
NEW2025.12.16 Tue
ブルックラディ蒸留所 グローバルブランドアンバサダー アビ・クレファン氏によるマスタークラスを開催!テロワールを重んじるアイラウイスキー『ブルックラディ』の哲学に触れるマスタークラスをレポート
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撮影場所: TOKYO Whisky Library
スコットランドのアイラ島にあるブルックラディ蒸留所は、革新的な取り組みで知られる蒸留所だ。2025年12月5日、東京・表参道「TOKYO Whisky Library」で、グローバルブランドアンバサダー、アビ・クレファン氏によるマスタークラスが開催された。アビ氏の言葉を通して、ブルックラディが掲げる哲学に直接触れられる貴重な機会となった。また、新商品『ザ・ボタニスト ジン ディスティラーズ・ストレングス』の開発背景や香味の特徴についても語られた。
会場では、東京・新宿「Bar BenFiddich」鹿山博康氏によるカクテルデモンストレーションが行われ、バーテンダーを中心とする参加者に新しい視点とインスピレーションをもたらす機会となった。
土地の素材・風土・文化が映る「テロワール」の概念を持ち込んだウイスキー

アイラ島の北西部、インダール湾に面するブルックラディ蒸留所。数々の原酒は、潮風を受けながら熟成されていく。

『ブルックラディ』のフラッグシップである『ブルックラディ ザ・クラシックラディ』。印象的なブルーのボトルは、アイラ島の海にインスパイアされたもの。
「ブルックラディ」とは、ゲール語で「海辺の丘の斜面」を意味する。その言葉通り、ブルックラディ蒸留所はアイラ島の西海岸沿いの岸辺に立ち、その立地もまたウイスキー造りの大事な要素と捉えられている。事実、2001年に蒸留所が再稼働した時から、造りにはそれまではワイン界の言葉だった「テロワール」の概念をウイスキーに取り入れてきた。
そういった哲学を持つようになったのは、ブルックラディ蒸留所が歩んできた歴史に深いかかわりがある。
創設は1881年に遡る。禁酒法や世界大恐慌、二度の世界大戦といったできごとが重なり、複数回にわたってオーナーが入れ替わるも、1994年に蒸留所はやむなく閉鎖してしまう。
2001年、ようやく新体制で再稼働の機を得た。経営陣3人のうちの2人がワイン商だったこともあり、土地の風土・個性を重んじる「WE BELIEVE TERROIR MATTERS(私たちはテロワールが重要だと信じている)」という信念に基づき、生産を行うようになる。
2012年からはレミーコアントロー社に参入し、伝統をふまえながら革新的な製法でウイスキー造りを行っている。
アビ氏は言う。
「ブルックラディ蒸留所は、1881年創設の伝統的な蒸留設備を用いながら、革新的なウイスキー造りを融合させています。2001年の新体制での再稼働以来、『原材料と製品はつながっているべきで、蒸留酒もまたワインと同様にテロワールが存在すべきである』という信念のもとで生産を行ってきました」
テロワールを重んじる具体的取り組みは以下のようなものだ。
「アイラウイスキー」の定義としては、糖化、発酵、蒸留をアイラ島で行っていれば、そう名乗ることができる。
だが、ブルックラディ蒸留所は、生産しているすべての蒸留酒の糖化、発酵、蒸留に加え、熟成、仕込み水・加水に湧き水を使用、ボトリングまで行っている。さらには、原料の大麦麦芽はすべてスコットランド産で、そのうちの42%はアイラ島で栽培した大麦栽培を使用。島内でのモルティングも視野に入れている。
「もしほかの場所で熟成をしても、味が変わるか否かはわかりません。でも私たちの理念として、土地の個性が伝わるウイスキー造りをしているのです。その風味を存分に味わっていただきたいから、濾過もすることなくボトリングしています」

1881年の創設当時から稼働している伝統的な蒸留機。

2004年からアイラ島で栽培を行っている大麦畑。
造りには、循環加熱システムの導入したり、よりクリーンなバイオ燃料への切り替えによってCO2排出量を削減。2020年には最高水準の社会・環境パフォーマンス、公的な透明性の取り組みの要件を満たし、スコッチウイスキーとジンの蒸留所としてヨーロッパ初の国際的な認証制度「Bコーポレーション」の認証を受けた。
商品のボトルには5桁の番号が振られており、ホームページにその番号を入力すると、トレサビリティを追うこともできる。
企業として土地に根差すこともモットーとしている。ローカルコミュニティを大事に、地元の人の採用を積極的に行い、アイラ島内の民間企業最大の雇用主となっている。
これまでやってこなかったことをやる、という姿勢のすべてが、ブルックラディ蒸留所が“革新的”と表現される理由なのである。
『ブルックラディ』『ポートシャーロット』『オクトモア』、ジン『ザ・ボタニスト』の味わいとは

マスタークラスでテイスティングした『ブルックラディ』と『ザ・ボタニスト』のラインナップ。
ブルックラディ蒸留所では、『ブルックラディ』を筆頭に『ポートシャーロット』『オクトモア』という3つのブランドを展開している。またアイラ島で唯一のジンでもある『ザ・ボタニスト』は、アイラ島で育つ22種類ものボタニカルを手摘みし、用いている。それぞれの特徴とアビ氏のおすすめの飲み方を訊いた。
■ブルックラディ ザ・クラシックラディ(700ml、アルコール度数50%)
ブルックラディのフラッグシップ。アイラ島というとピートの香りが豊かなウイスキーを思い浮かべるが、こちらはフェノール値0ppmのノンピート。スコットランド産の麦芽を100%使用で、フローラルでエレガント。甘くジューシーなフレーバーが特徴。冷却濾過を行わず、豊かなテクスチャーが感じ取れる。
「ハイボールが圧倒的におすすめです。イギリスやアメリカでは、塩味をつけるカクテルが最近よくつくられていますが、こちらは最初から自然な塩気やレモンのようなシトラスの風味をまとっていて、炭酸水で割るだけで心地よい飲み口に満たされます。アイラウイスキーにはめずらしい青りんごの風味やビスケットのような麦の風味も感じられます」
■ポートシャーロット 10年(700ml、アルコール度数50%)
スコットランド(インヴァネス州)産大麦100%。フェノール値40ppm。「薬品を思わせるようなピート感ではなく、バーベキューや焚き火に近いスモーキーさが特徴」とアビ氏。10年の熟成を経た柔らかさや味わいのバランスも秀逸だ。熟成の構成は、ファーストフィル・アメリカン・ウイスキー樽65%、セカンドフィル・アメリカン・ウイスキー樽10%、セカンドフィル・フレンチワイン樽25%。
「赤ワイン樽で熟成した原酒を使っているため、ストロベリーやラズベリーといったベリー系の素材ととても相性がいいですね。ブランブルというカクテルは、ジンとレモンジュース、ブラックベリーのリキュールなどを合わせてつくるのですが、ベースをこちらに置き換えると、スモーキーさとの相性が抜群です。生姜との相性もよく、ペニシリンに仕立ててもおいしく味わえます」
■オクトモア16.1(700ml、アルコール度数59.3%)
101.4ppmという超ド級なピート香の数値をもちながらも、味わいは意外にも甘やかで、多彩なフレーバーが複層的に重なり合う。柔らかい厚みフルーティーな飲み心地も味わえる。5年熟成。
「個人的にはブラッディメアリーにして飲むのが好きです。ウオッカではなく、スモーキーなテイストのオクトモアを使うことで、しっかりした味わいのカクテルをつくれます。テキーラ、カシスリキュール、ジンジャーエールを合わせるエル・ディアブロのベースにするのもいいですね。スコットランドでは、ビールをチェイサーにウイスキーを交互に味わう飲み方があります。オクトモアなら黒ビールを合わせてもとても面白いと思います」
■ザ・ボタニスト ジン(700ml、46%)
クラシカルな9つのボタニカルに加え、アイラ島原生の22種類ものボタニカルを使用したプレミアム・ジン。世界で唯一稼働している蒸留機「ローモンド型スティル」、通称「アグリーベティ」を用い、およそ17時間をかけてゆっくりと蒸留することで、芳醇なアロマとリッチな味わいを引き出している。極めてスムースな口当たりと優れた余韻が特徴。
「9種類のボタニカルは蒸留し、22種類はバスケット法で風味付けをしています。カクテルはもとより、冷凍庫でキンと冷やして、ストレートでゆっくり味わうのもおすすめです」
■ザ・ボタニスト ジン ディスティラーズ・ストレングス(700ml、50%)
アルコール度数50%に強化し、フレーバープロファイルをさらに強調。奥行きを増したスイートジュニパーとスパイスが、軽やかなハーバルノートを支える。22種類のボタニカルのノートが、土っぽさ、若干のスパイシーさを備えたジュニパーのベースを引き立てており、特徴的なバランスと複雑さがある。幅広いカクテルを試すのに最適。
「従来の『ザ・ボタニスト ジン』と同じボタニカルを使用しているものの、ジュニパーの風味が立っていて、ジン好きな方に響く1本になっています。カクテルでも存在感が冴える、バーテンダー向けに造られたジンです」

テイスティングの様子。ブルックラディはノンチル・フィルターのため、加水するとウイスキーの油分が浮き上がる、グラスの下からライトを照らし説明するアビ氏。

『ザ・ボタニスト ジン』に使われるボタニカルは、アイラ島に自生する植物を一つひとつ手摘みしている。

すべてのボタニカルは丁寧に乾燥させ、バスケット法で風味付けされる。

鹿山氏によるカクテルデモンストレーション。
アビ氏の充実のマスタークラスに続き、会場では鹿山博康氏のカクテルが振る舞われた。鹿山氏は2015年「ザ・ボタニスト フォーリッジド カクテル・コンペティション」最優秀賞を受賞し、アイラ島を巡った経験を持つ。
「植物学者と共に現地の植生をくまなく見て歩きました。今でこそ、土地のボタニカルを使ってテロワールを表現するジンは一般的になりましたが、15年前からその取り組みをしていた『ザ・ボタニスト』はパイオニア的な存在です」
提供するカクテルは2つ。ことに、2025年10月に発売された『ザ・ボタニスト ジン ディスティラーズ・ストレングス』を使ったものは、新商品とあって熱い注目が集まる。
カクテル化について、鹿山氏はその特徴をこう語る。
「『ザ・ボタニスト ジン ディスティラーズ・ストレングス』はアルコール度数が50度で味わいは骨太。ロングドリンクにしても味わいが伸びますし、ロックスタイルであればウイスキーの代わりにオールドファッションをつくってゆっくり飲んでもその風味をしっかり味わえます。フローラルな方向性にも、男性っぽい骨太な感じにももっていけるジンです」

(左)「Green Botanist」。『ザ・ボタニスト ジン ディスティラーズ・ストレングス』にキュウリの搾り汁、ピーチウォーター、炭酸水、ハーブなどを合わせたもの。柔らかく甘い桃の風味と、透明感溢れるグリーンのニュアンスが重なりあう。
(右)「Breath Of Islay」。『ブルックラディ ザ・クラシック ラディ』をベースに、マンゴーウォーター、フランボワーズのオードヴィー、バナナリキュール、タイムを合わせる。南国フルーツのジューシーな旨味と甘味の後に、香ばしいウイスキーの余韻。
充実のマスターセミナーの最後を、アビ氏はこんな言葉で飾った。
「いま私たちが革新的な取り組みができるのは、普段から関わりのある生産者や地元の人々とのコミュニケーションが根底にあるからです。これまでも、これからも、テロワールを大事にしながら、地元のコミュニティに貢献する理念を持って、ウイスキー造りを続けていけば、もっといろんなことができるかもしれません。そういう意味でも、今自分たちが取り組んでいることを、継続して取り組んでいきたいですね」

最後にボトルを手に記念撮影をするアビ氏と鹿山氏。
ブルックラディ蒸留所 グローバルブランドアンバサダー。スコットランドで育ち、幼い頃から飲料業界への情熱を見出し、テクノクラブからパブ、ホテルまで幅広い業態のバーで経験を積む。2015年よりロンドンのレミーコアントローUKに入社し、英国ブランドアンバサダーとして8年間勤務。英国市場全体で、『ザ・ボタニスト』をはじめ、ブルックラディ蒸留所のポートフォリオを代表する責任を負う。ウイスキーやジンのフレーバーに対する深い情熱を持ち、その知識を活かしたカクテルやペアリングの組み合わせを世界中のゲストに提供。伝統的なウイスキーのテイスティングにユーモアを取り入れた、ウイスキーとポテトチップスのペアリングの先駆者として知られる。2022年より、中国、東南アジア、オーストラリア、英国の市場全体でのブランド教育を担当するグローバルブランドアンバサダーとしてブルックラディ蒸留所に入社。アイラ島でのアカデミーグループ、VIP、プレス旅行のホストを務め、訪問者に素晴らしい体験を提供してきた。現在もブルックラディの魅力を世界に発信し続けている。
1983年、埼玉県生まれ。東京・新宿「Bar BenFiddich」、フルーツブランデー専門店「BAR B&F」オーナーバーテンダー。『Farm to glass』を提唱し、外秩父の麓・ときがわ町にある自身の畑で採取したボタニカルをはじめ、界隈で自生する日本在来種の草・根・木・皮などもカクテルにする。2015年「ザ・ボタニスト フォーリッジド カクテル・コンペティション」優勝。海外でのゲストバーテンディングにも積極的に取り組んでいる。
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。
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