかんスピリッツ 48度 / 容量:720ml / ¥3,828(税込)
2回蒸留の泡盛をベースにたんかんの果皮、沖縄に自生するシナモンの一種「カラキ」(正式名称:オキナワニッケイ)をそれぞれ浸漬・蒸留したスピリッツをブレンド。ボトル1本で約2個のたんかんを使用しており、柑橘の渋味がカラキを加えることで甘くまとまった味わいに仕上がっている。

「たんかんスピリッツ」を活かすラモスジンフィズのツイストの提案

 
玉城さんが「たんかんスピリッツ」を活かしたカクテルとして提案するのは、1880年代にニューオリンズ「キャビネットサルーン」で考案され、「ニューオリンズジンフィズ」の別名をもつ「ラモスジンフィズ」のツイストである。もこもことした泡が象徴的なロングカクテルで、レモンやライムのジュースとともに本来はオレンジウォーターが入るところを「たんかんスピリッツ」に置き換える。 

「完成時に氷が入らない分、グラスの大きさと液体の分量を合わせることがポイントです。今回は345mlのグラスを使用しています。グラスは冷凍庫で冷やしておきましょう。エアリーなフォームから『たんかんスピリッツ』の鮮烈かつ繊細な風味が立ち上り、生クリームやシロップと合わさった乳酸飲料感も爽やかです」

『たんかんフィズ』
〈材料〉
・kagan たんかんスピリッツ  …45ml
・レモンジュース       …15ml
・ライムジュース       …15ml
・生クリーム         …30ml
・シンプルシロップ      …30ml
・Foamee(フォーミー)     …4滴
・炭酸水           …適量
ガーニッシュ:エディブルフラワー

 〈つくり方〉
①すべての材料をボストンシェーカーに入れ、ミルクフォーマーで攪拌した後、氷を加えてシェイクする。

②タンブラーグラス(サイズ:345ml入り)に炭酸水を入れ。①を注ぐ。

※今回は卵白の代わりに、クリーミーな泡をつくる天然のエキスを原料とした「Foamee(フォーミー)」4滴を水30mlとともに使用

 
「Foamee(フォーミー)」100mlボトルあたり約2500滴。容量:100ml / ¥7,130(税込)

このカクテルでは、卵白の代わりに「Foamee(フォーミー)」を使用している。Foameeは、天然素材100%で作られたカクテル用の泡立て剤で、卵白を使わずに軽やかでクリーミーな泡を簡単に作ることができる革新的なアイテム。濃厚でクリーミーな泡を長持ちさせるための食品添加物であり、アルコール0%、非遺伝子組み換え、グルテンやピーナッツも不使用。卵白や大豆レシチン、その他の泡立て剤を使っていないため、ビーガン向けのレシピにも適している。

「Foamee(フォーミー)」商品ページはこちら
 

「たんかんフィズ」カクテルメイキング動画はこちら

kagan オフィシャルサイトはこちら
「kagan Vol.1 たんかんスピリッツ」商品ページはこちら 

インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。

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