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2022.09.15 Thu

ホイッスルピッグでつくるClassic & Originalカクテル
カルヴァドスを効かせた『パーフェクトマンハッタン』。鍵は樽熟成したドライベルモット

ホイッスルピッグ 10年 × The ANCESTOR 福手進介

アメリカ最大の出品数を誇る「サンフランシスコ・ワールド・スピリッツ・コンペティション2017」にて、最優秀ウイスキー(Best in Show)の称号を獲得したライ・ウイスキー「ホイッスルピッグ」。世界で最も多くの賞を獲得しているライ・ウイスキーである。
蒸留所の設立は2007年。ライ・ウイスキーの可能性にかけた伝説のマスター・ディスティラー(蒸留責任者)、デイヴ・ピッカレルが率いるチームによって生み出された。
そのホイッスルピッグ 10年を使い、名古屋の「The ANCESTOR」オーナーバーテンダー・福手進介さんに、クラシックカクテルとオリジナルカクテルの2種を考案してもらった。


「ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ」は、複雑で深味のあるブランドの原点

「ホイッスルピッグ」の蒸留所があるのは、アメリカ・バーモント州ショアハムの広大でのどかな農場の中。ライ・ウイスキーのよいところを大切に守り、無駄なものは排除し、ウイスキーのために革新を続けることが理念だ。その味わいのよさは、数々の賞を獲得してきたことからも伺い知れ、「ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ」については、権威ある全米のワイン専門誌「ワイン・エンシュージアスト」で96点という高得点を獲得するなど、ライ・ウイスキーの歴史を変えたともされる。


ライ・ウイスキーの中でも決定的に余韻の深さが違う

自身もウイスキーファンであるという福手さんに、ホイッスルピッグを初めて口にした時の率直な感想を訊いた。

「ウイスキーの力強さ、口に含んだときの複雑さ、そして心地よい余韻の中に切れ味の良い後味が印象的でした。バーボンとは違ってドライさがあり、トーストした感じやバニラのような香りも特徴的です。一般的なライ・ウイスキーと比較すると決定的に余韻の深さが違いますね。ライ・ウイスキーは全般的にドライなのでカクテルベースとして良いと思いますが、私の場合、他のウイスキーで代用することが多く、正直これまであまり使う機会がありませんでした。しかし、ただドライなだけではない複雑みを持ち合わせたホイッスルピッグの出現により、このライ・ウイスキーを使ったカクテルの出番が増えそうです」

では、ホイッスルピッグをカクテルベースにする場合、どのような考え方でつくるのが良いのだろうか。

「繊細で力強いホイッスルピッグには、例えばマンハッタンのようにベースの存在を存分に活かせるカクテルが良いと思います。また酸味を効かせすぎるよりは、ホイッスルピッグの持つ自然な甘みに寄り添うようなカクテルがいいですね」

ホイッスルピッグとスイートベルモットをつなぐ樽熟成ドライベルモットでリッチな『パーフェクトマンハッタン』

今回、クラシックカクテルとオリジナルカクテルをテーマに、2つのカクテルを考案してもらった。まずは、クラシックカクテルから。福手さんがチョイスしたのは『パーフェクトマンハッタン』だ。

「ホイッスルピッグの持つドライな部分を活かすために、マンハッタンの中でもパーフェクトマンハッタンを選びました。それと、私は長らくホテルバーに勤めていましたが、マンハッタンはオーダーが常に上位にくるカクテルで、提供する機会が多かったんです。ですから、ホイッスルピッグでつくるマンハッタンの美味しさを知っていただきたい思いもあります。ホイッスルピッグはバーモント州でつくられていることから、名産品であるリンゴに着目しカルヴァドスを使用しました。さらに複雑みが増し、ホイッスルピッグの特徴をうまく活かせていると思います。また、樽熟成させたドライベルモットを加えることで、ウイスキーとスイートベルモットを違和感なくつなぐ接着剤のような役割を果たします。それにより、すーっと口に入るリッチなパーフェクトマンハッタンが出来上がります」

ホイッスルピッグの香味を分解し再構築。プレミックススタイルでやさしい口当たりの一杯に

2つ目のカクテルはオリジナル。デキャンタでスワリングするプレミックススタイルで、ホイッスルピッグの甘みを引き出したカクテルだ。

「私のシグネチャーでオリジナルの『Milestone(マイルストーン)』というカクテルがあります。ウイスキーとエルダーフラワーリキュールを使用するという共通点を持たせ、ホイッスルピッグのライ・ウイスキーベースにちなみ『Rye-me-Stone(ライムストーン)』と名付けました。エルダーフラワーのマスカット香、クレオールシュラブの酸味、ハチミツの甘さ、アボッツビターズのスパイス感と、使用する副材料はすべてホイッスルピッグに感じる香味です。それをひとつに合わせることで複雑さとボリュームを持たせました。一つひとつの香味の特徴を一旦バラバラに分解して、ホイッスルピッグに合わせ改めて再構築するという考え方です。冷やさず、加水をしないプレミックスの手法で、氷を一つだけ入れたロックグラスに注ぐ。とろみのあるやさしい口当たりの一杯です」


 

クラシックカクテル『Perfect Manhattan(パーフェクト・マンハッタン)』

【レシピ】
・ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ:30ml
・ブラー グランソラージュ(カルヴァドス):10ml
・カルパノ アンティカフォーミュラ:10ml
・フェルディナンズ ザール ホワイトリースリング バレルエイジド ベルモット:10ml
・ルビネット アップル&レモンタイム ビターズ:3drop
・レモンピール
・レッドチェリー

【つくり方】
1.全ての材料を氷を入れたミキシンググラスに入れステア。
2.カクテルグラスに注ぎ、レモンピールを振る。
3.レッドチェリーを飾る。


オリジナルカクテル『Rye-me-Stone(ライムストーン)』

【レシピ】
・ホイッスルピッグ 10年 スモールバッチ・ライ:35ml
・サンジェルマン エルダーフラワーリキュール:15ml
・クレマン クレオールシュラブ:5ml
・よそご蜂蜜:5ml
・アボッツビターズ:1dash
・オレンジピール

【つくり方】
1.全ての材料をデキャンタに入れブレミックスし、ハチミツを溶かす。
2.オールドファッションドグラスに氷を一つ入れ、カクテルを注ぐ。
3.軽くステアし、オレンジピールを振ってグラスに入れる。



福手進介(ふくて しんすけ)
名古屋マリオットアシソアホテルのメインバー「エストマーレ」で16年間勤務。2014年に自身が所属する一般社団法人日本ホテルバーメンズ協会主催「第29回 H.B.A. CLASSIC創作カクテルコンペティション」において『Milestone(マイルストーン)』でグランプリを獲得。2022年に独立し、「The ANCESTOR」をオープン。

The ANCESTOR(アンセスター)
ANCESTORとは“祖先・先駆者”という意味。長く勤めたホテルのバーテンダースタイルをバックボーンに、クラシカルな部分を継承し、自分らしさを表現する思いが込められている。店内はアンティークな薬棚風のインテリアで落ち着いた雰囲気のオーセンティックバー。
愛知県名古屋市中村区名駅2-35-5 K.R.T bldg.2F
Tel:052-526-6229


   

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