
NEW2026.03.6 Fri
本格焼酎&泡盛の試飲とオリジナルカクテル、料理が楽しめるイベント“4度目の正直”で吉澤翔太さん優勝を果たす。「第8回 本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」レポート
日本酒造組合中央会日本の國酒である本格焼酎と泡盛は、いまカクテルというフィールドでさらなる進化を遂げている。2026年2月23日(月・祝)、日本酒造組合中央会が主催する「第8回 本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」がグランドプリンスホテル高輪にて開催。世界へ國酒を発信することを目指し、日本ホテルバーメンズ協会から予選を勝ち抜いたファイナリスト10名が、本格焼酎と泡盛の特徴や風味を活かした創作カクテルで競い合った。
優勝は、2023年から3年連続「本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション」で第3位入賞を果たしていた、吉澤翔太さん(ホテルニューオータニ バーカプリ/東京)の手に輝いた。
吉澤翔太(よしざわ しょうた)さん。2019年株式会社ニュー・オータニ入社。ホテルニューオータニ(東京)「SKY BAR」を経て、「バーカプリ」に配属。2023年から3年連続、日本酒造組合中央会主催 本格焼酎&泡盛カクテルコンペティション第3位入賞。2024年「サントリー ザ・カクテルアワード2024」ファイナリスト。 2025年、バーテンダー業務で使う技術を競うコンペティション「Ultimate Bartender Championship 2025 Japan」優勝。
会場では観覧のみならず、来場者はファイナリストの創作カクテルの試飲が可能となった。さらに、本格焼酎と泡盛の試飲ブースが設けられ、多彩な料理の提供とともにその相性も愉しめた。また、昨年の優勝者・小池辰弥さん(ゼンティス大阪 アップステアーズ/大阪)のカクテルも振る舞われた。充実したカクテルコンペティション決戦の様子をレポートする。
限られた制限時間のなかで、素材選びから技法、ストーリーに至るまでを緻密に組み立てたファイナリストたち。10名の実技審査が始まった。
日髙慶一朗 さん(横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ バー「ベイ・ウエスト」/神奈川)
【カクテル名】八(エイト~The evergreen classic~)
繁栄を象徴する「八」をテーマとする。エレガンス酵母で仕込まれた芋焼酎「KIRISHIMA No.8」に、『八十八夜の新茶』を使用した梅酒を加え、次世代へ語り継がれる1杯になるよう願いを込める。
長門良樹さん(BAR GATE/埼玉)
【カクテル名】Mahana 真花
素材を見極め、余計なものをそぎ落とす視点で、生け花とカクテルを重ね合わせる。花の名を持つ芋焼酎「野海棠」を真の花として据え、梅と柚子の香りをふんわりと重ねる。材料は国産かつ花や植物を原料にしているものを使用。
古賀 光さん(ザ・リッツ・カールトン福岡 The Lobby Lounge & The Bar/福岡)
【カクテル名】花霞(はながすみ)~華やぎと儚さ~
米焼酎「吟香鳥飼」を使い、春の桜をテーマにステアで仕上げるカクテルを創作。白桃のリキュールや「旨味」のビターズを合わせ、仕上げに桜の塩漬けを加える。カクテルにたゆたう花を咲かせてうつろいを表現。
丸山和輝さん(オーセントホテル小樽 メインバー キャプテンズ・バー/北海道)
【カクテル名】発酵華(はっこうか)
日本酒、みりん、甘酒などを造る際に麹がゆっくり沈んでいく様子を「発酵華」として、カクテルで表現。麦焼酎「iichiko SAITEN(彩天)」をベースに、甘酒や本みりん、白桃のリキュールなどを合わせる。
壇 由樹さん(ホテル日航大阪 夜間飛行/大阪)
【カクテル名】花筏(はないかだ)
青森で見た桜の、散りゆく姿も美しい様子をカクテルで表現。規格外の長芋を活かして造る「本格長芋焼酎 六趣レギュラー」をベースに、同じく市場に流通できないリンゴも活用するリンゴジュースなどを合わせる。
藤田修康さん(グランドエクシブ浜名湖 ゴルフ&スパリゾート ラウンジ Dolce/静岡)
【カクテル名】天雫(あましずく) ~恵に感謝~
日本の文化や自然をテーマとしながら、農業へのリスペクトをカクテルで表現。ベースには、大地への感謝をコンセプトとする芋焼酎「晴耕雨読」を選ぶ。芋焼酎と相性のいいヨモギを材料に取り入れ、キューカンバ・シロップで雨上がりの香りを演出。
尾山卓生さん(オーセントホテル小樽 トップラウンジ ポールスター/北海道)
【カクテル名】霧幻龍(むげんりゅう)
5年寝かせることで凝縮したコクが広がる「奄美 黒糖焼酎 昇龍 赤ラベル」をベースに、黒糖のような濃厚な風味のペドロヒメネスを合わせる。ライムピールやミストアイスで、霧をまとって昇る幻の龍を表現。フレッシュなミントリーフも加え爽快な飲み口に。
森西一樹さん(ホテルメトロポリタン ダイニング&バー オーヴェスト/東京)
【カクテル名】アマミキヨ
琉球創生の神様と伝わるアマミキヨをカクテル名に掲げ、泡盛「ZANPA 島バナナ酵母」を軸に創作。ヨーグルトのリキュールが泡盛の甘味を引き出しながらも引き締める。マンゴーのリキュールやバナナのシロップを合わせフルーティーな飲み口に。
吉澤翔太さん(ホテルニューオータニ バーカプリ/東京)
【カクテル名】花宴(はなのえん)
春の桜を囲んでの宴をイメージ。米焼酎「吟香鳥飼」を主役に、生産地の熊本・人吉に色濃く残る宴席文化に思いを馳せる。桜リキュール、グリーンアップルシロップなどを合わせて華やかに。梅酢のチャーミングな酸味がカクテル全体の味を締める。
川勝隆斗さん(京王プラザホテル オーロラ/東京)
【カクテル名】あやなみ
創業100年を迎える東京・新島の老舗酒造場の麦焼酎「嶋自慢 羽伏浦(はぶしうら)」を使い、ラムネのような爽やかな飲み心地に。重なり合う波を意味する「あやなみ」に、島の自然や文化、人の想いが重なり合うという意味も込める。

優勝に輝いたのは、吉澤翔太さん(ホテルニューオータニ バーカプリ/東京)。過去3年連続3位に入賞し、今回の4回目の出場で映えある栄冠をつかんだ。あらためてカクテル創作の意図と、優勝のコメントを訊いた。
「世界に國酒を発信することがこの大会の大きなテーマです。そこで、日本のお酒と深く結びついている“宴会文化”をフィーチャーしたいと考えました。イタリアにアペリティフという文化があるように、日本には桜の下でお酒を酌み交わすお花見の文化があります。その魅力を、この焼酎カクテルコンペティションを通して世界に発信したいと思ったのです。ベースに選んだ『吟香鳥飼』は、とてもフルーティーで華やかな香りが特徴の焼酎です。その吟醸香を最大限に生かし、まるでお花見の席でお酒を楽しんでいるかのような情景が浮かぶ1杯を目指して創作しました。」

花宴(はなのえん)
・吟香鳥飼(Ginka Torikai)—35ml
・ドーバー 桜リキュール(Dover Sakura Liqueur)—10ml
・モナン グリーンアップル・シロップ(Monin Green Apple Syrup)—10ml
・すだちジュース(Sudachi Juice)—5ml
・梅酢(Ume Vinegar)—2dash
・ガーニッシュ:大根(Daikon Radish)、ラディッシュ(Radish)、乾燥パスタ(Dried Pasta)、金粉スプレー(Gold Powder Spray)
創作コンセプト・ストーリー
花宴とはお花見を表す古語です。球磨拳をはじめ宴席文化が根づく球磨焼酎で古き良き日本の宴会文化を表現しました。米の甘味とかぐわしい吟醸香を丁寧に表した「吟香鳥飼」。鳥飼の持つ果実と花のブーケをふくらませ、お花見を一杯のカクテルに仕立てました。花見の象徴、桜と梅に吟醸香を引き上げる青りんごが「吟香」の花を咲かせます。「花宴」伝統文化が球磨焼酎から世界へと舞い広がるよう願いをこめて。
大会を振り返り、カクテル創作の肝は「苦労したというよりも、今回は“どうすればより伝わるカクテルになるのか”を徹底的に考え続けた大会だった」と振り返る。
「今回で4回目の出場で、自分の表現がどうすれば審査員の皆さんに届くのかを考えて、何度も何度もブラッシュアップと試行錯誤を重ねてこのカクテルにたどり着きました。あくまで推測ですが、『吟香鳥飼』の特徴である吟醸香を、カクテルでわかりやすく表現できたことが評価していただけた点なのかと思います。カクテル構築では、25度の焼酎を使いながら、ショートカクテルでも飲みやすく仕上げることを意識しています。蒸留酒ではありますが、比較的アルコール度数が低いお酒でもある特性を生かしてあげることが、自分の中で大切にしているアプローチです」
また、これからの本格焼酎の発信についてはこんな抱負を語った。
「将来的には、いわゆる世界の4大スピリッツと並ぶ存在として、焼酎が当たり前に飲まれる時代が来てほしいと願っています。現状、私が立つ『カプリ』ではホテルのメインバーということもあり、あまり焼酎の扱いはありません。でも、今回、優勝させていただいたことを励みに、まずは自分がいるバーから焼酎のカクテルを提供して、他の活動と連動しながら発信していきたいと思います」

準優勝 川勝隆斗さん(京王プラザホテル オーロラ/東京)
「あやなみ」
・嶋自慢 羽伏浦(Shima Jiman Habushiura)—30ml
・ピサン・ガルーダ グリーンバナナ(Pisang Garuda Green Banana)—10ml
・ボルス ブルー
(Bols Blue Curaçao)—5ml
・スカーレット ラディーチェ(Scarlet Radice)—5ml
・レモンジュース(Lemon Juice)—10ml
・ガーニッシュ:グレープフルーツピール(Grapefruit Peel)、ブラックオリーブ(Black Olive)、金粉(Gold Leaf)、春雨(Glass Noodles)
創作 コンセプト・ストーリー
「あやなみ」それは重なり合う美しい波の綾を表す言葉。新島 の顔として親しまれる羽伏浦海岸は、文化に深く根付く自慢の絶 景。そんな爽やかなイメージから生まれた嶋自慢羽伏浦の持つ麦 からくるスパイス感をアマ-ロで増幅し、グリーンバナナが優し い甘さを重ねる。淡い色彩は鮮やかな海を描き、レモンの酸味で 砂浜に吹く爽やかな風を表現。文化と自然が織りなす優しい味わ いは、新島の豊かな情景を映し出す。

第3位 長門良樹さん(BAR GATE/埼玉)
Mahana 真花
・野海棠・赤(Nokaido Aka)—30ml
・The CHOYA 熟成一年(The CHOYA Aged One Year)—10ml
・サントリーリキュール KANADE〈奏〉(柚子)(Suntory Liqueur KANADE Yuzu)—10ml
・日和ヴェルモット〈レモン〉ドライベルモット(Hiyori Vermouth Lemon Dry Vermouth)—10ml
・アフロディーテブレンド(Aphrodite Red)—1 tsp.
・ガーニッシュ:金魚草(Snapdragon Flower)、南天の葉(Nandina Leaf)、松葉串(Bamboo Cocktail Pick)
創作コンセプト・ストーリー
この国には、四季の移ろいや自然の気配を静かに感じ取る美意 識と真心があります。いけばなが花の命を空間に生けるように、 本格焼酎もまた土地の恵みを映し、時を重ねて蔵元の想いととも に育まれてきました。花の名を持つ本格芋焼酎「野海棠」を真の花 として据え、梅と柚子の香りをふんわりと重ねた《Mahana(真花)》。 淡い紅の花をそっと挿すように、日本の自然と美意識を世界へ手 渡す一杯です。

オーディエンス賞 日髙慶一朗さん(横浜ベイシェラトン ホテル&タワーズ バー「ベイ・ウエスト」/神奈川)
当日、来場者の投票によって決まるオーディエンス賞には「八(エイト~The evergreen classic~)」を創作した日髙さんが選ばれた。
今回発表されたカクテルは、各選手が所属するホテルやバーで提供され、愉しめる予定である。この機会にぜひ、新しい魅力を切り拓く本格焼酎と泡盛のカクテルを味わってはいかがだろうか。
日本酒造組合中央会
全国約1,600社の酒類(日本酒、本格焼酎、泡盛、本みりん)メーカーが所属する日本酒業界最大の団体。酒類業界の安定と健全な発展を目的とし、1953年に設立。
「國酒(こくしゅ)」とされる日本酒、本格焼酎と泡盛について情報発信することで、国内外へ幅広く認知向上させる活動に取り組んでいる。
公式HP:https://www.honkakushochu-awamori.jp/
本格焼酎&泡盛:https://www.instagram.com/japan_shochu/
インタビュー・文 沼 由美子
ライター、編集者。醸造酒、蒸留酒を共に愛しており、バー巡りがライフワーク。著書に『オンナひとり、ときどきふたり飲み』(交通新聞社)。取材・執筆に『EST! カクテルブック』『読本 本格焼酎。』『江戸呑み 江戸の“つまみ”と晩酌のお楽しみ』、編集に『神林先生の浅草案内(未完)』(ともにプレジデント社)などがある。
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