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バーをこよなく愛すバーファンのための WEB マガジン

2021.04.23 Fri

比類なき造りで注目を浴びる蒸溜所コーヴァルで食前も食後も
愉しいカクテルタイムを

思わず手に取りたくなるスタイリッシュなラベルデザインのボトルは、ウイスキーでも知られるコーヴァル蒸溜所のジンとジンベースのクランベリーリキュール。コーヴァルは原材料から製造工程に使用する樽までオーガニックというこだわりでコーシャ認定も受けており、話題の蒸溜所だ。その2本を使って、吉田達也氏(STAR BAR GINZA/東京・銀座)にバーで愉しんでほしい食前酒と、自宅でも簡単に作れる食後酒を創作して頂いた。

水分で伸ばしても香りが残るコーヴァル ドライジン

「一般的なロンドンドライジンに比べてコーヴァル ドライジンは香りが柔らかく、口の中でじわっと広がっていきます。創業者の奥様、ソナット・バーネッカーさんがベーススピリッツを『ホワイトウイスキー』と呼んでいるように“Grain to bottle”を体現した丁寧な造りで、ウイスキーに近い香りの広がり方を感じました。シャルトリューズ、イエーガーマイスター、ウンダーベルグといったハーブ系リキュールや、カンパリ、アンゴスチュラビターズなどビターズ系リキュールとの相性が抜群で、さまざまなカクテルに応用できると思います。ネグローニなら間違いないですし、グリーンアラスカやジン&ビターズもおすすめです。ベーススピリッツがしっかりしているので、ハーブ系リキュールのような強い個性がある素材にも負けない味わいがあります」

ただ、一杯目に飲むなら軽めで飲みやすいものがいい。食前酒は日本でさほど根付いていない飲み方だが、時短営業で早い時間からバーが開いているこの時期に愉しんで頂くなら……。
吉田さんが考案したのは、仕事帰りに気分を切り替えられるカクテル「Ko-vive(コーヴァイヴ)」だった。

食前酒がコンセプトのカクテル「Ko-vive」

「食前酒をコンセプトに、アルコール度数が低く飲みやすいロングカクテルを考えました。コーヴァル ドライジンは氷やソーダなどの水分で伸ばしても香りが残るため、そのフローラルさや複雑味を活かすことができます。エルダーフラワー・シロップと蜂蜜レモンの甘味は多少減らしても、コーヴァルの味でしっかりまとまるのでお好みで調整してください。蜂蜜レモンにも入れたクローブが原料に使われているビターズを加えると、後味にスパイシーさが残って食前酒に向くすっきりとした飲み口になります。仕事帰りの一杯、華やかなフレーバーで気分を切り替えて頂けたら」

コーヴァル ドライジンを使った食前酒がコンセプトのカクテル「Ko-vive」。マティーニのベースにすると、余韻の長い一杯ができるとか。その特徴を活かして、多様なスタンダードカクテルに応用できそうだ。


パンデミックに立ち向かい、共に生きる
新型コロナウイルス感染症 (COVID-19)の蔓延により、コーヴァル蒸溜所は一旦ウイスキー製造を中止してハンドサニタイザーをつくっている。食前酒の「Ko-vive」は、収束の見えないパンデミックに立ち向かい、共に生きようという願いが込められたカクテルだ。COVID(コロナから)・Co(共に)・vive(Survive/生き延びる)という単語をコーヴァル(KOVAL)にかけて“Ko-vive”という造語にした。また、コーヴァルには先駆者の意味がある。飲む文化が変わってきている今、自分も作るカクテルを変えていかねばと話す吉田さん。2008年、禁酒法時代以降初めてシカゴで創設されたコーヴァル蒸溜所のブランドストーリーに思いを馳せれば、それは一層味わい深くなるはずだ。日本では馴染みのない食前酒や、自宅で手軽に作れる食後酒を是非試してみてはいかがだろうか。

複雑な味わいながら、作り方は至ってシンプル。食後酒がコンセプトのカクテル「シカゴ・ブーザー」

一方、食後酒として創作したのがコーヴァル クランベリージンリキュールとイエーガーマイスターを2:1で混ぜたカクテル「シカゴ・ブーザー」だ。クランベリージンリキュールは先述のコーヴァル ドライジンに契約農家のオーガニック・クランベリーをブレンドしたもので、イエーガーマイスターは56種類のハーブやスパイスなどの原料からなるハーブ系リキュール。食前酒のフローラル&ビターでライトな味わいに対して、やや度数が高く複雑味を増した一杯だが、カクテルに使用する材料は2種類とシンプルで作りやすい。


食後酒として創作して頂いた「シカゴ・ブーザー」は、“シカゴの酒飲み”の意味。軽めに飲みたい時は、コーヴァル クランベリージンリキュールと相性の良いフレッシュジュースで割るといい。


「香りをかいで、口に含んで、飲み込んだ後まで、クランベリージンリキュールとイエーガーマイスターの風味が複雑に絡み合います。クランベリーの自然な酸味とイエーガーマイスターの甘味を感じた後、クランベリーのフレッシュで程よい渋味とイエーガーマイスターの甘苦さが追いかけてくるイメージですね。クランベリージンリキュールはとても自然な甘酸味があって、甘ったるくないのでストレートで飲んでも美味しいです。バランスが良く、アルコール度数も30度で飲みごたえがありますしね。スロージンフィズ、チャーリーチャップリンなど、スロージンを使うスタンダードカクテルにクランベリージンリキュールを代用しても。また、これほど透明感のある鮮やかな赤色のリキュールはなかなか見かけません。この色を活かすなら、スパークリングワインで割るだけで飲みやすく綺麗な色合いの一杯が出来上がります」

レシピでは途中で香りを引き立たせるエアレーションを入れたり、より複雑味を出すためにレモンの皮やチェリーをガーニッシュに加えているが、自宅で作るなら省いてもいい。気軽にお酒を愉しんでほしい、という吉田さんの思いが表れたカクテルだ。

改めてコーヴァルについて学び、ブランドに愛着が沸いたという吉田さん。「シカゴブルースを聴きながらコーヴァルで作ったカクテルを飲んでみたいですね」


吉田 達也(よしだ たつや)STAR BAR GINZA/東京・銀座


渋谷のバーテンダースクールを卒業後、銀座の名店「STAR BAR GINZA」に入店。現在勤務11年目となり、店長を務めている。2016年、Tokyo Cafe Show & Conferenceイベントにおける「第2回コーヒーカクテルコンペティション」でグランプリを受賞。2019年にはジンのコンペティションで入賞したことをきっかけに、ロンドンへ。偶然にも翌月、再びロンドンにゲストバーテンダーとして呼ばれ、カウンターに立った。好きなカクテルは「ネグローニ」と「ギムレット」。

Ko-vive レシピ


■コーヴァル ドライジン 30ml
■オーガニック・エルダーフラワー・シロップ 5ml
■蜂蜜レモン(自家製/蜂蜜にレモンスライスとクローブを浸けたもの) 5ml
■ボブズ・ビターズ(アボッツ) 2drops
■ソーダ 適量
■(ガーニッシュ)蜂蜜レモンに浸けたレモンスライス 1枚

①ソーダ以外の材料をステアし、氷を入れたグラスに注ぐ。
②ソーダを加えて、軽くステアする。
③レモンスライスを飾る。

シカゴ・ブーザー レシピ


■コーヴァル クランベリージンリキュール 60ml
■イエーガーマイスター 30ml
■レモンピール 1片
■(ガーニッシュ)グリオッティン・チェリー 2個

①材料をグラスに入れて、エアレーションする。
②①をステアして、グラスに注ぐ。
③レモンピールをかけて、チェリーを飾る。

   

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